第25話 魁!臆病塾!!(舞台国:ドイツ)

Category: 激闘の記録!


あらすじ

押忍!俺の名は一号生筆頭剣儘太郎(つるぎ・ままたろう)。

真の臆病を極めんと日本全国から弱者(よわもの)共が集まる臆病塾に入塾し、日々辛い旅行に励む毎日を送っている。

そんなある日、塾長の江田鳥兵八(えだとり・へいはち)から恐羅大4狂殺の命が下った。

相手は南独逸剛学連(みなみドイツごうがくれん)。

一癖も二癖もありそうな連中が相手だ。

フッフッフッ・・・

俺達もまったくキツイ親父をもったもんだぜ・・・


(注:本作中様々な人物が登場しますが全てデューク東城内にある人格の一つであるので体という点に関してはたった一人です)




プロローグ

2008.10.31(金)

ドイツ屈指の名城ホーエンツォレルンを抜けウルムに到着。

塾長から下った命はこれだ。

ここウルムで世界一高い大聖堂の塔を制覇し、そしてネルトリンゲンへ行き市内観光をしつつダニエルの塔を制す。そしてアウグスブルグへ行ってここも市内観光をしつつペルラッハの塔に登り、最後はロマンティック街道のメイン、剛学連総長のノイシュバンシュタイン城の夜景をマリエンブリッジから眺める。

これをたった一日の中でこなさなければならない。列車で次々に都市を移動しながらなので各都市に与えられている時間は1時間、2時間程度というキツイ闘いだ。



だが・・・


俺達は臆病塾の塾生だ。どんな旅行からも逃げるわけには行かない・・・



第1の狂・胡婁霧(ウルム)


胡婁霧に到着したのは昨日。

下調べもかねて市内観光を素早くすます。

壁の装飾が綺麗な死庁舎に死不壊棲・覇有珠(シーフェス・ハウス、ちなみにドイツ語で傾いた家という意味)


そして今回の対戦相手の胡婁霧廼逝堂(ウルム大聖堂)





市内観光を夜済ませたのには勿論訳がある。胡婁霧廼逝堂の塔は0900時からオープン、そして次の目的地、禰瑠斗凛幻(ネルトリンゲン)発の列車は1000時、塔を登ったら直ぐに駅に向かわなければこの列車に乗り遅れ、大4狂殺の達成が危うくなるからだ・・・








明けて翌11月1日(土曜日)



塔に登れる0900時ぴったりに廼逝堂へと辿り着く。




しかし、この胡婁霧廼逝堂の塔は高さ約161m、階段にして768段。教会の塔で世界最高の高さを誇るこの塔は半端な相手ではない・・・







儘:『フッフッフ・・・誰が行く?』


G:「最初(はな)は俺に切らせてもらおうか・・・」





「マッ、マッハパンツのジィ!!」





(マッハパンツとは?

Gは旅行において下着としてトランクスやブリーフを使用せず、激しい動きで汗でぬれてもいいように運動用のスパッツを愛用し、凄い勢いで高速旅行を続ける事から“マッハパンツ”の異名を持つ。

マッハとは書いてあるもののその速さは目に十分に止まる物である事は言うまでもないだろう・・・



民朋(みんぽう)書房刊、「米国海軍における男子着用の下着の歴史とその変遷」より)




意気込みも確かに早速登頂にとりかかろうとすると


「ガイドが点検しているからちょっと待って」

と受付のお嬢様が言ってくる


この時間の無い中でそんなトラップを仕掛けてくるとは・・・


流石は南独逸剛学連最初の相手だ。


これは容易ならざる敵である事が判明する。


斜め下から見上げた廼逝堂とガイドの点検が終わるまでに見た廼逝堂の中





点検が終わり塔に登れるようになったのは0915時、すでに列車の出発までは45分しかなくなってきている。


G:「いくぜ・・・」



バチカンの大クーポラ(ドーム)ですら約450段、他にもいままで登ったドームや塔もあれども500段を超える階段を垂直に登ると言う経験は未だかつてしたことがない。



中腹から、人が小さく見える




「ふぅぅぅぅ〜・・・」



登っている途中で



中の階段の様子。



そして頂上に近づいてくる・・・



いよいよ、最後だ・・・。一番上の展望台に立つ。所要時間は10分、マッハパンツの異名に恥じないスピードだ。


展望台から見た頂上



儘:『んっ・・・??』


「どうした?儘??」


儘:『ジィの様子がなんだかおかしい・・・、どうした?ジィ!!』




G:「儘・・・、どうやら胡婁霧の廼逝堂は俺の考えていた以上に強敵だったようだ・・・」



儘:『何?』





G:「上から・・・何も見えねぇ・・・」


廼逝堂頂上からの景色





儘:『ジィ、見えるようになるまで俺達もここに・・・』



ピカッ!!


