あらすじ
中南米を中心としたヨーロッパ旅行が今回の目的である。期間は約1年・・・
勇躍旅立ちを果たしたデューク東城、最初の渡航地はアメリカのロサンゼルス。
しかし、この約束の地で万全の準備を果たしていた「プロフェッショナル・デューク東城」に予期せぬトラブルが襲い掛かる・・・
果たして、無事にサードミッションを開始することが出来るのか??
どうする?ゴルコサーティーワン!!
第1章 約束の地へ
2007.12.12
日本では直前になって忙しい日々が続いていた・・・
出発前日も知人と会い、夜を徹して語り合い、成田空港まで見送ってもらっての出発だった・・・
当然疲労の色は濃い・・・
しかし、今回私には「ゴッド」と名乗る男がついている・・・。
エジプトからスーダンへ向かうフェリーにて出会った彼は私よりも年長であり、大学卒業以来、旅行に身を捧げ、この世界では勇名を馳せている歴戦の勇士である。彼とはその後エチオピアやエジプト、そして日本でも再会を果たし、今回の目的地が一緒なので折角だからメキシコシティーぐらいまでは道中を共にしようとお互い話し合って出国日を合わせていたのだ・・・
成田空港で「ゴッド」と会う。これで・・・今回の旅行も貰ったも同然だ!!
そして、いよいよ出国の運びとなる。
格安航空券は今回はコリア・エアーで、ロスまでの直行便。搭乗すると、寝てなかったことも手伝って完全に爆睡状態に陥ってしまっていた・・・
出発したのは1430頃だがロスには同日の0800頃に到着。入国審査も難なく済ませて出国カードをゲットする。
しかし、時差の関係とは言え時間が戻るという感覚は不思議な気分だ。
そしてこの不思議な気分に水を差すように・・・体全体から寒気が襲ってきていた・・・
コリアエアーで毛布をかけて寝ていたのだが・・・その毛布が薄く・・・爆睡したために体温全体を下げてしまっていたようだった・・・
「さ・・・寒気が・・・寒気が・・・」
「ゴッド」から風邪薬をもらい、バスに乗ってダウンタウンにある安宿を目指す。
45ドルで2人は対して安いとは言えないがここはアメリカだ・・・
ここにホテルを決め「ゴッド」は観光へ、そして私は「ベッドで静養」と・・・
入国初日からなんともしまらない出だしになってしまった・・・
ロスアンゼルスのリトルトーキョー地区にあった看板
第2章 サンタモニカの風に吹かれて・・・
2007.12.13
昨晩殆ど寝ていたために体調も回復しつつある。物価の高いアメリカを早めに抜ける為に早速観光することにする。
バスに乗ってサンタモニカへ、有数のビーチエリアだがそれ程感銘を受けるとも思えない。
そしてその海辺の風にあたっていると・・・
なにやら・・・
「さ・・・寒い・・・・!!」
風にあたってまた風邪をぶり返す等とは・・・
サンタモニカのビーチ
しゃ・・・洒落にもならん・・・
しかし・・・物価の高いアメリカ、出来れば今日で観光を終わらせて・・・メキシコへ早く向かいたい・・・
そして少々無理をしながら、サンタモニカからハイライトのハリウッドへ・・・
ハリウッド地区
バスから降りると・・・更にさっきよりも酷く悪寒が・・・
ロスの全景の見えるグリフィスパークへ行こうとしたがパブリックのトランスポーテーションが無く、断念・・・
しかし・・・体調は一秒一秒悪化の道を辿っている・・・
ハリウッド観光もそこそこにホテルに戻る・・・
そしてベッドで・・・静養に・・・
なんともしまらない2日目となった・・・
それに追い討ちを掛けるかのように・・・
日本で約2500円もの大枚を叩いて買った充電池が・・・
私の充電器で充電出来ない事が判明・・・
店員は出来るといっていたのに・・・
そして2本も買ってしまっていたのに・・・
これがその充電池、リチウムーイオンとちょっと特殊!
