ロシア
2006.09.25(月)
久しぶりに泊ったシングルルームを朝時間ぎりぎりまで堪能出来なかったのは残念だったが荷物を預けてホテルをチェックアウトする。そしてどう考えても”自分のミス”を何とか”生まれた時代の所為”にして上手くやり過し、ミスター・パーフェクトの名を守りつつターミナルへと向かう。
不思議と朝日がやけに目に染みた。
朝日とオルガ湖
昨日の今日で”まさか”をやるつもりはない、十分に余裕を持った時間に到着し後は水中翼船の出航を待つだけになる。
ターミナルでの景色
ややさざ波は立つ物の、穏やかなオルガ湖の水面はまるで昨日私が乗り遅れた事など無かったかの様な落ち着きを見せていた。
ターミナルから
フェリーは予定通りに出発、初めて乗る水中翼船は想像以上の早さだった、ペトロザヴォーツクの街並があっという間に離れていく。
フェリーとペトロザヴォーツク市内
水面を滑るように走り、1時間30分程度たった頃だろうか?いよいよキージ島が見えてくる。
水中翼船から見たキージ島
いきなり目的のプレオブラジェーンスカヤ教会が目に入るがそれぐらいでテンションは下がらない。こいつを間近で見れると考えると上陸のしがいがあろうというものだ。
プレオブラジェーンスカヤ教会教会
日の当たる角度で逆光になってしまうのは残念だ、もし昨日訪れられていればもっと良かったのかもしれないが覆水盆に還らず、過ぎ去った事を思い悩んでも仕方無い。今を楽しむ事にしよう。刹那的と言われるかもしれないが旅行者は所詮は通過者だ、その一場面一場面の状況に応じて自分が楽しめればそれでいいだろう。それでもやっぱり昨日の事はちょっと悔しかった・・・
到着したキージ島
残り時間は1時間半程度、それほど広くないこの島を見るには十分な時間だ。500ルーブル(約2300円)という安くない入場料を払って中に入り目的のプレオブラジェーンスカヤ教会へと真っ直ぐに目指す。
上陸直後の島の風景にプレオブラジェーンスカヤ教会
一度近付いて、そしてオーバーシュートする事にした。
プレオブラジェーンスカヤ教会とポクロフスカヤ教会。一番小さいのは鐘楼
美味しい物は最後に食べればいい、教会を見る時間は後で作れるので先に小さな見所を終えてから最後にこのメインディッシュを頂く事にしよう。
上、下:富農の家
遠目にお目当ての教会を眺めながら趣のある木の建物を見物する。
中左:ラザロ復活協会、中右:風車。
季節外れのキージ島、観光客はいるもののそんなに多くない、ラッシュ時とは違った何とも優雅で贅沢な時間が味わえるのがオフシーズンのメリットだ。そしてそう感じる事が出来るのは私がエレガントだからこそなのだろう。
上左:アルハンゲル・ミハイル礼拝堂、上右:水車小屋、中:セルギーエフの家。
上:鍛冶屋、下:貧農シェーピンの家。
上左:バーニャ、上右:トイレ、下:中農エリザロフの家
船着き場から東回りにガイドブックに載っている趣のある木の建物を一つ一つ丁寧に潰していく。
中:中農の家の中。
正直に言えば並外れた凄さを持つ教会の存在が無ければこれらもただのしょぼい木造建築群になるのだろうが、その教会のお陰か?島全体の景観に上手く調和を見せ、教会を引きたてる良いスパイスとなっていた。
角度を変えて、中:バーニャ、下:富農アシェフニェフの家
そしていよいよお目当てのプレオブラジェーンスカヤ教会と御対面になる。これを見る為に私はここへ来たのだ。
富農アシェフニェフの家の中。そしてプレオブラジェーンスカヤ教会
外観だけでも圧倒される、というよりも玉葱ドームが萌えさせるこのプレオブラジェーンスカヤ教会の中は残念ながら見学不可だった。そこで隣接する小さなポクロフスカヤ教会に入る事にした。
ポクロフスカヤ教会の中
中は正直言ってそれほど大した物ではない。豪華さや絢爛さという点については今までみたロシア正教会系の教会には及ぶべくもないだろう。
だが、それがいい。
プレオブラジェーンスカヤ教会にポクロフスカヤ教会
そもそもここは大都市でもないただの田舎のさびれた一つの島の上だ。だからこそこの景色が、そしてこの教会が残っていたのだろう。私はしばらく建物の周りをぐるぐる歩いてしてこの教会の外観を楽しむ事にした。
プレオブラジェーンスカヤ教会とポクロフスカヤ教会
ずっと見ていたい、と思わせるほど良い教会であったが残念ながら何事にも終わりはある。実際は短髪なので引かれる程は長くない後ろ髪を、引かれる思いで教会を後にした・・・
去りゆく教会
チケット売場周辺と船着き場。
出航までの時間を船着き場で舞っていた鳥を眺める事で過していった。
水中翼船に鳥
出航は12:00時を少し過ぎたあたり、どんどんとキージ島が遠ざかっていく。
キージ島
そして教会が見えなくなった頃、私の中でこの島が終わりを告げていた・・・
遠ざかるキージ島。
水中翼船の走る様子
湖上からの景色
時刻は13:30を回った頃、フェリーはペトロザヴォーツクへと到着する。夜行列車の出発は22:00時なのでそれまで所在なく時間を潰す事にした。
上:国立劇場
簡単な昼食をとりただひたすらと散策する。
昼食と市街
とはいいつつも元々見所が無い上に昨日殆ど見てしまっているのでやる事は無い。いつしかオネガ湖畔へと足を延ばし、ただ時が過ぎゆくのを待つばかりとなっていた。
オネガ湖畔
徐々に日が暮れていき日没の時間となる。
オネガ湖畔
そして日が完全に沈み、いつしか夜になる。
夜のオネガ湖
このペトロザヴォーツクで予期せぬ罠にひっかかり、思わぬステイをする羽目にはなったが、それを差し引いても訪れたキージ島は私を満足させる物だった・・・