ガガガガッ・・・!!





儘:『どうした、ジィ・・・!!』


『ジィィィィィ・・・・!!』




玉大人(ぎょくターレン)

「死亡確認」





儘:『・・・ジィ・・・、塔は制覇した物の何も見えずに相打ちとは・・・』





流石は南独逸剛学連・・・


やつらの強さは半端じゃねぇ〜・・・



ジィが散った胡婁霧廼逝堂






第2の狂・禰瑠斗凛幻(ネルトリンゲン)


胡婁霧廼逝堂を後にして鉄道駅へ。1000時の出発に寸前の所で間に合う。

Gは失ったが熱い臆病共の闘いは始まったばかりだ。

第2の狂・禰瑠斗凛幻に到着したのは1220時、次の狂である亜胡愚棲武屡虞(アウグスブルグ)行きの列車は1415時に発だからここでは2時間の時間がある。

だが胡婁霧の時とは違ってここは塔だけが相手ではない。市内観光もしなければならないのだ。


儘:『ここは誰が行く?』



土:「ここは臆病塾名物、汚慰琉風呂(オイル風呂)の土菓子犬児(ドガシ・ケンジ)に任せてもらうぜ・・・」



(臆病塾名物・汚慰琉風呂とは?

新宿の歌舞伎町や吉原等に存在し、ここでは女性によって全身にオイルを塗布された挙句、その後ありとあらゆる非奥儀をつくされ、男を忘我の境地に至らしめるという恐るべき風呂に行き、そこで最後まで果てずに耐え抜く荒行を言う。

土菓子は延長料金まで支払って耐え抜いた事を自慢しているが、その物本来の訪問目的を考えれば“ただの無駄遣い”であることは明らかであろう・・・


民朋書房刊:「昭和・平成における刑罰ならびにその公証史」より)

駅にはコインロッカーが無く、荷物は駅併設のカフェに預けるという独逸にしては一風変った駅だがこれも第2の狂に相応しい幕開けである。

儘:『任せたぜ、土菓子・・・』



土菓子は効率良く観光を始める。

禰瑠斗凛幻入口からの景色。 


教会とその前にある建物




十:「へっへっへ、早速この堕爾獲瑠(ダニエル)の塔とやらに登らせてもらうぜ・・・」


堕爾獲瑠は高さ89.9m、階段の数も450段程度と中々の強敵だが先ほど768段の胡屡霧の塔を登ったばかりだ。
それに比べれば大したことはない。

堕爾獲瑠の塔



土菓子は難なく頂上を制する。

堕爾獲瑠の塔から見た禰瑠斗凛幻の街並


十:「へっへっへ、禰屡斗凛幻は隕石が落下した後に建てられ、アポロ14号と17号の飛行士がフィールドトレーニングに訪れたというが・・・この汚慰琉風呂の土菓子にとっちゃ、たいしたことねぇぜ・・・」


予定よりも長く頂上に留まると儘の声が聞こえる。


儘:『土菓子ぃ〜・・早く戻って来い。塔だけが相手じゃねえぞ!!』


十:「分かってる分かってる、心配しなさんな・・・」


土菓子は塔から降り、引き続き市内観光を続ける。





十:「んっ?なんじゃ、こりゃ??」







十:「へっへっへ、この禰屡斗凛幻でこんな漢字を当ててる車を見るなんてゴッツイのぉ・・・」


儘:『土菓子、それは罠だ!!時計を見ろ、急げ時間が無いぞ!!』


十:「何?儘!!」


予定よりも長く堕爾獲瑠の塔にいて、そしてこんな車に注意をそらしている間に・・・


出発まであと10分に迫っていたのだ!!


