ナゴルノ・カラバフ共和国(アルツァフ共和国)

エレバン⇔ステパナケルト(ナゴルノ・カラバフ共和国)

基礎データ(2021Wikiより抜粋し一部加筆)
1.面積:4400平方キロメートル(山梨県と大体同じ)
2.人口:14万人
3.首都:ステパナケルト(約5万人)
4.民族:アルメニア系が9割以上
5.言語:公用語はアルメニア語(インド・ヨーロッパ語族に属し、独立の一語派をなす。独自の文字を持つ)
6.宗教:主としてキリスト教(東方諸教会系のアルメニア教会)。
7.通貨:ドラム(AMD)、補助通貨1ドラム=100ルーマ。レートは2007年時の100ドラム≒40円で計算。(アルメニアの貨幣を使用)
※1991年9月2日に「アルツァフ共和国」としてアゼルバイジャンからの独立を宣言したが、実態としてはアルメニアの保護国の様相が強く、他国からの国家承認も殆どなく、日本外務省では「アルメニアによる占領地域」として扱っている。
 また2006年12月10日に採択された初代憲法では自称を「ナゴルノ・カラバフ共和国」、別称を「アルツァフ共和国」としていたが、 2017年2月20日に採択された現行の憲法(2代目)では自称を「アルツァフ共和国」、別称を「ナゴルノ・カラバフ共和国」としている。
本文中では旅行当時の名称、「ナゴルノ・カラバフ共和国」で統一。
 さらに2020年ナゴルノ・カラバフ紛争(第2次ナゴルノ・カラバフ戦争)により、現在の領土は流動的である。 

※ブログの日付は旅行当時に合わせてますが、帰国後10年以上経てから記事を書いているので実際のアップ日は2022.04.24です。

ナゴルノ・カラバフ(NKR)共和国(Wikipediaより)。
アゼルバイジャンがアルメニアに分断され、ナゴルノ・カラバフも分断部分になっているのが分かる。


ナゴルノ・カラバフ地域。2020年、外務省海外安全ホームページより抜粋
日本政府はナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土をアルメニアが占領しているという見解。


2007.10.09(火)

 16時国境を越え、新規116ヶ国目、この旅11ヶ国目のナゴルノ・カラバフ共和国へ入国。
 ビザが必要だが、入国審査で「首都の外務省で取る」と言えば問題なく通過できるのは、ある意味入国フリーと言っても良いだろう。

16時頃、国境を越えて。中段左はレトロな現役車


 ナゴルノ・カラバフはそもそもロシア語で「やまがちなカラバフ(という地域)」という意味だ。
 その名の通り山間の道をひたすらに進んでいく。

首都までの道中。



 18時、首都ステパナケルトに到着。
 これまで出会った友人や情報ノートにもあったエルミラの家を目指す。

18時、首都に到着。


 首都とはいえ自称独立国の。
 それも人口も5万人程度の街なのでだいぶ閑散としている。
 日本での町レベルといった所だ。

 宿に着いて早速また外に出る。
 
 19時前、空は翳り始めていたが、噂に聞こえし「我らの山像」がどうしても直ぐに見たかった。
 これはモアイっぽい赤い彫像で、地元の人は単にパピク・タティク(お爺さんとお婆さん)と呼ぶそうだ。
 そしてこの国のシンボルで国章となっている。 
 
我らが山


 ご覧の通り控えめに言ってもショボいだ。
 だが、それが良い

 国のシンボルがこのショボさというギャップこそ、旅行者を惹きつける最大の魅力なのだ。
 (※個人の感想です)

我らが山からの景色

 
 我らが山像のショボさに満足し、市内に戻る。
 夕食はケバブにパンにコーラ。
 
 さらに朝食用にスーパーでサラミやヌードル、コーラにトニックなどを買い足す。

スーパーで綺麗なお姉さま達と一緒にパチリ。夜は閑散としている。

レストラン前のスフィンクス像。


 宿に戻ったのは23時前頃だった。 


2007.10.10(水)

 朝起きてまた我らの山像を目指す。
 
宿付近から我らの山像へ


 雲一つない青空。
 絶好な観光日和。
 パピク・タティクも一段と青空に映える

パピク・タティク像。左上は女性像の鼻の下に大きさの比較の為に煙草を置いている。


 そしてどれだけ映えようがショボい物はショボかった
 (※当社比です)

パピク・タティクと一緒に撮影


 満足して市内に向かい、オヴィール(外務省)へ行きビザを手配する。
 5日間有効ビザが11000ドラム(約4400円)。
 
 値段の高さに「このビザを取らずに出国したらどうなるのか?」試してみたい気持ちもあった。
 だがそんな気持ちもシールの上の「我らの山像」で吹っ飛ぶ。
 これは取らなければいけないビザだった。

