イエメン
2006.05.05(金)-08(月)
ソコトラ島を終え、近郊の観光を終えた後、私に残っていたのはサウジアラビアのビザをどう取得するか?という事だけになっていた。
大分前から当たっていたが感触は悪く、おそらくはダメというのは見えていたので最終結論が出る前に既に次の行先も決め、残る期間はサナアをひたすら楽しむことにした。
そんな時にあった良い知らせはモザンビークで出会い、ザンビアで再会したアフリカを私と逆ルートで周っていた自転車乗りの友人(この後私の知る限り無帰国旅行期間が2番目に長くなっていたことから「セカンド」と呼ぶ)がエチオピアからイエメンへと来て約10カ月ぶりに再会となった事だった。
思えば彼とモザンビークで出会えたのは本当に幸運だった。情報交換と言えばフィフティー・フィフティーと思えるかもしれないが恩恵は遥かに多く私が受けていた。それは比較的情報のある東側に比べれば西は一応あるといった程度、中央アフリカに至っては皆無に近いというのが当時の状況だったのを最新の情報を持って抜けてきた旅行者が彼だったからだ。それもチャリダー等というのは元々希少種だし、これから中央、西へと向かうタイミングでそんなホットな漢に出会うなんてまずありえないことだったからだ。
そんな彼と出会えばお互いテンションも上がる、残りのサナアは彼と一緒にサナア市街の見所を周る事にした。
道路のモニュメントに良く通ったバーガー屋で。
夜のサナアの一角
旧市街のなんとなく印象に残った建物の並び
オールド・サナア・パレスの屋上から
サナアに居た時、私には珍しく同じ場所に何度も通っていた。
幾度見てもまた見たくなる、そう思わせるのがこの街だった。
メニューの一つ、チキンが中央にある
泊っていたアル・シャミリ・プラザ・ホテルより
私の泊っていたアル・シャミリ・プラザ・ホテルは旧市街と新市街の境目にあった。そこからの景色は毎日見ても飽きるものではない。
それに旧市街・・・
いつ歩いても独特な感覚がするこの世界は今まで見てきた街とは明らかに違っていた・・・
旧市街
バケツにしたりヨーグルトを作る容器にする為の乾燥した瓢箪
相方のセカンドの反応も楽しい、エチオピアから飛行機で飛んできた彼は旧市街の良さとそれ以上に新市街の”高度な文明”に喰いついていた。
それは例えばきちんと働いている信号機であったり、店舗に格子が無いものであったり、おおよそアフリカから来たのでなければ誰も何も思わないようなものだった。
彼のその様子を見て『俺もブラック・アフリカを抜けた直後はエスカレーターに感動してた』等と思い出していた・・・
タージ・タルハ・ホテルの屋上から
旧市街で私が訪れたのはオールド・サナアとタージ・タルハという2つのホテルだ。
知り合いが泊っていた事もあるがこのホテルの屋上で夕陽を眺めているとアザーン(イスラムにおける礼拝の呼びかけ、キリスト教の鐘みたいなもの)が旧市街のモスクから一斉に聞こえてくる。その鐘の調べを聞きながら夜になるのを待ち、夜景を眺める。サナアで過す贅沢さはこんな所にあるのだろう・・・
サナアの新市街はそれほど見るものはない、ただここにはピザハットとケンタッキーが並んで建っている場所があった。
食がチキン、ライス。もしくは見つけたローカル・ハンバーガーばかりになっていたので気分変えにセカンドと食べに行くことにした。
新市街にある建設中の大モスク、この近くにKFCとピザハット
どちらか悩んだが彼のリクエストもあってKFCへ
チキンに飽きて食べたのがチキン。振り出しに戻っている・・・右は陳列が気に入った撮った写真。
待っていたサウジアラビアのビザはやはりダメだった。
3月にトランジット・ビザでイエメンから訪れた旅行者とエジプトで会っていたのでタイミングというか間が悪かったとしか言いようがない。
だが旅行を続けているとこんな事もある。思えばアンゴラやアルジェリアのビザが取れたのは運頼みの部分が大きかった・・・
新市街のタフリール広場で
サナアの住民
ダッバーブ乗場
ビザを諦める事になり、出発は明日。今日がサナアの最終日となる。
このところ一緒にいたセカンドと相談して私のラストの日だからと夜景を見に2つの場所を訪れるのに付き合ってもらう事にした。
最初の一つはサナアの郊外にある公園。前にも訪れているが旧市街、新市街すべてを見渡せる場所だ。
公園からの夜景
最初にサナアに入ったのはバスでこの方向から、市街から完全に外れているこの場所からは新旧市街の区別が良く分からないぐらい遠い場所からみた景色となるが、サナア全体を見通すには良い場所だ。旅行者がわざわざ訪れない場所なのでダッバーブを途中下車して歩いて行くというアクセスの悪さはあったがサナアを離れるまでにもう一度見たいと思っていた・・・
そしてもう一か所はバーバルヤマンの目の前のホテルの屋上だ。
ガイドブックでも良くつかわれるそのタージ・サナアというホテルの屋上からの景色はぜひ見たいと思っていた。
入ってみるのに料金が取られるのは知らなかったのと当時のイエメンらしくなかった(商売上客でない人間に屋上に上がらせるので課金してもいいと思うが)ので少し面喰ったが二人で微妙に値下げして屋上にあがる。見た景色は丁度正面にライトがあったのがちょっと残念だがそれでも期待通りの物だった。
タージ・サナアからの見たバーバルヤマンに旧市街
タージ・サナアからの新市街側
そしてタージ・サナアからのダッバーブ乗場
最終日、見たいものを見てやりたい事も終えた今、私はサナアを十分に満喫したと言って良いだろう。
思えばビザ待ちでやむを得ずある程度の期間いた都市はあったが都市その物の為にこれだけ長く滞在したのはアルジェリアのアルジェとこのイエメンのサナアぐらいだ。それだけ私のツボに入っていたのだろう。
「サナアのどこが良かったのか?」
説明するのは難しい、私が良かったと思い、また他の多くの旅行者にも評判の良いイエメンやこのサナアもその後にあった旅行者で「最悪だった」という者にも会っている。
私が見た私なりのサナアの良さなら伝える事が出来る。とは言うものの、既に多くの写真をアップしてちょこちょことコメントも書いているので今更と思われるかもしれないが、その私なりの良さや感動というのは記事では言うべき事ではないのかもしれない。
要するに私がどう思うかなどそれほど関係なく、訪れた都市や国をどう思うか等はその時その場所を見る人の感性に全てを委ねるべきなのだろう。
そこでこれだけ気に入った首都サナアだが私はもし人に
「サナアってどんな場所なの?」
と聞かれたら・・・、敢えてこう答える事にしようと思う。
そう、
『さあなっ!』
と・・・・