蒼きプロフェッショナルと白き牝鹿①(ウランバートル⇒カラコルム:モンゴル)

モンゴル国






2006.09.07(木)


 「上天より命ありて生まれたる蒼きプロフェッショナルあり。その妻なる白き牝鹿あり」

 有名な『元朝秘史』の書出しの一文だ。

 旅行者の性向は遊牧者のそれと似ている、定住よりも放浪を好むのだ。

 まだ妻になるべき白き牝鹿との出会いこそ無いが、これから向かうカラコルム(別名ハラホリン)は、蒙古斑こそ失った物の生粋のモンゴロイドであり、プロフェッショナルなツーリストと呼ばれた私のルーツへの旅といっても良いだろう。 

 カラコルムを選んだのはかつて世界最大版図を築き上げたモンゴル帝国の首都であり、またカラコルムのあるオルホン渓谷の文化的景観が世界遺産にもなっているからだ。

 ウランバートルでは2,3日のツアーを組み、近くの草原でテント生活をしながら馬に跨って楽しむというのが当時のデフォルトだったが私は腐ってもプロフェッショナル、いや、もとい、腐ってるプロフェッショナルだ。

 他のアマチュアのツーリストみたいにそんなツアー程度で満足する訳が無い。

 ウランバートルから遠く離れた大草原を駆け抜けて、旧モンゴル帝国の首都であるカラコルムを 訪れる事こそこの蒼きプロフェッショナルと呼ばれたデューク東城がモンゴルで行う旅行に相応しいものだろう。


 折角だからと下心丸出しで宿にいる他の旅行者達に『カラコルムでも一緒にどうでふか?』とモーションを掛けては見たものの、この宿には白き牝鹿は残念ながらいなかった。




 当日、朝06:30時には宿を出る、見上げると雪が降っている。






 雪中行進。

 悪条件になればなるほど私は燃える漢だ。

 この荒天は私のモチベーションを高めるだけで何の障害にもならないだろう。

 私はカラコルム行のバス停へ向かった。


カラコルム行のミニバスランク、車が実に渋い・・・




 『えっ?馬で行かないのか?』って・・・

 考えてみてほしい。

 私は遊牧民でも何でもないのだ。それに道交法という奴もあるだろう、モンゴルの公道を外国人である私が馬に乗ってずっと走り続けたら恐らく無免許運転や車検(馬検?)切れで捕まる恐れもあるだろう。

 それにビザ待の期間はあるにせよ無限に時間を持っている訳ではないのだ。

 カラコルムまではバス、残念ながらこれが既定路線という物だ。

 まあ言葉を代えればバスは現代の馬といっても差し支えないのでこれで草原を駆け抜けてもOKだろう。漢なら細かい事を気にするもんじゃない!


ちなみに乗ったのはコチラッ!



 ちなみにバス停に到着したのは09:30時だが出発は12:00時、アフリカほどではないにせよ、客が集まるまで出発しないのは待つ身には辛いだろう。


 出発後は順調に進む。


道中の景色、写真上の右側は日本でいうドライブイン見たいな物。


厚い雲の隙間をぬって光が落ちてきている





 ジンギスカン、焼肉で無ければモンゴルの大英雄がそれだ。

 彼が幼少の頃にその母が『影より他に伴なく、尾より他に鞭なし』とその生活を形容していたがこのプロフェッショナルも大抵の場合はソロ(単独)だ。

 どこまでも果てしなく広がる大草原を眺め、自由と引き換えに孤独を選んだ自分自身の旅の帰結がどういう物になるのか?そんな事をボーっと考えていた・・・




道中で食べた食事


基本的には草原の中を抜けていく




 出発して8時間、ミニバスは20:00頃にカラコルムに到着する。もう日は落ち始めていた・・・


 草原と言えばゲル(モンゴル式のテント)だ。

 野営してゲルを貼るツアーも当然あるがモンゴルのホテルは結構このゲル部屋を用意してある所が多い。

 私も折角草原に来たからには泊るならゲルと決めていた。


泊った宿、このゲルの一つ一つが部屋になっている。



 まだ日は落ちる前だ。

 チェックインして荷物を置いたらすぐに夕陽を眺めに行く。


夕陽、日没後、そして月


写真では上手く撮れなかったが深夜も月がはっきりと見えていた




 そして宿に戻り食事を摂る

食事、ピラフ見たいな物




 私は夜、ベッドに横たわりゲルの骨組みを見ながらこう考えていた。

 狼と呼ばれたジンギスカンはこの広い草原を眺めて何を思い、なぜあそこまで広大な帝国を築こうとしていたのだろうか?と・・・


 そしてこのプロフェッショナルは何故世界中を駆け巡り首都狙撃を続けるのか?その回答がここにいれば分かるような気がしていた・・・


 「ルーツへの旅」


 ウランバートルとは違い何も無いカラコルムのこのゲルの中は夜聞こえてくる風の音が旅行界屈指の都会派の名を欲しい儘にしているこのプロフェッショナルに”自然”を思い起こさせ、そしていつしか深い眠りへと堕ちていった・・・



 

 
 
天幕の中









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