不思議の島・ソコトラ 前編(ソコトラ島:イエメン)

 イエメン





2006.04.28(金)


 きっかけはサナアに着いた日に泊った宿の部屋の前に貼っていた一枚の手書きのポスターだった。

 細かい内容は忘れたが「ソコトラ島ツアー・メイト募集中」と書かれているそのポスターには奇妙な木の写真が貼り付けられていた。

 竜血樹、イエメンのコインの裏にも描かれている人間の動脈が複雑に絡み合った独特な形態をもつこの樹は今まで目にした事の無いものだ。

 アラビア半島とは違って独特の生態系を持つこの島はインド洋のガラパゴスとも呼ばれているらしい。

 このポスターを描いた人は女性で「アラビア・フェリックス(幸福のアラビア)」の一字を名前に持ち、どうしてもこのソコトラ島に行きたくてイエメンに来ているらしいのだが、連れの男性(女性一人だとなにかと絡まれる率の高い中東ではルートのかぶる男性を見つけてトラベル・メイトとして一緒に旅行してる女性は珍しくない)はあまり乗り気ではないらしく、セミ・ツアーともいうべき手法(ソコトラ島の空港に着いたら寄ってくる4WDのドライバーと交渉してツアー料金が決まる)でしか行けないこの島では人数がある程度集まらなければコストが高くつくので、結局宿でツアー・メイトを募集する事にしていたのだ。

 やけに印象的だったが私自身は「首都狙撃手」だ。固有種ということでは有名なマダガスカルでも首都であるアンタナナリボにいただけで有名なバオバブ街道すら見ていない。ましていわんやソコトラはイエメンの一島に過ぎず、訪れる理由と価値を測りかねていた・・・

 そこでまた別の女性が宿に来た、今度は「フェリックス」その物の名をもつ女性はやけにポジティブで、たまたま会った私がソコトラ島のポスターを貼ってあることを告げそれを見せると間髪いれずにその女性を接触して「是非とも行きたい!」と名乗りを上げたのだ。

 イエメンに来るまで「ソコトラ島の存在を全く知らなかった」彼女の即断に軽い驚きを覚え、私の中で徐々に「行ってもいいかも?」という感情が芽生え始めてきていた・・。



 当時私はサナアを楽しむと共にサウジアラビアのトランジットビザの道を模索していた。つい2か月前までは発給されていたこのビザが私が到着するころにはでなくなっていたのだ。各所の観光をしつつこのビザを当たっていると「おそらく今は無理だろう」というのが実感だった。そうなるとイエメンでどうするか?サナアは思いの外気に入り、そして物価も安い。それならこの国のビザのぎりぎりまで滞在してみても悪い選択肢ではなさそうだった。

 色々と考えが纏まらずに決めかねていると二人のフェリックスが私に「フライトは150ドルちょっとで往復、ツアーもシェアなら宿を入れて3泊で50ドル~100ドルくらい」と何とも耳寄りな情報を持ってきた。またツアーメイトも4人は集まり、後は彼女の連れの男性と私を足せば6人と丁度4WD一台をハイヤーするのにベストな状況になっているらしい。

  首都以外に興味を持たない私だが、アフリカ全土をすでに終え今は所謂ボーナス・ステージだ。イエメンという「幸福のアラビア」と呼ばれる国で「フェリックスの名をもつ2人の女性」に誘われるというのも何かの縁なのだろう。

 そして散々悩みはしたが最終的には「2人の美女に誘われた」という以上に「ロー・コストで済みそうだ」というなんともフェリックス達には失礼極まりない形で参戦を決める事にしたのだ。

 これが「男女6人、春物語(ただし観光のみで恋愛ゼロ)」の始まりとなったのだ。

 出発は28日の早朝、初めて乗る外国での国内線(「そういえば予期せず国内線に乗せられた事はあった」)はちょっと変わった気分にさせられる。

 フライトはかつて訪れたムカッラの街を経由

ムカッラの海岸線

 08:30にソコトラ島に到着

到着したソコトラ島



 寄ってきたドライバー達から交渉して一日10000YR(イエメン・レアル、大体50ドルちょっとくらい)で4WDをハイヤーする。

 まずは町だ。ハディボと呼ばれるこの島唯一といっていい町らしい町で宿を決めなければいけないのだ。

空港からハディボまでの道中



 取れた宿は2000YR(約1000円)のドミ、今サナアで泊っている中級クラスと同じ値段だが宿事情の悪いこの島なら仕方の無い値段だろう。

ハディボの町


ワン・パターンのライスとチキンはここでも食べれる


赤い4WDがハイヤーした車



 宿に荷物を置いたらさっそく観光だ。

 とは、いいつつ初日はオードブル(前菜)だ。ハディボから2時間ほど東にあるカランシアという海岸の往復がそのメニューだった。


カランシアまでの道のり、海の濃淡が良く表れている



カランシア











 光の当たり具合やその時の天候にもよるのだろうが同じ場所で見ていても見る方向が違うと海は全く別の色合いとなる。

有名らしい白い蟹、連邦の新型というのが正解か?


蟹塚?でいいのかな?






 誰から始めたわけではなく、知らず知らず靴を脱ぎ、ズボンをまくって海に入る、透明度の高さと綺麗な海は人を自然とそうさせるのだ。



今度は一杯いた蟹さんを









 日本人6人いる所為は確かにあるのだろう、一人ならやらない、しないようなことも普通に出来る。ツアーにして良かったと思える瞬間だ。

 われわれは海を楽しんでいた・・・

海岸に居た現地の家族達
 

遠くに舟が見えるのが印象的



 まだ日が暮れる前にハディボに戻ることになる。


ハディボまでの道中




途中で見た虹
 



そして夕日







 ハディボまでに見たのは虹と夕陽。



ハディボでホテルから見た景色






 これだけでも来た価値があったと思えるがそれでもまだオードブルに過ぎない。

 2日目に向けて期待は高まるばかりだった・・・  



 






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