第24話 ビター・ブラック(舞台国:ハイチ)

Category: 激闘の記録!

あらすじ


アンティグア・バーブーダを終え、ドミニカ共和国へ到着したプロフェッショナル・デューク東城。さらなるターゲットはカリブ海唯一陸路で行ける国ハイチ・・・
世界最初の黒人共和国にしてラテンアメリカ最初の独立国であるこの国は、その政情不安定で治安が悪い事と共に西半球最貧国ともして知られ、また国教はブードゥー教と今までのリゾートティックなカリブ海の国々とは明らかに趣を異にしている・・・

果たしてこのハイチ、首都ポルトープリンスの狙撃はなるのか?


どうする!ゴルコサーティーワン!!



プロローグ

ハイチ共和国。

この国の歴史は古く、1804年、時の指導者デサリーヌが「白人はこの国から出て行け」と宣言し、世界でも黒人初の共和国を宣言したことから端を発する。
だが、その後の失政から政治的混乱は続き、現在では西半球最貧国とも言われ、また治安の悪さも悪名高い。ここ最近では白人旅行者や現地滞在員の誘拐や殺害なども起きている。
また経済的な混乱もあり、私の知人で数ヶ月前にここを訪れたある旅行者はマニュフェスト(物価高騰にたいする抗議運動)にあたってしまい、帰国のバスに乗れず飛行機での脱出を余儀なくされている。
不安材料はこれだけではない、当初まったく気にせずにフライトチケットを抑えていたのだが9月は雨季、それもハリケーン最盛期でカリブ海もジャマイカやキューバ、そしてここドミニカ共和国やハイチにも被害は及んで甚大な損害が出ているのだ・・・

この国の狙撃を甘く見るわけには行かない・・・

最悪ストッペイジ・オーダー(中止指令)も出さなければならないだろう・・・



第1章ドミニカ共和国到着

2008.09.11(木)

アンティグア・バーブーダからフライトでドミニカ共和国、首都サント・ドミンゴ郊外のラス・アメリカス国際空港に到着したのは昼過ぎだ。

アンティグア・バーブーダで搭乗したリアットの飛行機。アイランドホッピングで散々利用してきたこのリアットもこれで最後


途中で通過したプエルトリコ(アメリカ領)の上空


そしてこれがドミニカ上空


海岸線は綺麗だが内陸に入ると雲があたかも艦隊のように上空にかかっている。


そしてラス・アメリカス国際空港(ドミニカ共和国)



アンティグア・バーブーダを終え、東カリブ海全ての国の首都を制覇した今、もはや「イースト・ブルー」の覇者、「ロロノアのプロ」と呼ばれるようになったこのデューク・東城であるが、まだ今回の「ワン・ピース(ひとつなぎ)」の冒険は終わっていない。

到着したこのドミニカ共和国ともう一つ、同じ島を二つに分けているもう一つの国、カリブ海で唯一陸路で行けるハイチを終え、始めてこのグランラインの冒険の幕を閉じれるのだ!!

とはいいつつも、私の知人でハイチを陸路入国後にマニュフェストによって飛行機でのドミニカ帰国を余儀なくされたと言う例もあるのでまずはフライトチケットを確認すると往復で300USドルは超える・・・


『これは・・・一度市内に出てバス会社にいって料金を確認してから判断する必要があるな・・・』


私は市内に出て宿を取り、バスのチケットオフィスへ向かう。

バスも厄介で3,4ヶ月まえぐらいに訪れた旅行者や情報ノートに書いてある情報では週2便と聞いていたが、現在は毎日運行されているという。これは追い風だ。それにハリケーン、直撃したのはどうやら北部で南部にある私の狙撃ターゲットであるポルトープリンスは大丈夫のようだ・・・

料金は往復で約8400円、これに行きに26ドルと100ペソ(ドミニカの通貨単位、約350円)、帰りに28ドルと100グル(ハイチの通貨単位、約280円)が出入国税やビザでかかるという話だ。

決して安い金額ではないが・・・

これならば“買い”だろう・・・

そもそもドミニカ共和国の出国はもう9月19日と決まっている。ハイチ・・・、様々な情勢を考慮すると中一日で首都狙撃をピンポイントでやるのが利口な判断というものだ・・・


