チグハグな一日・・・(EURO2012)

日本


2012.0618(月)

 この日の早朝、24時間勤務についていた私は民放では放送しないドイツ対デンマーク戦の結果を携帯の速報からやきもきしながら休憩中に眺めるのが精一杯だった。

 結果的には2対1での勝利、これで決勝トーナメントの1回戦はギリシャと決定だ。オランダが3敗して予選リーグで姿を消したのには少し驚いたがドイツファンとしては上々の出足の筈だった・・・

 前日から引き続く当務、昨日は人絡みの面倒な事案で日中はほぼ費やされたものの大きな案件は無く、穏やかな勤務と言っても良かっただろう。

 『今日はこのままとっととあがって・・・』

 等と10:00時に交代者と切り替わるのを心待ちにしていた・・・(※私は責任者格の一人なので何かあると申し送りで残って引き継ぎをするのが通例となっている、昨日は事案が少なかったので5分ぐらいで切り上げてもう上がる気満々だった)


 事態が細かく変化し始めたのは残り15分となった頃だった・・・

 防災センターに受付に来た撮影のクルーの申請書が届いてなく、管理会社に問い合わせをかけてから何かが少しずつ動き始めていた・・・


 あらかじめ言っておくが「大事」に至る事は何も無い、敢て表現するなら「ボタンの掛け違え」というべきなのだろうか?少しずれた事で後がどんどん振幅が大きくなりずれていった。それがこれから私に起こる事だった・・・


 問合せ先からの返信はまた微妙で、金曜日に出された申請書類の受理され承認されたものがこちらに届いてなかったようで3度くらい折り返しを受け、ようやく同じ管理会社の問い合わせたのと別の担当部署から正規の申請書がファックスで送られてきた頃には撮影者を待たせてから15分は経過してしまっていた。


 『これで終わりかな・・・』


 少し遅くなったが今日は折角だから早く上がって床屋にも行きたくなっていた。これから暑くなる季節だ。待たせた撮影者に入館の手続きを済ませた後、私のやる事はもう無い筈だった・・・


 「先ほど問い合わせたデュークさんいますか?」


 管理会社からの電話だ。先ほどの撮影者の件で担当から連絡あり無事に入館を済ませた旨を伝えるとどうも歯切れが悪いようだ。

 ここで若干説明すると私が勤めているのは大型の複合施設、管理会社も部署はA,B,C・・・と色々ある。我々警備の直接の親玉をAとすると私はAに問い合わせ、Aから先ほどの撮影者の担当であるBに伝え、そのBから正規の申請書がFAXされて入館の手続きを終えている。ただここで厄介なのはAはAで撮影申請書の書式があり、BはBでまた違ったタイプで撮影申請書の書式がある。我々はどちらから来た物であっても所定の物を貸し出すだけだからこちらには問題は無い。ただAがBの書式を何故か良く知らないようなのだ・・・

 『・・・』


 なんで・・・


 管理会社に横のつながりがあればこちらからいちいち説明する事のない内容だが何故か問い合わせは我々に来た。

 管理会社から受けた申請書で入管手続きをしている我々がその管理会社に部署は違えど彼らの出している申請書の扱いを説明している内にいつのまにか10:30を過ぎていた。そしてようやくその案件が済んだ頃、今度は建物の外の案件に巻き込まれることになる・・・


 昨日対応したちょっとおかしな人間が荷物を放置し、その放置物品を引き取ってもらうために警察を呼んでその対応に巡回者が2名つかまったというのだ。

 建物は11:00時に開店だ。それに併せて人を配置し、その時に必要な人数が一日の勤務者を決定している、つまり外せない業務で一番人手のかかる時間帯が今になるのだが外の巡回もある我々は開店業務でギリギリでも間に合う人間を外に出している。その人間が事案対処で離れられなくなったら自動的に開店に差しさわりが出てくるのだ。 


 『ふぅ~・・・』

 ここで開店にせよ、この放置物品の対応にせよこのタイミングで動けるのは上がりの私だけだ。今日の責任者に『俺が行くからいいよ!』と言って交代に向かう。

 開店業務に行く隊員と交代して、警察が放置物を回収した時、既に11:00時の10分前、防災センターに戻って今の案件の内容を伝えると結局がっつり一時間の残業となってしまっていた・・・


 『ついてねぇ・・・』


 一時間分の残業はつくもののあまり嬉しくは無い、取りあえず着替えて上がりメトロで家へ帰る事にした。


 『床屋をどうするか・・・』


 少し考えたが大体いつも30分~1時間くらいは残業になるので折角だからやはり髪を切る事にした。

 メトロから私鉄の乗り換え駅で降りる前に車窓から眺める行きつけの床屋は混んでるようには見られない。

 普段平日の昼なら混む事は少なく待っても10分ぐらいだったので外から見た感じがこれならと乗換駅で降りて床屋に向かい、外から覗くと既に3人の待ち客がいた・・・。

 『う~ん・・・』

 ただ、髪を切ると決めたからにはもう待つ気になっていた。

 床屋の台は4台あるものの店員は3人だ。それで回しているので結局丸々一人分は待つ羽目になりようやくカットに入れたのは40分待った後だった・・・


 『はぁ・・・・』


 床屋を終えた13;40時 頃、取りあえずは小腹がすいたのでまずはマックでもと考え携帯のクーポンを見るとチキンナケット100円クーポンがもう終わっていて特に食べたいものがクーポンになっていない。それなら昨日ちょっと気になって久しぶりにKFCでも行こうかと思ってもいたので駅の反対側に歩いてKFCの前に行ったら現在改装中だった・・・


 『むぅぅぅぅ・・・』


 そうなればたこ焼きでもいいかと思い、駅ビルの中にある「銀だこ」へ向かうと数名分しかないカウンター席は昼飯時でもないのに既に半分使われ、買い待ちの客を見ると5名ぐらい並んでいた・・・



 『・・・』


 『・・・・・・』



 『ノーチャンス・・・!』


 私は諦めて帰る事にした。床屋を終えて直ぐもとっていた時と比較して20分は帰るのが遅れた勘定になる。


 この後は家に帰ってシャワーを浴び、飯を食っただけなのでこれ以上の事は特に何もなかったのだが、それにしても今日は細かく細かく色々な事がズレたチグハグな一日だった・・・

 






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