ロシア
経路図
2006.09.21(木)
セルギエフ・パッサートからモスクワに戻った時、既に16:00時と夕方にはいりつつあったが観光の手綱を緩めずにメトロで移動する。
モスクワのメトロはデザインの良い駅が多い。確か絵葉書にもなっていた。
返す刀で訪れたのはヴェー・デーエヌ・ハー駅にある全ロシア展覧会場だ。
ヴェー・デー・エヌ・ハー駅
以前はソ連経済発展展覧会場と呼ばれ、社会主義経済の宣伝に使われたこの場所は旧ソビエトチックな建築物が立ち並ぶ、要するに旧ソ時代の遺影を偲ぶ事が出来るので普通のモスクワ観光とは一風変わった場所だ。
ようるすについ先ほど見学したどこかに乙女チックな面影を残すセルギエフ・パッサートと対極を成し、無機質な旧ソビエト時代の特徴を深く残した建物や展示物がある硬派な場所になるのだ。
可愛いの次はカッコ良い、所謂「かわカッコいい」というのを体現するこのプロフェッショナルとしてはどうしても訪れなければいけない見所だろう。
入口
やけに仰々しい入口をくぐり中に入る。ただ入るだけならフリー(無料)というのは良心的だ。遠くに見えたのは観覧車、普通の観覧車とは違う何かを感じたが取り急ぎ旧ソビエト時代の建築物を眺めつつ奥へと進む。
パビリオンに観光用のバス
最初に見たのはパビリオン、スターリン・クラッシック調のこのパビリオンの尖塔はいきなりの格好良さをうかがわせる、それに園内を走る汽車カート?は可愛らしい。そのギャップがまたこのプロフェッショナルのセンシティブ(感じやすい、敏感な)なハートに火を点ける!
民族友好の泉、旧ソ連の各共和国の民族衣装を着ている。
次に見たのは民族友好の泉だ。美しくて魅力的という言葉はこのプロフェッショナルと目の前の像の為にあるのかも知れない。そう思えるほど旧ソ各連邦国の民族衣装を着せた金色の像は見ていてとても美しい物だった。残念なのは噴水でありながら水が止まっていた事だが物事の見方は常に多角的にあり、水が無い事で魅力的な像を十分に堪能できると考えれば却ってそれがメリットと言っても良いだろう。
民族友好の泉とパビリオン、歩き方半ページの紹介でこの2つぐらいしか説明が無かったのでもう見所は終わりか・・・?
奥まで進んで見えるのは綺麗に整えられた花壇に奥にパビリオンをバックにした民族友好の泉だ。
近付いて見て良し、離れて見て良し。「かわカッコいい」とはちょっと違うがこれは「きれいカッコいい」とでも例えるべきなのだろうか?
「きれいカッコいい」と日本語にするとピンと来ないかもしれないが英語にすると一番しっくりくるのは「エレガント」、要するにこの私だ。
この展覧会場が何者か?それはこの私という回答に満足し、私はさらに奥に進む事にした。
こちらはまた別の噴水
今度はふんだんに水の出る噴水を眺める。周りのオブジェや背景のソビエト式の無機質でありながら華美という建物がまた不自然な調和を醸し出している。
そしてこの辺りが折り返し地点となっていた。
飛行機にシャトルにロケット
奥で目に入ったのは飛行機、シャトル、ロケットだ。
如何にもソビエト的と言える陳列物、この場所がかつてソ連経済発展展覧会場と呼ばれた理由を良く物語っていた・・・
上の続き
この無機質で機械的な展覧物。それはどこか”観光マシーン”と呼ばれたこのプロフェッショナルにも似ている。
そして航空力学で造られて物は無機質でありながらどこかに優美な曲線を残している。どこか女性的な優雅さを残すこのプロフェッショナルと同一だ。
ガイドブックで決めて何気なく訪れたこの会場で感じるシンクロニシティー(意味のある偶然の一致、共時性)、それは不意に訪れる恋にも似ている・・・
とまでは言わないが一通り見物に満足したので、最初から気になっていた観覧車へと向かう事にした。
展覧会場内の建築物に汽車、そして泉にパビリオン
観覧車に近付く、すると一番最初に見た時の違和感の理由が分かってきた。
そう、この観覧車にはボックスタイプとオープンタイプの観覧車があったのだ。
観覧車フリーク、と旅行界で呼ばれるこのプロフェッショナルとしてもオープンタイプは余り見ない物だ、
“チキン”の名を欲しい儘にするこの私でもこちらを選択せざるを得ないと思わせる魅力的な物だった・・・
それに”ストックホルムシンドローム(閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有することにより信頼や愛情が芽生える)”という事も期待できる。
つまりより危険度の高いオープンタイプなら隣に美女が乗り、頂上付近でふと恐怖を感じた時に隣にいるこのプロフェッショナルを見て「同じ時間に同じ恐怖を共有した」と思って迷わず恋に落ちる事も十分に有り得るのだ。
こうして様々な見地から熟考を重ねた上で料金のやや高いオープンタイプに乗る事にした。
観覧車とそこからの景色。
下を見ると確かに少し足がすくみそうな感じになる、私にしては珍しくカメラ・ストラップを首に掛けての撮影なのでやや窮屈だが落とすよりは遥かにいい、というか落とした時の周りに与える被害を考えると”絶対に落とせないカメラがここにある”と言いきってもいいだろう。
そしてふと隣をみる。
「ただの家族連れだった・・・」
『・・・』
『・・・・・・』
ただでさえ”チキン”なのに何故オープンに乗ってしまったのか?ちょっとだけ後悔した・・・
観覧車から
隣に美女が居なく、下を見ると恐怖を感じるので視線を景色に集中する。
オープンタイプの観覧車は確かに見晴らしも景色も良かったがここが郊外にあるのがちょっと残念だ。
そして隣の家族連れがキャッキャとはしゃいでいるのが何故か妬ましい。
観覧車からの市の景色
かなり大ぶりのこの観覧車は一周するのに十分な時間がある。
景色を存分に、そしてたまに間違って下をのぞいて恐怖を存分に感じつつ、やがて一周を終えていく。
そして下り際と降りてから。
隣に美女が乗らず、ストックホルム・シンドロームは経験できなかったがそもそもここはロシアのモスクワだった、最初から設定に無理があったのだろう。ストックホルムシンドロームはスウェーデンにでも行った時までのお預けとして、オープンタイプの観覧車とそこからの景色はこのプロフェッショナルを納得させる物だったので戦果としてはイーブンといった所だろう。
”綺麗カッコいい”この場所は時間があればもっとじっくりと見たかったが、最大のハイライトである観覧車を終えた今、また次のターゲットへと向かう事にした。
モスクワ発の日取りが決まっている今、ここで今日の観光を終わらせる訳にはいかないのだ。
ヴェー・デーエヌ・ハー駅
時刻は既に18:00時を過ぎている、だが私はこうして次のターゲットを仕留めに向かったのだ・・・
そして敢てこれも付け加えよう、ソビエトチックな物に興味が無ければ”ここは訪れなくても別に構わない場所である”事を・・・