私は2泊3日の予定にしてチケットを購入し、ホテルに戻る。


明日はいよいよハイチだ・・・


サントドミンゴ旧市街の中心コロンブス広場。それとチケットを買いに行く道の途中にあった自転車店の看板。なんか気に入った。




第2章ハイチ入国

2008.09.12(金)

バスの出発は1100時、ハイチの首都ポルトープリンスまでは大体6,7時間なので向こうの到着は夕方だ。
私は当初首都であるポルトープリンスに到着すると思っていたが実はそうでなく、首都ポルトープリンスから20Kmぐらい離れている首都の山の手にあたる高級住宅街、ペチョンビル地区に着くということだ。

首都ポルトープリンスの治安の悪さが名高いのでそれよりも安全なここにバス会社も拠点を持っているのだろう・・・

これがその国際バスCARIBE TOUR、ちなみに食事付



バスは順調に進み1530時にドミニカ国境へ到着。

それにしても今までのカリブ海の島国と違って桁外れの大きさだ。

ドミニカ共和国人口約1000万人、総面積は九州と高知県を足した大きさで。ハイチで人口約800万人、総面積は四国と九州を足しで2で割ったほど、これが一つの島国で2つの国家を形成しているのだから移動に時間がかかるのも仕方が無いだろう。

ドミニカのイミグレで手続きを終える。といってもパスポートはバスのスタッフに預け、お金は乗る前にバスのオフィスで支払っているので基本的には顔を出して後は待っているだけだ。待つのが苦痛だが面倒は無い。

ドミニカ共和国のイミグレ前、そしてあのゲートを越えればそこはハイチ・・・


手続きに30分以上かかったがゲートがオープンし、ハイチへ入国。

いよいよ今回狙撃予定の最後の国へのにゅうこ・・・



うぁっ!!



国境を越えると同時に目にした光景。屋台が完全に水没中・・・



ハイチ・・・最初に目にする光景がこれとは・・・


中々に侮りがたい・・・



イミグレはここから少し離れた場所だ。手続きを済ませてまたバスを乗り、ペチョンビルを目指す。

道中は所々水浸しだ!ドミニカ共和国ではこんなことはなかったのに・・・

道中



脆弱なインフラ・・・水はけが悪く浮きになると簡単に水が溜まるのだ・・・

途中で雨にもあった。




ハイチの山の手に当たるペチョンビル地区に近づいてくる。

んっ?


山の手って・・・

バスの中から目にした光景



高級なのか?これが・・・


バスは1800時にペチョンビル地区に到着。

タクシーの運転手が安い宿を知っているぞとすかさず声を掛けてくる。

知人から聞いた話ではタクシーのドライバーに適当に宿を紹介してもらえば30ドルぐらいであると聞いていたが・・・

私は彼に色々と質問してみる、どんなホテルを知っているのか?そしてここから市の中心は?この付近にホテルはあるのか??等など。

だが、彼の答えは首尾一貫している。「俺は安宿を知っている。君はここが始めてだから車が無いと無理だろう」と・・・


私はこういった手合いを利用するのは好みではない。先ず、こちらの質問に答えようとせず、彼の希望だけそれを私に飲ませようといってくる。

こうした会話にならない相手のいうことを聞くのは例え相手の言うことがあっていたとしても気に入らない。

山の手とはいえここはハイチだ。治安に補償はない。それに私がここでするのはたった2泊だ。

こういう時はタクシーを利用してさっとホテルを決めてしまうのがベターと分かってはいるが・・・

好みでないタクシードライバーに身を任せて彼の言うなりにホテルを取るのは癪でしかない。

私はしつこく食い下がってくる彼に「歩いて探すからいい」と告げバス停を後にする。

地図も無く、あてずっぽうに中心にあるという広場を目指す。

最初に500円ぐらいの安宿を発見して部屋をみたが水は無く、そして部屋に鍵がかからないのでそこはアウト。
その安宿に教えて貰ったホテルに行くとそこはモーテル、受付で待つ間に数組の明らかに売春婦とそのお客と思われる男が部屋に入っていく。
普通に泊めれるとはいっていて、部屋も中々良かったがここは毎日昼一度出てまた会計してとなるので持っている荷物やそれに常に入れ替わる客層も心配の種だ。