第3章 そしてメキシコへ・・・
2007.12.14
体調は戻らず・・・朝起きて横で寝てる「ゴッド」に今日は無理そうだから先にメキシコに行くようにと伝えてまた横たえる・・・
そしてチェックアウトの1100に
「デュークさん、チェックアウトの時間ですよ・・・!!」
と神の声が聞こえてきた・・・
この私の体調は・・・相変わらずだが・・・・
横を見るとベッドの上で泰然自若と本を読むゴッドの神々しい姿が目に入ってくる・・・
なんとなく・・・期待できる姿だ!!
「こっこれは・・・」
「行くしかあるまい・・・」
普段の私なら・・・無理は決してせずにもう一日休養して様子を見るところだが・・・
ここは「神の神通力」に賭けて見ることにした・・・
そして慌しく準備を済ませ、神のお導きのもとグレイハウンドのバスターミナルへ・・・
チケットを買いメキシコへの国境街「サン・イシドロ」へ。
サン・イシドロへは1700頃に到着、徒歩で国境を越えてメキシコの街「ティファナ」へと・・・
体調はすぐれないのでゴッドにすべてを任せてホテルへと・・・
ホテルに到着と同時に倒れこむようにしてベッドに横たわる・・・
そういえば食事も摂っていないが・・・
まあ明日一日静養して様子でも見ようか・・・
第4章 国境の町にて
2007.12.15
15日・・・状態は悪い・・・ホテルからは一歩も動けず・・・そして食事も摂れず・・・
色々考えると・・・ただの「風邪」ではないようだ・・・
私は以前肺炎にかかって入院したことがあるが・・・そのときと同じような感覚なのである。
その時は仕事をしていたので無理をおして働いていて1週間程度放置してようやく通院、そこでもまったく具合が良くならず、病院に救急車で運ばれ、何とか歩いて医師の所に到着すると
「どうやってここまで来たんですか!」
とビックリされ、酸素マスクを付けさせられてなんやかんやと検査を受けてそのまま即入院。退院まで3週間程度もかかってしまったのだ・・・
この時、私が医者にした最初の質問は
「すいません・・・タバコはどこで吸えるんですか??」
ということであり、医者のみならず看護師にまで
「あんた、なんで入院しているか分かっているのですか??」
と厳しく叱責された事は・・・
いかに私とタバコが結びついていたかを物語る、心温まるエピソードであろうか・・・
そして、今回も・・・なんとなく嫌な予感がし始めていた・・・
ここで考えなければならないことがある・・・
病院に行かなければならないのは確かだが・・・
ロスならば海外保険で提携していてキャッシュレス(自分で支払わず保険会社が直接支払ってくれる)で治療が受けれるが・・・ここではノーチャンスだ・・・
それに海外保険を掛けてからの念願は・・・
キャッシュレスで治療を受けて入院して見たいというのがあるのだ・・・
幸か不幸か通院や入院にいたる病気を今までした事がなかったのだが・・・
折角保険を掛けたからには・・・存分に使って見たいといつも考えていたのだ!!
その日は一日悩んで・・・そしてアメリカに戻り病院に行く事を決意する・・・
それが一番いい選択肢であろう・・・
メキシコの国境街のティファナ
第5章 神の御手を離れて・・・
2007.12.16
朝ゴッドにアメリカに戻ることを告げる・・・
日本出国以来・・・メキシコシティーまでのうのうとストーカーをする計画だったが・・・
こうも体調が優れないのでは仕方が無い・・・
かくして「我は神の手から放たれた」のだ・・・
楽々ストーカー旅行はこれにて終了!!
何とも無念である・・・
ゴッドとメキシコシティーでの再会を約束して別れ、国境へ行くと長蛇の列が・・・
メキシコ入国時は拍子抜けする程あっさりだったのに・・・
列の進みは早いが人が多すぎるため一時間近く待ち、なんとか入国を果たす。
体調の悪いときにこれはキツイ・・・
そしてグレイハウンドのチケットを買いロスへ・・・
ホテルには1430頃到着するも・・・
管理人が不在・・・
ホテルの中には入れたものの
待合室の様な所で悪寒に耐えながら・・・
そして我慢しきれずに床に横たわって寝ながら・・・
ひたすら管理人の帰るのを待つ羽目に・・・
管理人は結局1930時頃にようやく姿を現し、ようやくチェックインに漕ぎ着ける・・・
なんとも遅いチェックインになったので、ようやくベッドに身を横たえると・・・落ちるようにして眠りについてしまった・・・
明日は期待の海外初通院!