儘:『急げ!急ぐんだ土菓子!!』


十:「わかってるよ、儘、まあ俺に任せ・・・あっ!」


儘:『どうした、土菓子!!』


十:「いや、このウオーキングマップを見ているとまだ行ってない見所が・・・」


儘:『いいから来い、もう時間がないぞ!!』


儘:『土菓子、土菓子ぃ〜!!』



十:「儘、短い間だったが俺はお前らと一緒で幸せ者だったぜ・・・」


十:「俺はここに残って残りの観光を最後までやり続ける」


儘:『やめろ!やめるんだ土菓子!!』


十:「俺の名を忘れるな、臆病塾名物・汚慰琉風呂の土菓子犬児じゃぁ〜」



玉大人、「死亡確認」



儘:『とっ土菓子ぃ〜・・・』




儘:『ジィに引き続き土菓子まで相打ちとは・・・』



流石は南独逸剛学連・・・


恐るべき相手よ・・・






第3の狂・亜胡愚棲武屡虞(アウグスブルグ)


禰琉斗凛幻の駅に何とか間に合い亜胡愚棲武屡虞(アウグスブルグ)へ

到着は1600時、約2時間の移動だ。

ここの出発は一時間後、とにかく時間が無い。

2000年の歴史を誇る帝都・亜胡愚棲武屡虞は流石に南独逸三面県最強と言ってもいいだろう。


儘:『もうこれ以上仲間が殺やらるのを見るのは沢山だ・・・ここは俺が行くぜ・・・』


ゴスッ!!


儘:『とっ鳥丸・・・何を・・・!』


鳥:「猛鶏流破髄掌、これでしばらくの間は動けねえぜ・・・、それにお前には大将として俺達の闘いを最後まで見届ける義務がある・・・。ここはこの獄厨房の鳥丸鶏次(とりまるけいじ)に任せてもらおうか・・・」


(獄厨房とは?

かつてアルゼンチンのエルカラファテにて、チリのプンタアレーナスからプエルトウイリアムスに行くフェリーを待つ為に10日間ぐらい何もせずに沈没し、その間自炊をして厨房を極めたと豪語していることからこの仇名がついている。

もっとも鳥丸が作る程度の物は他の誰でもそれ以上に旨い飯が出来るという事は言明する必要は無いだろう・・・


民朋書房刊、「客船の出航待ちに於ける滞在地の選び方とその自炊による調理法」より)




儘:『うぅ・・・(意識が回復して)』



鳥:「これが猛鶏流観光術じゃぁ〜・・・」



亜胡愚巣武屡虞の街並


30分程度で市の中心部分の観光を終わらす。後は部屡羅津破(ベルラッハ)の塔だけだ。


ちなみにこの部屡羅津破の塔は70m、通常こういった展開ではどんどん強い敵が現れてくるのがセオリーだが単純に塔だけ見ればどんどん弱くなっている気がする。

登場人物から見れば確かにこちらもどんどん弱くなっているのだからこれでちょうどいいのかもしれないが・・・


段数は約350段、ようやく400段は下回る。


部屡羅津破の塔からの景色





綺麗だ・・・それにもう夕暮れも近い・・・


ここは残って・・・


儘:『鳥丸、俺もここに残るぜ』



鳥:「儘、いいからお前は行くんだ・・・」



儘:『だが・・・俺も最後までお前と一緒に残って大好きな夕焼けを・・・』



鳥:「お前は俺達の大将だ。お前が最後までこの大四狂殺をやらねえでどうするんだ!!」




儘:『俺は行かない。死ぬ時はお前と一緒だ・・・』



鳥:「おぉぉぉぉ・・・!!(無意味な気合の咆哮です)」




鳥:「儘、これだけいっても分からねえのか?だとしたらお前は俺達の大将の資格はねえぜ!!」




儘:『とっ鳥・・・、分かった、俺は行くぜ・・・』




鳥:「そうだそれでいい、もう決して振り向くんじゃねぇ・・・」




儘:『ああ・・・俺はもう振り向かない・・・』




鳥:「命あったらたまには思い出せやぁ、この獄厨房の鳥丸の名を!!」





結局降りてから振り返って撮影した死庁舎と部屡羅津破の塔





玉大人、「死亡確認」





今までの三人は相打ち・・・これで残る敵は・・・後一つだ・・・







最終の狂(第4の狂)・廼威繻蛮囚蛇陰(ノイシュバンシュタイン)



