モンゴル国
2006.09.08(金)
「この子は目に火あり、面に光ある子なり」
元朝秘史にあるジンギスカンの幼少時代の非凡性を表した言葉だ。
カラコルム、彼が築き上げた大帝国のかつての首都。
ここを訪れればこのプロフェッショナルの旅行への衝動が何処から来たのか?そのルーツも分かるだろう。
そして白き牝鹿との出会いも・・・
草原の中、ゲル(モンゴル式のテント)で目覚め、一日が始まる。
ジンギスカンもかつて見つめていたであろう、青い空はどこまでも艶やかだ。
泊っていたゲル(上:部屋、下:入口の大ゲル、下:ホテルの全景)
残念ながら泊ったゲルには牝鹿はおろか、ツーリストが私だけというオフ・シーズンっぷりだったが、観光という事に関しては今日一日が全てだ。
旅程は2泊3日。それ以上でもそれ以下でもない。
それにここに来たのは草原を見るだけでは無い。エルデニ・ゾー、チベット式の仏教寺院も見に来ていのだ。
上:エルデニ・ゾーの外壁、下:カラコルム市街
カラコルムは首都とは言えゲルで建てられた謂わば”幻の都”だ。何か残っている訳ではない。だがこのエルデニ・ゾーは16世紀に建立され、現代にもその姿を留めている。
私はロマンティストだがリアリストでもある、何も無い草原の中にかつての大帝国のゲルの集合体を脳内再生するような器用なまねは出来ようも無い。
そう考えると時代は違えど何かしら見所があるというのは救いだった。
エルデニ・ゾー
棟屋の中
チベット様式のラプラン寺
外壁
卒塔婆
カラコルムで現在の見所と言えばこれだけだ。
入場料も払っているので一応じっくりと見るには見たがそれでも限界はある。
ある程度の時間を掛けた後、寺院を後にして草原へと向かった。
草原、エルデニ・ゾーの門の一つ
草原へと向かいすぐ気付いたのはここはそもそも草原の中だったという事だ。
そこで私は高台へと向かい、かつて壮大な帝国の首都であったこの街跡を眺める事にした。
丘の途中に会った石碑、上から2番目が花崗岩の亀石で一番下は男根石
土産物屋も営業している。ちなみにこの日は私以外の観光客はホテルも含めて見かけなかった。
カラコルムのあるオルホン渓谷は文化的景観が遊牧民の生活の伝統を例証するものとして世界遺産に登録されている場所でもある。
分かり易く言うなら「遊牧民の草原」を見たければここにくれば良いといった所だということだ。
そして私の周りに広がる景色はその期待を裏切らなかった・・・
エルデニ・ゾーの全景
丘からの景色
こちらも土産物スペース、やはり季節外れの所為か客はいない。
丘の上から眺める雲が独特で気持ち良い
また別の角度から・・・
草原の中をただひたすら歩く。
心地良く体を包み込む草原の風と草の香り。
旅行者は定住よりも放浪を好む、遊牧民と同じ様なものだ。
そう、私は今旅行者のルーツともいうべき場所にいるのだ。
どこまでも続くこの草原を行ける所まで行く遊牧民の様に・・・
草原の蒼きプロフェッショナルと呼ばるこの私も見果てぬ世界中の国々の首都を狙撃出来る限り狙撃する。
知らず知らずのうちに、この広い青空に誓いを立てていた・・・
一度戻った天幕
そして誓ったのは良い物のずっと草原に居るのも単純に飽きるので一度宿に戻り、そしてまた夕陽のタイミングに併せて出る事にした。
夕暮れ時
夕陽が沈む頃、雲が多かったのが少し残念
月が上がる所
草原の夜は早い、私は宿に戻る。
大ゲルの中
心ゆくまで草原を堪能した一日。
そして草原に包まれルーツを感じて新たに立てた首都狙撃へ誓い・・・
夜の帳はもう降り始めていたが白き牝鹿は現れる気配すらまだしてはいなかった・・・
月