世界一への挑戦 リメイク版(エリコ:イスラエル)

イスラエル  パレスチナ自治区





2006.05.21(日)
 

 エルサレムの観光は終わりだ、だがもう一日、私にはここにいてどうしても終えなければならない観光があった。


 そう、それは「世界一への挑戦・・・」だった。



 その言葉は私の中にある眠りかけた冒険心を揺り起こし、甘美な誘いをもって語り掛けて来た…

 本来の私の気質から考えると、3K(きつい、汚い、危険)を避け、エレガントなヨーロッパツアーを続けていくつもりだったのだが、旅行している以上「世界一」という言葉の響きは「たとえ危険を伴っていても」達成を目指す必要があるだろう。

 世界一への道程が「半端なく厳しい」物であるとは十分に承知している、例えば「エベレスト登頂」を挙げてみるとその厳しさの一端は思い知ることが出来よう。健康な人々が高地に向け年月を重ねてトレーニングを繰り返し、それでも全ての者がその位置に到達できる訳ではない。



 「世界一・・・」

 その言葉の甘美さとは裏腹にある、この先にある厳しい道中を私は考えていた…

 しかしながら、私とてひるんでばかりはいられない。冒険嫌いと言ってはいても、今までの旅行で、「あのマルタに3泊」と言う厳しい経験を積み、ヨーロッパのついでに寄ったアフリカでは「トーゴ横断」、「ガンビア縦断」、「ザイールの川下り」等、余人では成し得ないような偉業を達成してきた男である。

 「世界一・・・」


 もう一度頭の中で唱えてみる、そうすると沸々と闘志が湧き上がっているのを感じていた。

 「よーし、やってやろうじゃないか!」



 私は心の中の葛藤を克服し、世界一への挑戦を始めることにした。



 目的地は「パレスチナ自治区にあるエリコ」という町だ。

 当然ながら準備は入念だった。イスラエルの首都、エルサレムについてすぐに「ベツレヘム日帰り」、「ラマーラ日帰り」(両地区はパレスチナ自治区)、そしてエルサレム旧市街観光、郊外観光と緻密な計算の元にトレーニングを重ねていた・・・

 上記のトレーニング・・・

 「ひょっとしてただ観光してただけなのでは?」と疑いを持たれた方もいるのかもしれないが、「まあそんなことは置いといて」話を続けていこう。


 そしていよいよ決行の日。

 それはエルサレムとその近辺の観光も一通り終わったので、もうテルアビブに出発しようと思っていた日の朝だった。

 たまたまガイドブックを開いたら
 
 「実はエリコが世界一の町」

 だったと言うことに偶然気づく。

 しかも「日帰りが可能」 らしい。


 こうなれば心は一つ、行くしかないだろう。


 決して後付してるわけではないが、私のこの時までの状況を鑑みるに、今迄の旅は「全てこの地を目指して来た」と言ってもいいだろう…



 朝の10時頃にホテルを出て、エルサレム旧市街北のダマスカスゲート近くのバス停からバスに乗り、途中で一度乗り換えてエリコに到着・・・。
 所要は大体1時間30分・・・


到着したエリコの町





 到着と同時に私の中に達成感がこみ上げてくる・・・

 「やった、やったぞ!!世界一の地にこの足をつけたんだ・・・」

 こうしてバスを1回も乗り換えるという信じ難い困難の末に「世界一の地」に到着!

 これで目的は達成と言っていいだろうか?

 違う、この町には見所が多数ある、世界一の地に足をつけ、そして観光を終えて初めて見切ったと言えるのだ。

 この世界一の地は暑い、だがそんなことに怯むこのプロフェッショナルではない。

 早速観光を始める事にした。

 まずはテル・アッスルターンと言われる今から10000年前以上の住居跡や4000年前の城壁が見れる遺跡に訪れる。

テル・アッスルターン、例によって何も考えずにみているのでどの跡がなんなのかは分からず・・・



 そして次のイベントはケーブルカーに乗って誘惑の山に行く事だ。

 世界一・・・


 「何の世界一か?」


 その本性を明かすとこのエリコは標高-394mにある世界一低い場所にある町なのだ。

 その世界一低い町でケーブルカーに乗って山に登る、これほど血沸き肉踊るイベントは無いだろう。

ケーブルカー


ケーブルカーからの景色


到着した悪魔に試みられた誘惑の山。ネーミングが秀逸だが英語では単純にMt. of Temptarion


誘惑の山にある教会、ギリシア正教系


教会から見下ろしたエリコの町




 世界一低い町を標高以下の高さしかない山の教会から見下ろす。

 そんな贅沢をしばし楽しんでまた町に戻る。


ケーブルカーから


教会はこんな感じに岩壁にへばりつくように建てられている。


下りながらみたエリコの町



 世界一を極める。

 この程度ではまだまだ見たとは言えない、さらなる高みを目指して数多くの見所の中からヒシャーム宮殿を訪れる事にした。

ヒシャーム宮殿入口とその中



 この遺跡のチョイスの理由は単純だ。ここは8世紀にウマイヤ朝のカリフが建てた宮殿だ。

 ウマイヤ朝と言えばイスラム、イスラムといったらハーレム。

 ガイドブックによるとここは”モザイク”で有名らしい、そう”モザイク”というなら男ならムフフッ・・・となってもおかしくはないだろう。

宮殿内、真中がモザイク



 男ならまたしても”モザイク”という文字に騙された、そう思っても間違いではないだろう。

 だが、この際だからがっちりと観光する事にした。

ヒシャーム宮殿の中





 モザイクを外してみる、という積年の希望こそ果たせなかったが観光は続く。

エリコ町内




 私は今度はレンタル・サイクルを借りて市の中心からやや離れたワディ・ケルトへと向かう。

ワディ・ケルトへの道


そしてワディ・ケルトの眺め


真中にレンタルした自転車、たまにチェーンが外れたのはご愛敬



 そしてまた町に戻る、後はエルサレムに帰るだけ、私はシェアタクに乗り込む。

乗ったシェアタク




 エルサレムへ道中。

 私は今日の達成感に身をゆだねていた・・・


 そう、間違いない事があるとしたら「これはこの私のようなプロフェッショナルしか出来ない冒険だった」、という事だ。


 他のアマチュア共等ではこんなことは出来ないだろう…


 

 そう私は今、

 「世界一、標高の低い町(-394m)エリコを訪れたエレガントなツーリスト」


 即ち、


 「世界一エレガントなツーリスト」


 である、と言いきっても過言では無いだろう・・・ 
 



 (※この記事は「謎の日常」に既にアップした「世界一への挑戦(ジェリコ:イスラエル)」の文章の一部を変え、写真を大幅に添付した記事になります、また表記は今度はエリコで統一しています。)

 






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