20ドルくらいで泊まれるそのモーテルを後にしてロンプラに乗っていた高級ホテルに向かう。そこの値段は1泊88ドル、私が値段を聞いて固まっているとフロントの男が「ここよりは安いよ」と宿を紹介してくれる。

ロンプラにも載っているその宿は部屋は35ドルからだ。

日もくれて1900時を回っている、そろそろ宿を決めなければいけない。

私はそこに向かうと壁に料金表が貼ってある。

確かに35ドルから始まっているが35ドルの部屋は1室のみ、もちろん埋まっている。次に安い部屋は45ドル、数室あるので大丈夫かと思いきやそこもフル・・・

結局開いてる中で最安は55ドル・・・


セントクリストファーネイビスに次ぐ大出費だが・・・


もう夜になる今、治安が悪いと言われるこの国、これ以上この中を歩き回って宿を探すのは得策ではない。
それにここにいるのはたった2泊だ。

私は意を決してその宿に泊まることにする。


私は宿に泊まると直ぐにスーパーに買い物に出る。

明かりがついているのは自家発電機を持つ家のみで後は街は完全停電都市だ・・・・

高級住宅街に当たるこのペチョンビルであってさえこのていたらく・・・


ハイチ・・・いずれにせよ、今私はその始まりを迎えたのだ・・・




第3章ポルトープリンス狙撃・・・


2008.09.13(土)

翌日、朝食をとり早速首都のポルトープリンスの狙撃へと向かう。

時間は今日しかない。

ペチョンビルの中心サンピエール広場 


ペチョンビルからポルトープリンス行きのバスがあるマーケットエリア。無節操な人の動きやその喧騒、脆弱なインフラなどどこをどうとったらここを高級住宅街と言えるのかは私には分からない。




マーケットエリアからポルトープリンスへ向かう

ちなみに交通機関は中型バス、ミニバス、荷台を改造したステーションワゴンなど、料金はどれもいっしょだが、こうした貧しい国の常として満員になったら発車するシステム、座席も改造しているので満員時はイナバの物置状態だ。

これは乗った中型バスの中から撮影


私はポルトープリンス観光の中心、シャンプ・デ・マール付近でバスを下ろしてもらう。

シャンプ・デ・マールにその横の独立広場。


シャンプ・デ・マールの横にある国立博物館に記念塔?これも立派



国力にまったくそぐわない立派な大統領邸


これも無意味に立派な教会。残念ながら中に入れなかった。


郵便局。この前の屋台で地図をうっていたのでゲット!観光案内所がしまっていたので良かった。


そして海岸近くにあった世界統合広場(正式な名称は不明というか忘れた)、日本の国旗もある。


墓場の入口と、その横の壁に描かれていた絵なんともシュールでいい。


海沿いに出て撮影した景色。どう見ても浮浪者風の人間がたむろしており、入った瞬間に鋭い視線を感じてこちらを怪訝な顔で凝視する者もいたのでここに行く事はあまりお勧めできない。私も入って写真を撮ったら速攻で抜け出した。ちなみにここから海岸線を眺めていると遠くにスラム街も見える



そしてカラフルなバス(中距離以上と思われる。利用はしていない)パキスタンやバングラディッシュを髣髴させる。






独裁色の強い国家の傾向としては政府関係の建物や広場、そこにあるモニュメントが無意味に立派というのがある。
己の権力を誇示するというのが彼らの目的だ。
こんな物に金をかける以前にもっと他にやるべき事が山済みの筈だが独裁者はそんな事を気にしてはいない。
西半球最貧国と言われるこの国も多分にもれないがこれがハイチの真の姿ではない。




