予定外の街(ムカッラ:イエメン)

 イエメン



2006.04.12(水)

 サユーンを出発して向かったのはムカッラと言う沿岸沿いの町だ。

ムカッラ行のシェアタクの中。エアコンがついてないので暑い!



 旅行者はサユーンからサナアへ直接向かうのが一般的だがこれまで出会った旅行者から聞いていたイエメンと言う国の評判の良さや物価が一気に安くなった事から私は国内をある程度周って最後サナアでのんびりしようと決めていたのでまずは旧南イエメンの首都であるアデンに行く事にしたのだ。だが、サユーンからアデンへの直行便は無く、それなら一度沿岸沿いに出ればそこからならダイレクトにアデンに行けるだろうと読んだからだ。


ムカッラまでの道中、かつてマリで見たバンディアガラガラの断崖を思い出す。



 昨日朝パーミットを渡すと言っていた警察署を面倒なので寄らないままに出発し、最初の検問で少し揉めたが結果無しでも移動出来、事無きを得る。

 この辺りのルーズさは発展途上国独自の物だろう。

この国のシェアタクはボロい、ブラックアフリカ平均よりはちょっとマシというぐらいだろうか?


断崖の脇の道を通る


そしてやはり砂漠の中、アラビア半島にいる事を思い起こさせる


途中の休憩所で、休憩所といいつつ数件家があるくらい。



 朝06:00時前に出発したのに思った以上に時間がかかり、ムカッラ郊外のタクシーランクに到着したのは11:00時を少し過ぎたあたりだった。

タクシーランク


 街の中心へはここからまたシェアタクだ。

街の中心へ向かって



 シェアタクで街の中心まで行くとそこは丘に囲まれた川の両側に縦に細長く伸びる街並だった。


ムカッラの中心街





 そもそもがこの街に来たのは予定外の事だった。

 このままアデン行の夜行でも探して一気に行くつもりだったので、着いてからポリスを訪れてまずアデン行のパーミットを取る。ここまでは順調だ。だがアデン行のバスを探すも今度はこちらが上手くいかない。サユーンで泊まったホテルの情報ノートやネットで調べた限りありそうだったのだがバス会社を数社周っても空振りばかりだ。

 暑くて多少疲れていたせいもあるだろうが少し悩んでから私はこの予定外の街に1泊する事を決めていた。

 泊まった宿は川沿いのホテル、2000円程度するこのホテルはイエメンの物価から考えると明らかに贅沢であったがこれまでクウェート、バーレーン、U.A.E.、オマーン等で高いホテルを続けてきた後だったのでクオリティーとロケーションを考えたら随分とお得な物に思えたのだ。それにどうせ1泊だ。こういう贅沢は出来る時にしておけば後で良い思い出にもなるだろう。

ちなみに泊まったのは写真中央のガラス張の「GULF HOTEL」


周りと比べて明らかにリッチなホテルに見える。



 そして少し落ち着いてから街に出る事にした。

 次の目的地のアデンにどうやっていくかを算段しなければならなかったのだ。


川沿いの街並


こういう国に来ると何故か普通の橋が珍しい物に見えてしまう




奥は海


 市の中心にあるバス会社を再度当たっても芳しくない結果だ。私はバスではなくシェアタクを探しに海岸に出る事にした。

海岸沿い


これがタクシーランク



 ここで分かったのはアデン行は確かにある、ただ”イエメン人は1800イエメン・リアル(1ドル=190YRなので1000円ぐらい)、外国人はその倍の3600YR”という外国人料金だった。

 『ちっ!』

 後進国に良くありがちな外国人料金の設定もこうもあからさまに言われると腹が立つ、別に倍額払った所で2シート取れる訳ではない。

 私はモロッコに突入以来封印していた「Fuck You!」を久しぶりに使う羽目になった。

 こんなアンフェアさを受け入れる気はせず、私はアデン行のシェアタクを諦める事にした。

海岸の道






そしてムカッラの海岸、この噴水は何か意味があるのかどうかは不明


海岸線、左上にはもう月が見えている


山に沈む夕日


海岸側から川沿いに並ぶムカッラの街並を眺めて



 しかし今日は一日中空振りばかりだ。まだ次の目的地のチケットも取れていない。

 私はさらに日が沈んだムカッラの街でチケットを探す。

日が落ちた直後くらいの景色、ちょっとぶれている。



 取り敢えず当たったのはイエメンでも大手のYemticoというバス会社だ。

 アラビア語が話せず「アデン」という私に「ラー(いいえ)」と言うばかり、アデン行のパーミットを見せても埒があかない、『アデン行が無いだけか?』そう思いかけた頃、私より後に来て「アデン」と言ってきたイエメン人にはあっさりと「ナアム(はい)」とチケットを販売している・・・

 そうなると外国人には売らないってことだ、私はまたしても思わず『Fuck You!』と本日2度目の呪文を唱えてしまう。

 来る前に他の旅行者から「人がすれていないで親切」と言う事で評判だったこの国は私にとってはどうやらあまりいい関係ではないようだ。

 結局Yemticoを諦め、市内を数件回って「サナア行」のバスのチケットを買う事にした。


ムカッラの夜




泊まったガルフ・ホテル


ちょっと引き気味で






 次の行先がサナアになったというのは難点だ。イエメン最大の見所である世界遺産都市サナアは出来れば東部と南部を周遊した後に見たかったのにこれではいきなりだ。 それに私の持っているパーミットはアデン行、ということはまた警察に行ってサナア行に変えてもらわなければならない。

 わざわざ寄り道をしてムカッラに行って沿岸沿いにアデンまで進むと言う私の目論見もこうなっては御破算だ。

ムカッラ市街の景色


橋の上から両岸を眺めて


食事は結構ワン・パターン
 

ライトアップの色が変わる門はついつい一周するまで見てしまった
 

 


 この街に来た意味は?

 薄々感じていたが結果が出た今ならはっきりとこう言えるだろう。

 「意味は無かった!」

 と・・・


 納得できない感情は残っていたがこれ以上ふらついていても状況が変わる訳ではない。

 折角取ったイエメンでは高めのホテル、私はそこに戻って部屋から街を眺めることにした・・・


ガルフ・ホテルから








 ムカッラ・・・この街に来たのは予定外の事だった・・・

 折角この街からアデンへ向かう、そう思ってここに来たのに次の目的地はサユーンからでもいけるサナアになったというのが今の結末だった。


 この予定外の街でプロフェッショナルが強いられたのはこのやはり予定外の行動だった。



 


※後で分かったがイエメン東部から西部への移動のルートで乗れるバスは外国人が誘拐の標的になっていることからランダムに変えていて、10日前に売っていた会社が他の会社に移っている事が多々あるというのが判明した。いずれにしても私の時期はムカッラ⇒アデンのルートは危険が多いと思われていたのでチケットをバス会社の方で販売しなかったのだろう・・・






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