禁止コードの国の首都(マスカット:オマーン)

 オマーン




2006.04.08(土)


 言葉は時として不可思議な物語を織り成す・・・

 世界各国で話されている言葉はマチマチだ。その国、地域特有の言葉がありそして言葉によって文化は形作られる物だろう。

 私がパスポートを持つ日本は世界でも稀にみる言語を使用している、かな、カナ、漢字、一つの言語に3種類のキャラクターを利用しなければ使えないというのが他の言語と一線を画している所以でありそれがただでさえ複雑な日本語をより難解な物にしているのだろう・・・

 『そして日本語でなければ分からない言葉の妙味がある共に日本語ならではの危険性を孕む』

 と言う事も付け加えなければならないだろう。

 言語学者でも無い私が急にこんな事を考え出してしまったのも次の目的国、目的地がそれを私に強要する都市だからだ。


 そう、私がこれから向かう先はオマーン、そこは日本人にとって禁止コードのある国だった・・・





 オマーンの入国ビザは面白いシステムだった、飛行機でドバイ入国ならビザが不要というちょっと変わったやり方なのだ。
 アラブ首長国連邦の一首長国であるドバイがオマーンと協定を結んだ結果がこのように観光客がオマーンに行き易くなるやり方になっていたのだ。

 ツーリストにとっては有難い無料ビザの恩恵を受けオマーンに難なく入国する。


 
オマーン国内




 首都マスカットには昼過ぎ、13:00時頃に到着

 



到着したバスターミナル


正面の奥はシェラトンホテル








 マスカット市の核になっているのはルイ地区、マトラ地区そしてオールド・マスカット地区の3つだ。バスが到着したのはやや内陸にあるルイ地区。
 私は到着してすぐこの先の移動先であるサラーラ行のバスチケットを手配する。この便も週1,2便くらいしかないので可能な限り早めに押えておきたかったのだ。
 そして色々ホテルを探そうかとも思ったがチケットが明日の夜出発のチケットでどうせここからなのでその利便性からバス停の目の前のホテルに泊まる事にした。



ホテルからの景色









 私はたまたまホテルの屋上の部屋になった。ここは3階建てで別段高層建築という訳では無かったが目の前がバス停で開豁した場所にあるので見晴らしが良く十分に満足する。

 異国で良いホテルをとった安心感。


 荷物を置いてくつろいでいる私に突如言葉の危険が襲いかかってきた・・・

 『そういえば私のいる国はオマーン、そして首都の名前はマスカット・・・』

 『って事はオマー○でマス○○○・・・ピィィィィィィ~・・・』


 『・・・』


 『・・・・・』

 『しまった!今いる場所を繋げて言葉にできない・・・』

 これをそのまま書くというのはエレガントな私の流儀に反する事だ!!

 アラビア語なら何一つ問題無いはずのこの国、この首都が日本語にして表現するとまずい事になるとは・・・

 それにマスカットという年の名の由来。

 古代アラビア語?で「谷間の美しい物」(Wikipedia調べ)というのがその名の所以らしい・・・


 そうなると

 「オマーン、この国にある谷間の美しい物・・・」

 って・・・

 しまった、イマジネーションが誤った方向に搔き立てられてちょっと下の方が鬱血気味に・・・


 『・・・』


 『・・・・・・』

 いやいや、こんなこと考えている場合ではない。



 そう、時間は限られている、観光をしなければならない、出発時間から逆算するとマスカットでも地理的に遠い見場所を今日中に終わらせ、明日は今泊まっているルイ地区と言うのが安全だろう。

 私はバスに乗り海岸沿いにあるムトラ地区へと向かった。

ムトラ地区


丘の上の要塞






カブース港






奥に宇宙人の秘密基地みたいな建物がある・・・







 湾沿いにあるムトラ地区、海の見える景色というのは中々にいい物だ。それに港も心地よい。

 何よりも助かったのはそのネーミング、「カブース」という港の名前だ。

 これがもしオマーンの国名を冠した港なら続けて「オマーン○ピィィィィィィ・・・・」となってしまってまたしても言葉に出来ない所だった。


 『この港が”カブース”で良かった・・・』


 私はホッと、安堵のため息をつき、さらに見所であるオールド・マスカット地区へと向かう。




マスカット・ゲート博物館とその上からの眺め




近くにあった新しいレリーフ





オマーン湾


フォートを眺めて・・・



 海沿い、オールドマスカットへ行く道を歩いていると過去が私の前に突如として姿を現し、ノスタルジックな気持ちが浮かんできた。


 『そういえば・・・』

 学生自分初めてオマーンという国がある事を知った時、関東地区で教育を受けている男性なら「これはヤバい!」と思った事があるに違いない。

 何故か?

