未知への突入(ヌアディブ:モーリタニア⇒ダクラ:西サハラ)

 サハラ・アラブ民主共和国





2006.01.29(日)

 「あの国境を越えれば・・・」

 いよいよブラック・アフリカともお別れだ。

 旅が劇的に変わる予感、だが油断してはいけない。

 これから向かう国、それが特異な性質を持っているからだ。

 「サハラ・アラブ民主共和国」

 通称西アフリカで知られるこの国の独立以降の歴史は複雑だ。詳しくは「Wikipedia」や「非公認の国々」にでも譲るとして簡単に言うと「国であって国で無い国」、そう、独立闘争のどさくさにモロッコが占領して西サハラ政府が領土に戻れず、「領土の大半を占領された国家」として知られる国なのである。

 モロッコの首都はラバト、比較的北方にある。翻ってここは首都から遠く離れた南の辺境。

 「鬼が出るか?蛇が出るか?」

 予測するすべもない。

 当然「西サハラ」のビザなど持ってもいないので「彼らの占領地である国境付近に突入と同時に拘束」という有難くない選択肢もゼロでは無いのだ。

 ミニバスはもう国境に近付いている。

 ブラック・アフリカに別れを告げるという解放感、それはこの国境を上手く抜けてからだ。

 まだ緊張を解く訳にはいかないのだ!


 ミニバスが国境に到着すると丁度昼休みでしばらく待つ羽目になる。

 こういったメインの道路にある国境が昼休みを取るというのは馬鹿げた話だが第3世界では多々ある事だ。そして「昼休みを取る国境」というのがこの第3世界を示すなら・・・

 この国境は「西サハラに帰属する」に違いないだろう・・・

 14:30時、イミグレがオープンする、1時間半も休むなんてどうかしているが食事後の人間の集中力は落ちがちだし、満足している人間の方が見逃してくれ易い、私はパスポートを手に取った。

 イミグレの中は辺境にあるとは思えないレベルで綺麗に見える、これまで見続けてきた国境が酷い物ばかりだったからだろうか?そんな事を考えながら私はパスポートを手渡した・・・

 さあ!奴らはどう出てくるだろうか・・・



 「モロッコへようこそ!」


 『・・・』



 『・・・・・・』


 西サハラ感台無し・・・(涙)



 なんとなくWebを見てそう思っていたけど・・・、それに北から来た旅行者から聞いてはいたけど・・・


 こんな南の辺境で・・・

 あんな簡単に「ようこそ!」だなんて・・・


 『あんまりにもあっさりと言いすぎだぞ!』


 
 だが、そんな私の感情は無視され、あまりにもあっけなく手続きも終わり、やけにフレンドリーだった係官に好印象を残してブラックアフリカが終わり、北アフリカが始まったのだ。


 

 
これがその国境、最初から気付いていたがモロッコ国旗がはためいている。




 
 国境を越えダクラへと向かう。

 「西サハラ感」こそ台無しになったが移動としてはもう快適になっていた。


道中の景色




 砂漠の上をどこまでも走る”舗装路”

 スーダンでは砂漠の上でスタックして1日の予定が丸2日砂の上を移動していた事を考えると同じサハラ越えでもえらい違いに感じる。


途中で見える街




 砂漠の上のアスファルト・ロードを走りながら海を眺める贅沢。

 少し高い金を払ったが前座席を確保して良かったと思える瞬間だ。




左手には海




 砂漠の上だからそれほど景色に変化がある訳ではない。

 だが、「西サハラ越え」

 かつての旅人の苦難を考えると”これほど簡単に、快適に砂漠を越えられる”という事実はこの「可能な限り苦労したくない」というプロフェッショナルの心を十分満足させるものだった。


ちょっと微妙に変わる景色。



たまに起伏もあるものの砂漠は砂漠。




 ミニバスは舗装を快適に進むが如何せん国境からダクラまでの道のりは長い。


 いつしか日が沈み始めていた・・・


砂漠に沈む夕陽を眺めて・・・


う~ん、海まで見えるとはなんとロマンチックな夕陽なのだろうか・・・


日が沈んだ直後



 ダクラについたのは21:00時頃。


 私はホテルに泊まるつもりだったが同じミニバスに同乗してそして私がボラれたと同情していたノル・エル・アッディーンが「ホテルなら案内してやる」と強硬に言ってきて、そしてついていった先は彼の家だった。

 彼の「これがあんたの今日のホテルだ!ここならタダだよ!」

 という彼の笑顔に私は旅行初めての民泊を経験することとなったのだ・・・。当時の事は「謎の日常」の「初体験(ダクラ:西サハラ)

彼の家からさほど離れていない所、夜一緒に散歩した。




 ブラックアフリカからの脱出、そしてそれに続く西サハラ越え・・・


 親切なモロッコ人の助力があった事もあるが・・・


 私はプロフェッショナルとしてこう断言する。


 そう、「楽々であった!」


 と・・・






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