そしてあわよくば・・・
夢を叶える為に入院してやる・・・!!
第6章 そして通院の日々・・・
2007.12.17-21
翌日早速キャッシュレスサービスが受けれる病院へ・・・
泊まっているホテルから徒歩5分ほどという好立地だ。
行った所は個人経営で小さな病院だったのでここでの入院は無さそうだが・・・
ここでの結果次第では
入院なんて事に・・・
「ウッ・・・ウフッ・・・!!」
事情を話すと早速色々と検査が・・・
採尿、採血、血圧測定、そしてレントゲン、内視鏡、検診、超音波による測定等等・・・
そして抗生物質を入れての点滴まで・・・
たかだか風邪に大げさなと思いつつも・・・
ここまでの治療を自費で支払っていたらと考えると・・・ここまでやってもらえて却って良い気もするが・・・
血液検査などの詳しい結果は2,3日後に分かるらしく・・・
とりあえずは入院までの必要は無さそうなので・・・
今回は薬を処方してもらい。病院を後にする。
と、言うことは・・・
健康状態に関しては最悪では無さそうなものの・・・
「入院の夢、叶わず・・・!!」
うむぅぅぅぅぅ・・・
それにちょっと付け加えるならば・・・
薬にはキャッシュレスサービスがつかず、後日保険会社に請求するとの事らしいがそれにしてもたった3種類で60?の出費は痛かった・・・
これが60?した薬・・・
翌18日、そして19日、体調は大分良くなってきたが・・・朝起きると大量の発汗をしていることもありホテルで静養に努める。
ちなみに食事は朝マックに夕は吉野家の牛丼・・・
治るものの治らなさそうな食事であるが・・・好みなのだから仕方が無いだろう・・・
それと、この際米ドルのキャッシュを作ろうとATMでお金を下ろすと20?、それも年度まちまちで旧札までまじり、そして銀行で100ドル札に換えてもらうと、年度こそまあ新しいもののどう見てもボロイお札しか手に入らず・・・
アメリカ・・・ドルの本場の割りに状態の良いドル札は入手が難しいらしい・・・
そして20日・・・
大分体調も回復してきたので、念のためにもう一度病院へ、午前中に行って良ければ午後出発だ!!
しかし・・・
前回の血液検査の結果が出ていたのだが・・・
その結果・・・
再検査した方が良いと言われ・・・午後もう一度通院・・・
検査の結果・・・どうやら血小板の数値が低くなっているらしく・・・内臓系になにか異常がある可能性が・・・
翌日の午前中に再検査することになり・・・自動的に出発は遅れることに・・・
そして21日・・・
約束の1030時に行くと・・・私の検査を担当する技師が遅れることに・・・
午後まで時間をつぶす為に図書館へ・・・
そしてもう一度1500時に・・・
検査の結果・・・脾臓が炎症を起こしていたことが・・・
そういえば医師が「タバコは控えてください」といっていたのだが一日一箱ペースが変わらず、それも血液に異常が出る一因になっていたようだ・・・
常日頃「口から煙が出せている限り俺は生きている」をポリシーにしていた私が禁煙など出来るわけも無いが・・・
それにしても具体的に数値で出されると・・・いい気はしない・・・
結局また抗生物質の入った点滴を受ける事に・・・
医師に出発は明日と告げたが、あまり気乗りはしていないように見える。
ただ、こちらの事情も分かるみたいで強力な薬・・・何が強力かというとたった1錠が24?もすることだが・・・を5錠、計120?という生まれてこのかた買った事もない薬を処方してくれた・・・
まあ保険で下りるらしいので・・・領収証さえ無くさなければ、それか強盗に遭って荷物毎いかれなければ・・・お金は戻って来るはずだが・・・
それにしても出費は痛い・・・
これが100ドルの薬・・・トホホホ・・・
そしてホテルに戻ると・・・
セカンドミッション開始時から使っていた帽子を無くしていたことに気付いた・・・
慌てて病院と図書館に行くも・・・物は見つからず・・・
茶色で軽量の為に重宝していたのだが・・・
結局6?でその場しのぎの帽子を買うことに・・・
これがおニューの帽子!帽子はプロフェッショナルのトレードマークなので止むを得ない出費!!ちなみにクオリティーはそれほど良くない
うむぅぅぅぅぅ・・・・
それにしても・・・
ツキまで無くしてしまっていたようだ・・・!!