ここで最も目に付く物、それは道路に溢れるおびただしい量のゴミである。そしてこのゴミがこの国の真実を最も雄弁に語っているのである。



街並と道路に固まっているゴミ





こんな感じで街中の至る所で目にする。臭いも凄まじく、横を通ると異臭が鼻をついて気持ち悪くなるほどだ。




それにここはフランス語圏だ。私が歩いているとしばし「シノワ(中国人の蔑称、英語で言えば日本人をジャップというのに相当する)」と私をさして呼び声が聞こえてくる。

以前ならカッとして言い返すところだが私の最近の反応は変ってきている。

肩をすくめて「ふぅ〜」っと溜息をつき相手を明らかに憐れむ目線を送って「馬鹿は仕方ない」と態度で示すようになってきているのだ。

それにしても黒人国家、いままで多く行って来たが大抵の傾向としてはこうだ。

白人は旧植民地時代の支配者だから彼らにとっては「シェフ(だんな)」と言って卑屈な態度を取る、そしてその卑屈になって歪んだ精神の矛先が東洋人に向かう。中国人が世界中に展開し、彼らの閉鎖的なコミュニティーを形成してその国の利益を吸い取るだけ吸い取ってその国には還元しないというのも一因にあるが、中国人が多分彼らの10分の1ほど働けば彼らの10倍は働いていることになり、そうなれば儲かるのは当たり前だが、彼等は不当に搾取されているとしか感じない。
そして彼らから見たら我々が黒人は全員一緒に見えるのと同様に、東洋人は中国人も韓国人も日本人も一緒に見えるから私の国籍が何であれ一番目に付く中国人として、彼らの卑屈になった精神の腹いせに歪んだ精神を持って侮辱する。

これが正解かどうか?私にはわからないが今までの経験から言ってこう感じてしまうのも仕方が無いことだろう・・・

それにしても腹立たしいことこの上ない。せめて「シノワネーゼ(フランス語の中国人)」と言ってくればいいものを「シノワ」と言うのはやはり気に入らない。

ここはアフリカではなくカリブ海だ。だが彼らの歪んだ精神は海を遠く隔てたここでもきちんと継承されている・・・



話は急に変わるが、私はここで一つ、どうしても言いたいことがあった。


(ほわんほわんほわーん:注・回想というか妄想シーンです)

デューク東城、以下“D”『あれっ、こんなところに観光客。お美しい方ですね、日本からきた女子大生ですか??』 

美人女子大生、以下“美”「ええっ、夏の休暇がありますので・・・それにハイシャンアートに興味があったものですから・・・」

D 『それは奇遇ですね、私もハイシャンアートに興味が合ってここを訪れたのですよ(注:実際はアートのアの字も知りません)。でもこんな国で、それもこんな所でばったりと出会うなんて・・・これも運命かもしれませんね・・・』

美 「はい、私もそう思います、これは神が成された奇跡の出会いでは・・・」

D 『どちらに泊まられているんですか?』

美 「そこにある一流ホテルに・・・」

D 『そうですか、この後夕食でもと思ってましたが・・・私は残念ながらペチョンビルへ戻らなければなりません』

美 「せっかくこうして出会えたのに残念ですわ・・・」

D 『ええ、でも私はこの出会いをこのまま終わらせたくはありません、メールのアドレスを教えていただきますか?』

美 「はい、よろこんで・・・」

D 『では一緒に記念撮影をしましょう、後でメールを送りますよ!』

美 「いいですわよ」

D 『じゃあ私が声を掛けますのでこう答えてください(耳打ちして台詞を教える)』

D 『ではいきます。ハイチと言ったら??』

美 「ハイ・チーズ・・・!!」


(ほわんほわんほわーん・注:回想シーン終わり)


だが、政情不安定のこの国で日本人美人女子大生はおろか、観光客など全く見ることはない。


私はこのどうしても言いたかった一言を諦めペチョンビルへ戻ることにした。


首都狙撃を終えた今、後は安全圏であるドミニカ共和国へ脱出するだけだ・・・




第4章そして脱出。


2008.09.14(日)

バスの出発は0830時だ。オフィスが開くのは0700時と朝早い。
しかし治安の安全なドミニカ共和国を1100時に出発して夕方ハイチ着、そして治安の悪いハイチを朝0830時に出発してドミニカ共和国へは1600時頃着とはどうかんがえても襲われやすいスケジュールだ。これが逆なら分かるが・・・

オフィスの開く時間ぴったりにいっても早すぎるだろうと私は0730時にオフィスに到着。

だがオフィスはしまっている。

『はぁぁぁぁ〜・・・』


サントドミンゴではきっちりと運行されていたこのバス、国が変わればスタンダードも変る。そういえば西や中央アフリカではよく「朝0600時に来い」と言われてその時間にいくとそこから延々とまたされて出発したのが5時間後なんてのもざらだったが、ハイチに入るとこのしっかりとした旅行会社であっても「黒人国家スタンダード」で動くのか?