 それは『もしこの国に国名を冠した湖があったらどうすればいいんだ?』という議題が俎上上がったからに他ならない。

 喧々諤々の論争が尽くされたこのテーマだが「この国にそんな湖は無い」事が判明し胸を撫で下ろした経験は誰にでもある事だろう。

 目の前に広がるオマーン湾

 私は海の潮風を感じつつ、そんな思いに浸ってしまっていた・・・


 そしてほっと胸をなでおろす。


 当時既に結論が出たおかげでこの湾は禁止コードを何一つ気にせずに書くことができる良湾だったからだ・・・


 

こちらはマトラ・フォート


こういうのを見ると丘の上に登りたくなる


ジャラリ・フォート




 現在も軍事施設として利用されている為にこれらの要塞群に入れないのはちょっと残念だが湾沿いに要塞が並ぶこの景色は見ていて飽きる事は無い

アラム・パレス


背後にあるのはミラニ・フォート




アラム・パレス






こうしてみると立派!









 伝統的なと言えばそうなのだろうが明らかに新築の建物で埋められたオールド・マスカット地区を後にしてまたマトラ地区へと戻っていく。

 港と夜景、プロフェッショナルとしてマスカットの夜景のベストショットを見れるとしたら恐らくここだろうという推測があったからだ。

 日は落ちたがまだ周囲が闇に包まれる時間では無かったので取り敢えずはムトラのスークをぶらぶらと歩く。

ムトラのスーク




 スークから出てもまだ少し明るい、私はこのまま待つ事にした。

カブース港



 港の夜景というのはいつ見ても飽きる事は無い、他の人にはいざ知らず、旅行界随一のロマンティストと呼び名も高いこのプロフェッショナルにとっては少なくともそうなのだ。そして闇が深まっていく・・・


カブース港の夜景







 カラフルにライトアップされた港沿いの建物に湾上に浮かぶ船・・・


 オマーンに来てこんなに良かった・・・


 略して『オマー○・・・ピィィィィィ・・・良かった・・・ふぅぅぅぅ~・・・!』


 と思える瞬間だ。ロマンティストたるこの私の面目躍如といった所だろう。

 
 ムトラの夜景を堪能してホテルのあるルイ地区に戻る、バス停前の私のホテルからの展望も見る価値は十分にあるだろう。
 ルイ地区につくと早速ホテルに戻って景色を眺める。

ホテルからの景色
 







 まだ街は寝静まる前、ホテルから眺めた街に繰り出してみる。


ルイ地区
 





 
 人混みが消えゆき街が静けさを取り戻す頃の夜景・・・

 ただ建物や街灯に灯りが燈っているだけの筈の景色がやけに幻想的に思えてくる。

 オマーンの首都マスカット・・・

 こんな物が見れるとは私は想像もしていなかった・・・


 今日はここについてから色々と動き回ってきたので流石のこのデューク・東城も若干の疲れを覚え始めていた。
 
 せっかくとったホテルの最上階の部屋(屋上部屋と考えると急にチープな響きにはなりますが・・・)で寝るまでの間、ルイ地区の夜景を楽しむことにした。

ホテルから







 静まりゆく街の眺め。

 その景色はこの国に来た価値があると十分に思わせる物だった。


 そして今日見たオマーンの首都マスカット。

 日本語での表現を考えるとかなりの部分が禁止コードに抵触し、「喜びの気持ちをストレートにお伝えする事が問題になる」と、いうのは計算外ではあったが、それも今までみた景色を考えると「表現の自由こそ奪われたが、それを補って余りある風景に出合えたと」いうのが私の偽らざる感想だ。


 そう、諸処の事情はあるのだが、ここは来て良かった、そう思える国でありそう感じる都市だったのだ。




 たまらなく伝えたい今の私のこの気持ち。


 私はツーリスト界随一のプロフェッショナルとしてこう断言させていただこう。

 そう、


 『オマーン、この国に来て本当に良かった!!』


 と・・・


 『・・・』


 『・・・・・・』



 『あっ!しまった!!このプロフェッショナルとした事が最後の最後にトラップにぃ~・・・・!!』






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