第7章 さらばアメリカよ・・・!!
2007.12.22
朝起きてマックへ行き朝マックへ・・・
そしてバスターミナルへ行き、チケットを買う。
シーズンに入ったために大混雑で、長蛇の列、しかしカウンターは僅かに2つだけオープン、おかげでチケットを買うのに1時間半もかかってしまう・・・
そして一度ホテルに戻りチェックアウトする。
バスは1500に出発の筈が・・・定員オーバーの為に一度満員にして発車させ、次のバスが来たのは一時間後・・・
国境には1930頃、両替しようにも両替商はしまっている。
仕方なくメキシコに入って国境での両替商を利用しようとするも・・・レートがよろしくない・・・
思い切って街に出たら・・・あいている両替商は僅かにひとつ、しかも5パーセントもコミッションを取る所だけだ・・・
今回ティファナに泊まるつもりは無い・・・
この際だからとチケット代も含めて200ドルの両替、まあ10ドル分は完全に損をした形だ・・・
メキシコ第2の都市グアダラハラ行きのチケットを買う。これから36時間近い長距離移動だ・・・
夜2200時発のバスに乗り、去り行く国境を眺めて感慨に浸る・・・
そういえば・・・
アメリカの出国カードは持ったままだが・・・
なになに、裏面に何か書いてあるが・・・
以下抜粋
「出国記録
あなたは、この許可証を所有し続け、米国を出国する時に返還しなければなりません、これを怠ると、将来の米国入に国遅延が生じる可能性があります・・・(以下省略)」
うむっ!こっこれは・・・
おっ怠ったぞ・・・・!!
メキシコに出国の際は米国の担当役人に返還と書いてあるが・・・
そんなものティファナの国境で分からなかったし、ほぼ自動的に入国できるようになってしまっていたのだが・・・・
パスポートを新しいものに更新してまで望んだサードミッション、これでこの先また入国する時に今回の返納忘れで怯える羽目になろうとは・・・
そして私は今回のアメリカおいて、もう一つ・・・重大なことを・・・それも前もって分かっていたことだが・・・
それは・・・
アメリカで行ったのはロスのみということは・・・
「首都狙撃・・・初失敗・・・!!」
ということである・・・
これまでの116カ国、少々の無理を押してでも首都に立ち寄ってきたのだが・・・
今回確信犯的ではあるものの・・・それにしても気持ちは痛い・・・
「約束の地、アメリカ・・・」
私にとっては
「お約束の地」
と、言った方が・・・よりしっくりくるようだ・・・
第8章 振り返る日々・・・
今回のアメリカ・・・
自由の国、そして約束の地・・・
アメリカンドリームの国・・・
私は振り返ってこう考えざるを得ない・・・
海外保険による夢の入院は果たせず・・・、出国カードを返還し忘れたため・・・次のアメリカ入国に一抹の不安を残す羽目になり・・・
そして首都狙撃手たる私にとって最初に首都に行けなかった国になり・・・
さらに神には見放され・・・
どちらかというと・・・踏んだり蹴ったりの日々であった・・・
アメリカンドリーム・・・
私は確信を持ってこう考える
「夢は叶わないから夢ではないのか?」
と・・・
しかし、それでもいつの日か・・・
アメリカで・・・入院して、そして首都に行ける日が来ることを・・・
夢見ずにはいられない・・・!!
そして今回・・・
「激闘の記録」としてみたものの・・・
完全に
「闘病の記録」、それも大した事の無い・・・になってしまった事は・・・
プロとして皆に詫びねばならぬであろう・・・
リトルトーキョーで見かけた二宮金次郎の像・・・