そんな事を考えていると0800時になってオフィスがオープンする。

1時間遅れ・・・

まあいいだろう、私がチケットオフィスに入り、壁にかかっている時計を見るとなにやらおかしい。

『んっ・・・・?』


そこには2つの時計、そしてハイチとドミニカ共和国の間には1時間の差が・・・


『・・・』



『・・・・・・』


『まっ、まさか・・・こんな・・・大きいと言っても所詮は九州に四国を足してすこし増やした程度のこの島で・・・』


『国が二つあるからと言って時差を設けるなんて・・・』


『なんだっ!なんのPRだ!!こんな小さな島で時差を設けて“俺の国はお前とは違う”と言いたいのか??』


幸いにして私は時刻遅いほうに間違えていたので一時間余分に待つだけで済んだが・・・


『はぁぁぁぁ〜・・・馬鹿の考えることはわからん・・・』


ここでバス会社のオフィスでチェックインする時にもう一つ気付いたことがある。

彼等は国境での手数料として当初聞いていたのとは違う「15USドルと100グル」を請求してきたのだが・・・

確か日本人にはドミニカ入国の際のツーリストカードは不要で料金はかからない筈だ。

それに行きでもそうだったがレシートも何も貰っていないから払っている金額が正当なのか?手数料が上乗せされているのかが分からない。

往路は治安の悪いハイチに入国すると言うことでナーバスになっていたのでお任せにしたが・・・ここは確認するひつようがあるだろう。

私はオフィスに「日本人はドミニカ共和国入国に費用はかからない事を告げ、国境で確認する必要がある」と告げるとオフィスは私にお金を返して、じゃあ国境でと言うことになる。

これが乗り込んだバス。


バスは順調にすすみ国境へは1030時に到着

バスのスタッフが私のところに来て「ハイチの出国税が10ドルと100グルかかる」と告げる。

支払わない理由は無い。彼女に料金を手渡す。

そして「ドミニカ入国にはツーリストカード代が10ドルかかるからそれも今支払ってくれる?」と聞いてきた。

その際に私は彼女にこう告げた。

『ドミニカへの入国は日本人はツーリストカード不要だから料金は必要ないよ』

と。

彼女も私の説明に一応は納得したようだが、そもそもこのバスに日本人の利用者など乗ることがあっても稀だ。彼女がそれを知らなくても別に非難には値しないし尤もなことだろう。
ちょっとおかしく感じたのは最初にオフィスで言われた金額は15ドルに100グルだがこうして分割して払うと20ドルに100グルとなるのは不思議だ。やはり賄賂絡みなのだろうか??
まあでもハイチの出国に賄賂があったとしてもドミニカの入国がタダなら請求額よりは5ドル安くなるからそれはそれでいいのだろう。

彼女は私に「じゃあドミニカのイミグレで確認してね」と言ってその場は終わりになる。

しかし出国手続きもバス会社任せだ。私は顔をパスポートを照合され、後はそのスタッフにパスポートを返すからバスに戻ってくれということだ。

おそらく手続きだけしてそのバスに乗らずに勝手な所に行かれるのが怖いからだと思うが、旅行者としてはパスポートが手元から離れている瞬間はなんとも嫌な気分だ。

出国手続きを難なく終え、ドミニカ共和国のイミグレへ向かう。

パスポートは一度乗客達に返されている。

ドミニカとの国境付近のマーケット、相変わらず水浸し


私はパスポートを持ってイミグレの列に並ぶ、

バスのスタッフであるハイチ人の若い女性はイミグレの中で乗客リストを係りに見せているようだ。

私の番が来て私は残りページの少なくなってきたパスポートのページを開いて『ここにスタンプを』と告げる。

彼等は私のパスポートを見せ、なにやらそこの偉い人にすこし相談した後で「問題ないよ」と告げてくる。

お金の話は出ていない。ということはもう払わなくていいだろう・・・

私は特に『タダだよね〜』と念押しすることも無く、彼らが「パスポートはバスのスタッフに渡してバスで返すよ」と言ってきたのでバスに戻ることにする。

国境の風景



いずれにしてもドミニカ共和国に帰ってきたのだ、セーフティーゾーンにいるからもう安心だ・・・

後はパスポートが帰ってきたら一息つけるだろう・・・


手続きは意外に長く、一時間ぐらいたってからだろうか?バスに乗客が戻り、そしてスタッフが帰ってきて出発となる。

『ふぅ・・・』


後はスタッフが私にパスポートを戻せば終わり・・・


『んっ?』


スタッフの女性が私の所に一直線にやってくる。

そしてスペイン語で私を非難するようにこう言い始めたのだ!