その後列車とバスを乗り継ぎ、廼威繻蛮囚蛇陰の麓の町、ホーエンシュバンガウへ到着したのは1930時、夜の帳はすっかりと下りてあたりはもう暗くなっている。

だがこの恐羅大四狂殺の最後の闘はこれから始まるのだ。


相手は南独逸剛学連、櫓慢帝威苦(ロマンティック)街道の総長、廼威繻蛮囚蛇陰城、別名シンデレラ城である。

この大四狂殺最後の相手に相応しい敵だ。


もっとも今の時間帯、その中の観光をするわけではない。廼威繻蛮囚蛇陰城が最も美しく見えるマリエンブリッジからの夜景を撮影する事がこの敵を倒す事になるのだ。


これは翌日昼間に撮影したマリエンブリッジからの廼威繻蛮囚蛇陰城。


これが夜ライトアップに輝く姿を修めてこそ、この大四狂殺は完成する。





下から見上げたこの城はたしかに南独逸剛学連、櫓慢帝威苦街道の総長の貫目というに恥じない敵である。

下から見上げた廼威繻蛮囚蛇陰城



宿を取り、荷物を置いてさっそくマリエンブリッジへ向かう。


儘:『フッフッフ・・・行くぜ、みんな。俺は一人じゃない・・・G、土菓子、鳥丸、お前らも一緒だぜ・・・』



麓の町からこのマリエンブリッジは徒歩で30分ほどかかる。


儘は街灯の無い道を頭につけたヘッドランプだけであるく。


道中で見た麓にあるホーエンシュバンガウ城



ヘッドランプを付けてただ一人山道を歩く姿は実に不審だったのだろう。途中で車で見回りしている警官から職質をうけたが、そんなのはなんてことはない。今は熱い臆病の闘いの真っ最中だ。


しかしそれにしても暗い・・・LEDの白色光のヘッドランプでは足元を見るのが精一杯で道中の景色闇の中である・・・



儘:『フッフッフ・・・どうせ見えねぇのなら・・・』


目を閉じる。


そう、“心眼”。


儘ほどの旅行の達人で臆病の道を極めたのみが成しうる業だ。

儘レベルになると周りの些細な空気の揺れや微かな音から道を判断し、迷い無く歩く事が出来るのだ・・・



『・・・』




『・・・・・』





ゴツッ!!






『イデッ!イデデデデッ!!』






流石にこれは設定に無理があったようだ・・・






しかしそれにしても辛い。





朝の9時に教会で世界一高い塔を登り、それから2都市を観光、きっちりと塔まで登ってきている。往復で3000段以上あった

そして最後は山道を2km以上も・・・




この物語の構成上何人もの人間が分業しながら戦っているように書いているが肉体はたった一つ。


疲労はピークだ・・・

もう足も上がらなくなってきている・・・



儘:『くぅ〜・・・俺も最早ここまで・・・んっ??何やら麓から声が聞こえる・・・』







日本ツーリストの生き様は
色無し 恋無し 情無し
旅行の道をひたすらに
歩みて今を魁る
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ

日本ツーリストの魂は
弱く女々しく 情けなく
旅行の夢をひたすらに
求めて今を魁る
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ

嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ



儘:『臆病塾塾歌・・・あぁ松田のエールが聞こえる・・・それに秀麻流が上がらずの大団旗を上げる姿も・・・』


儘:『みんな・・・俺に最後の力を貸してくれ・・・』




マリエンブリッジの標識が見える。




儘:『おぉぉぉぉおぉ・・・一号生筆頭、剣儘太郎参る!!』



そして見た景色・・・







『・・・』





『・・・・・・』








儘:『ライトアップが・・・ライトアップがどこにもねぇ(涙)・・・』




ちなみにしつこいですが昼に見る景色はこんな感じです。これのライトアップが見れればどんなに素敵なことだったのでしょうか・・・






ライトアップされてなかったとは言えその夜景を見た事は確かだからこの勝負は相打ちといっていいだろう。



これが漫画なら最後は大将が見事勝利を収めてハッピーエンディングだがここは現実の世界だ・・・







臆病塾一号生筆頭・・・




剣儘太郎・・・






廼威繻蛮囚蛇陰にて散る・・・







玉大人、「死亡確認・・・」







エピローグ


激しい戦いだった・・・


この闘いでデューク東城はその中にある4つの人格を全て失い。そして南独逸剛学連は・・・



よくよく考えると全く無傷であった・・・




だが、この熱い臆病者達の闘い・・・




名付けて「恐羅大四狂殺」




決して忘れる事の出来ない激闘であっただろう・・・





最後に臆病塾三訓復唱!

ひとつ 塾生は旅行を尽くすべし
ひとつ 塾生は臆病を尊ぶべし
ひとつ 塾生は肉食を旨とすべし



以上であーる!!






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