カボ・ベルデ
2006.01.15(日)-16(月)
私はこの日アッソマーダと呼ばれる都市に訪れて宿泊する事を決めていた・・・
アッソマーダ、日本語にすると「あっ!そう。まだ」になるということで有名な・・・
と、いう話などはどこにも聞かないこの街、ここをわざわざ訪れようと思ったのは「ここが海の見えない内陸の都市になる」というのが理由だった。
別に海が嫌いなわけではない、いや、むしろ好きと言っていいだろう。だがこの4周を海に囲まれた小さな島国で”敢えて海の見えない街”を一ツーリストとして宿泊するというのは、伊達や酔狂でなければ出来ないし、これこそがエレガントの本領発揮と言っていいだろう。
道中の景色
アッソマーダを拠点にした理由、それはここが内陸では一番規模の大きな都市であるという事と共に前に一周した時に料金を確認した「ホテル・アベニーダ」の存在があったからだ。
まったくの新築で25ドル、旅行者から見たら高い値段だが誕生月ということもあり多少の贅沢は許されるという自己解釈も手伝ってこの真新しいホテルに宿泊したいと思ったからなのだ。
去年の誕生日もアフリカだ。思えば一年以上この大陸から離れていない。
エジプトから入って東アフリカ経由で南アへ、そしてそこから北上して中央アフリカを突き抜けて今は西・・・
一つ一つの国の滞在日数はそれほど無いかもしれないが旅行を初めてから結構な時間が経過していた。
『自分で自分にご褒美を』
たまにはこういうのも悪くは無いだろう。
これがそのアベニーダ
壁のペンキの匂いがまだ残り人の残り香を全く感じさせないこの部屋。
私が恐らく最初の宿泊客だろう。そう考えると25ドルも高くは無い。
ホテルからの景色、方向は町外れの方
『くつろぐ準備は万端だ!』
夜はここでのんびりとすればいい。
そして私は街へと出る。
ここは小さな街だ。こじんまりとした内陸の都市、ガイドブックに見所などは書いていない。
気ままに歩いて何か興味を惹く物は?と散策する。
するとちょっと見てみたいと思わせる物があった。
「パノラマ・レストラン」。
内陸のこの街の全景を見渡せるベストスポットだ。
訪れない訳にはいかない。
パノラマレストラン、一月なので肌寒かったけどここは敢えてテラス席で・・・そして無理にアイスなど頼んで雰囲気を出す。
パノラマ・ビュー
内陸でかつ山に囲まれてもいる。
『島国カボ・ベルデにツーリストとして訪れながら敢えて海の見えない街に泊まりこのパノラマの景色を堪能する贅沢』
ただのアマチュアのツーリスト達はこんなことは思いもよらない事だろう・・・
但し海は見えないし都市の規模としては微妙・・・
マーケット
ちょっと失敗したかと思ったのはこのレストランの直下階にもホテルがあり、そこに泊まれば中心からの景色をより堪能出来ていたということだが『私の泊まっているホテルは新築、そして私はおそらく処女客(多分私の部屋では)だ』。そのプレミアムを考えるとそう悪くはないだろう。
これだけ景色のいいレストラン・・・
そうなると夜景も気になってくる。
私は夜はリッチにこの明らかにアッソマーダ一高いと思われるこのレストランで夕食を摂り、夜景を堪能する事にした。
これがリッチな夕食
ソースに野菜がふんだんに用いられていたのはちょっとマイナス(普通の人には多分プラスです)だったが味はそれなりに満足のいくものだった。
食事を終えテラスに出て島国の内陸、その夜景を堪能する
『・・・』
無理に上の写真をズームで撮影
『・・・』
『・・・』
『・・・』
『・・・』
『・・・・・・』
『何これ??』
せっかく夜景を堪能しようと高いレストランで食事までしたのに・・・
まさか西アフリカきっての先進国、全てのミニバスのスピードメーターが動くこの国で・・・
いくら地方都市とはいえ夜「完全停電」になっているなんて・・・~(涙)
私は食事を終え暗い道をテクテクとホテルまで戻る。
ホテルから見た夜景、半ばやけで撮影、実は手前の建物は最初暗かったが途中で灯りがついた。
『うーむ・・・』
一月のカボ・ベルデ、標高の若干高くなるこのアッソマーダは夜になると肌寒さを増す。
こんな時、泊まっているホテルが新築だというのは朗報だ。全てが真新しい設備、くつろぎのプライベート・ルーム。
長期旅行者は「ただ寝れればいい」というのが圧倒的多数であるが私の中では『安価で良質のホテルに泊まる』というのも旅行中の楽しみの一つだ。
「何故か?」
答えは単純だ。そう
『私がエレガントだから』
なのだ。
新築とはいえそこは日本のホテルとは違う、残念ながら流石に浴槽まではついていない。
そこでシャワーで体を洗い流す。
この後はエアコンでもつけてまったりと・・・
まったりと・・・
『???』
『あれっ?つかない??』
私が今泊まっているのは新築、全てが真新しい設備、もう壊れているというのもちょっと変だ。
そこでホテルに確認する。
すると・・・
「まだそこまで出来ていない」
との事だった・・・
『・・・』
『・・・・・』
『なら、何故泊めた?』
疑問は尽きないが泊まってしまったからにはもう後戻りはできない。
新築の真新しい部屋で毛布をかけて寝る事にする。
ホテルの中の一部、部屋は撮り忘れたというよりもこの頃はもうずっと撮らなくなっていた
しかし誕生月の自分へのマイ・プレゼントとして敢えて泊まった新築のホテルで「まだ館内エアコンが起動状態に入っていなかった」というオチがあるなんて・・・
『俺は一体何のために贅沢しようとしたんだろうか?』
翌朝、アッソマーダを後にして、プロフェッショナルとして私はこう確信する。
どうせ夜景が見れなかったのなら・・・
そして新築のホテルがまさかのエアコン無しだったのなら・・・
プライアからの日帰りで別に良かったんじゃないのか?
と・・・