「あなたっ!ドミニカ入国にお金がかかって私が10ドル建て替えたのよ!!」


『えぇっ!!』


『私は言ったでしょう、日本人には入国カードが必要ないから料金もかからないって・・・』


「あなたはそれを確認したの??」

確かに・・・念を押すことはしなかったから確認はしていない。だがドミニカに最初に入国した時に空港にでかでかと看板があり、そこにツーリストカード不要な国として日本もばっちり書かれていたのだ。ガイドブックにも不要とかかれているし外務省のホームページにも不要とかかれている・・・

私は抗弁をする

以下“D” 『確かにきちんと確認しなかったが・・・でも不要なのは確かなんだ・・・』

バスのスタッフ:以下“ス”「でも私が代わりに払わされたのよ」

D 『なんで払ったの??』

ス 「彼等は料金を請求してきたわ、10ドル必要なんでしょう、支払ってよ・・・」

D 『領収書は?ツーリストカードは?あれば払うよ!!』

ス 「無いわよ、イミグレでそのまま回収されているわよ!!」

そう言えばバスに乗る前にたまたま仕事でハイチに訪れたフランス人と話し、彼に聞いたらフランス人はツーリスト・カードがいるから空港で買わされたが、それも入国審査官に渡すので実際にカードを持つわけではないと言っていたのだ・・・

しかし、いままで周った国で国境で料金がかかるならそれに基づく領収証が必ず出る筈だし、そもそもレシートが出ても回収されるなんて払った人間にはそれが適切な物なのかどうかも分かりようがないだろう。

こんな馬鹿げた話はない・・・


『はぁぁぁぁ・・・』


言いたいことはまだある、彼女は何故払えと言われた時に私を呼ばなかったのか?そうすれば払う事になったとしても私は納得できただろう。人が必要ないと説明し、彼女も理屈は理解していた筈だ。

それをわざわざバスが出発して、もう戻れなくなってから人を非難するように言ってくるなんて・・・

言っておくが10ドル支払うというのはたいしたことではない、気に入らないのはそれが正当でないと思えるからこうも抗弁するのだ。



だが・・・


確かにイミグレで『タダだよね』とダメ押ししなかった私にも問題が無かったとはいえない。彼女の剣幕から言って彼女が払ったと言うのは信用できる。そしてそれ以上に私の拙いスペイン語では相手が分かるようにきちんと筋道だてて理屈を説明するのは無理だ・・・



私は彼女にこう告げる。

D 『分かった。10ドルは出す、だけどパスポートを今すぐ返してくれ』

ス 「他の乗客と一緒に後でまとめて・・・」

D 『それならばその時払う、でも今人に支払えと言うならパスポートと交換だ』

彼女はやるせないといった表情を見せ、パスポートを持ってきて私に返す。

私はもう一度『日本人には入国時にツーリストカードは必要ないんだけどね』と言って10ドルと引き換えにパスポートを受け取る。

想像通り、そこにあるのは入国スタンプだけで支払いの証明もツーリストカードも無い・・・

実際に陸路の場合は空路と違ってなにがしかのお金が必要なのかもしれないが・・・

これではその証明もしようがない、ハイチを出国し、ドミニカ共和国に帰ってきた私だが・・・


なんとも後味の悪い帰国であった・・・




エピローグ


世界最初の黒人共和国ハイチ・・・


私にとっては別に良いも悪いも無い。


不釣合いに立派な建物があるのに、脆弱なインフラ。
街をあるけば「シノワ・シノワ」と侮辱され・・・


そして国境でのごたごた・・・


今から話すことの前に予め言っておくが私は別に人種差別主義者ではない、

私には「白も黒も黄色も関係ない」。

ただ私にとって気になるのは「彼らがボッてくるか来ないか」それだけだが・・・

だが、私はおそらく他の旅行者よりも遥かに多くの黒人国家を見てきている。
そして黒人国家を訪れた後はいつも決まってこういった感傷になってしまう事を止められないのも否めない事実だ・・・







黒人の国だけに・・・






「苦々(にがぁにがぁ)しい思い出だけだった・・・」




と・・・






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