ナゴルノ・カラバフのビザ

 オヴィールでのビザ取得を済ませ、中央郵便局で記念切手を購入。もちろん我らの山像だ。

ガソリン。我らが山像利用のポスター

面白い像は他にもあったが我らの山像が強烈過ぎて入ってこない。

市内

ハグタナク(勝利公園)周辺

 13:00 市内をマルシュルートカで移動。
 13:40 発着場からシューシ行に乗る。
 目的地には14:10時に到着。

市内→シューシへ


 シューシはステパナケルトを見下ろす海抜1200mにある城壁に囲まれた町だ。
 ここを訪れる旅行者には必須の場所で、1998年のナゴルノ=カラバフ紛争で大きな被害を受け、廃墟が混在した中で人が暮らしている町だ。

シューシ市街

カザンチェツォツ大聖堂

市街を歩いて

戦争の廃墟跡と暮らしの混在

下段に破壊された装甲車

下段は城壁跡

景色良し

戦禍跡

ギョヴヘル・アガのモスク

市の外れ

こちらも景観良し

廃モスク、干されている洗濯物に生活を感じる

壊れた城壁

所々に銃弾が残る


 戦禍の跡はかなり色濃く残る物の現在は平穏だ。
 人も住んで居るでどこか牧歌的ですらある。

 ここはただの町だった。

 18:30時、シューシをマルシュルートカで出発

戦車モニュメントが気になる

乗って来たステパナケルト行マルシュルートカ、夕食のピザ


 18:30時、マルシュルートカでステパナケルトに戻り、夕食はピザにコーラ。
 宿へ戻ったのは20:00時過ぎだった。 

2007.10.11(木)

 一足先にレイが出発
 彼はエレバンからドバイ経由イエメン(エジプトだったかも?)と世にも変わったフライトに間に合う為の先発だ。
 キルギス以降、長く行動を共にしたので名残惜しい。
 だが、私にはまだエースが残っていた。

朝日と昨日買った切手。




 出発したレイを除く4人で午前中アグダムを訪れることを計画する。

 情報ノートや知り合った旅行者から、アグダムはシューシ以上の廃墟で、行ってくれるタクシーも見つからないので、行けるのなら是非と言われていた場所だ。

 タクシー乗り場で探すと結構あっさりと早くハイヤー出来るタクシーが見つかる。
 料金は4人合計で往復8000ドラム(約3200円)
 悪くない。

 12:00時にステパナケルトを出発。

アグダムへ。昨日気になった戦車モニュメント、リアクティブアーマー(爆発反応装甲)付き



 アグダム1993年、ナゴルノカラバフ軍とアルメニア軍の進行によりアゼルバイジャン人全てが追い出された町で、それ以降廃墟となってしまった町だ。

 ハイヤーはいつの間にかアグダムに到着

12:40時、アグダムへ


 シューシと違い人一人の気配もしない。
 ここを知らなければ、ここがアグダムだとは分からないだろう。

アグダム市街


 ドライバーが車を停める。
 モスクのミナレットに登れるらしい。
 「見つかっちゃダメだよ」
 と、警告する。

 我々が見つかると彼にも何かしらのお咎めがあるのだろう。
 
モスクとミナレット、2つあったので2人づつ別の塔に登った

アグダムの全景。完全に廃墟

モスク


 シューシはまだ人の生活を取り戻していたが、アグダムは完全なる廃墟だった。

 ミナレットから降りてまたステパナケルトへ戻る。

アグダムからステパナケルト


 14:00時ステパナケルトに戻り、タクシーを4人でハイヤーしアルメニアに戻る。

お世話になったエルミナの家
 

 移動するタクシーの中、アグダムのミナレットから眺めた廃墟を思い出しながら色々と考えていた。

 人間は自らの生存(とまではいかない利権も含め)を理由に他人の生存を犠牲にする。
 それは歴史も証明している。
 どれだけ科学技術が発達しようと、結局人は人を排除せざるを得ないのが現実だろう。

ステパナケルト→アルメニアへ


 果たして人類は争いの無い成熟した社会を作り上げられるのだろうか?
 ただ争いも競争も無い社会は、人類の進化や発展を妨げ、退化させる物ではないのだろうか?

山間を進む


 人間は動物で、それも社会的動物だ。
 そこから逃れない限り争いは無くならないのだろうか?
 でもそこから逃れたら、人は人ではいられないのではないだろうか?

カラバフテレコムも我らの山像


 全てが矛盾の中、考えがまとまることは無い。

ローカルな教会


 所詮、私はただのツーリストだ。
 ここの過去も未来も関係ない
 自分が通り過ぎた景色を目に焼き付ける
 その一瞬だけが私に取っての真実だ。
 ここに関与する気が無い以上、来て見た事が全てだった。

国境に近付いて


 ナゴルノカラバフ側の国境で、許可証を回収され出国。 
 2泊3日の自称独立国の旅はこれで終わりだった。

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