日本
2011.01.06(木)
新年が始まり仕事の初めを迎える。そう言えば定職を持って正月を迎えるなど7年ぶりだ。男塾で淤凛葡繻十六闘神(オリンポスじゅうろくとうしん)の一角獣の搴兜稜萃(ケンタウロス)が地面に足をつけたのが「5年ぶり」であったとしたらそれ以上に長い期間をニートで過ごしていた事になる。生半な事ではないだろう。
所で、連続勤務18日間等という訳の分からない勤務を続けていたこのプロフェッショナルだが、一人欠員が出来ていたがその補充が来て研修も終わりを迎えた事により新局面を迎える事になった。
他の隊員より明らかに労働時間が多くなっていた私の勤務がこの新隊員の戦力化によって大幅に削減され、なんと1月8日の勤務明けから13日までの大型5連休が発生したのだ!
入社以来初めての大型連休・・・
それも正月を過ぎてちょっとしたタイミング、これは・・・
長らくしていなかった「海外旅行」をする好機到来と言っていいだろう。
この連休が決定したのは大晦日に近づいた頃だ、1月8日の勤務明け、午後から動き始める事を考えると色々な手続きがあわただしくなる事は目に見えているがそこはこのプロフェッショナル。
旅行界で唯一
「ミスター・パーフェクト」
と呼ばれた男だ。
他のアマチュアのツーリストならいざ知らず、これだけの時間が与えられれば計画して実行に移すには十分だ。
レインボー・ブリッジ、撮影は昨年の3月頃
休暇が決まると同時に勤務の合間を縫って渡航計画を建てる。
与えられた期間、これまで訪れた事のない国、候補を1個ぐらい挙げて比較して詳細に検討を重ねる。
ターゲットは決まった。
「近くて本当に近い国」そう「台湾」だ。
この国は国といっていいかどうかの曖昧さも持ち合わせる。この曖昧さこそが私が勤務しながら短期で行く今度の新しい旅行でのファースト・ターゲットにこの台湾を選んだ理由だ。
それにここはいつでも行け料金が安い国、こういった短期の旅行では格好の標的足りうるだろう。
これまでの長期旅行ではなるべく日本からアクセスが遠く、行きずらい国、地域を選んできていたので私が行った事のない国の大半は南太平洋の島国やツアーでしか行けない国を除けば日本から近い、もしくはアクセスの容易な国になる。
これまでの長期旅行とは違ったスタイル。
これからの私は「プロフェッショナル・ツーリスト」でありながら「グレート・ショートタイム・トリッパー」という新しいのステージへと向かうのだ。
写真は同じく昨年3月頃に撮影したもの。
目的地が決まったら情報収集だ。羽田の国際化によって日本から台湾へのアクセスが成田、羽田の2か所へ、そして台湾側、首都の台北には松山と桃園の2か所の空港がある、この組み合わせをどうするかになる。
そしてもう一つ、検討しなければならないのはツアーの存在だ。
広告とかで目にする「格安ツアー」、料金は驚くほど安い。
私は今まで比較的「長期旅行」というスタイルを取ってきたので誤解されやすいが私の旅行の本質は「気軽なOLの週末旅行」にこそのその本質がある。
日本帰国して再出撃にかかるコストを考えると現地から現地へ移動した方がコストパフォーマンスに優れ、またトータルで見ると時間も節約できるのでそうしていただけの事だ。
その証左に私は大抵の国で長居はしない、見所をみたら矢継ぎ早に次々と移動している。
「グレート・ショートタイム・トリッパー」へは一見転身したかにみえるが私自身の本質が見やすい形で表面に現れたにすぎないのだ。
ツアーも十分に選択にいれる価値はあるだろう・・・
写真は同じく昨年3月頃に撮影したもの
期間のない中で正月までには大体計画の骨子を固める事が出来た。
勤務明けはきついが可能な限り現地で過ごす事が出来る8日の出発を第一候補に遅くとも9日の朝出ればよい。
ターゲットは台北の一都市、良く短い期間で多くの都市を行こうとする者を見るが私に言わせればそれは愚かな考えだ。
旅行をしていると大抵の場合他に興味を持つ物が出来てきて初期計画通りの期日で見きれなくなり消化不良になる事が多い、それならば一都市に絞ってそこを自分の納得のいく形で見るように仕上げた方が満足感は高いだろう。
全てを60点、70点とるという考え方ではなく1つだけ90点以上を取ろうとするやり方だ。
そこまで決まれば後考えなければいけないのは航空券の手配とコストだ。
計画がまとまったのが正月なのでここは小休止だ。
ネットでこのまま手配するか?それともツアーも含めて店舗で検討するか?
3が日以降の勤務は4日、となると勤務の明ける5日に手配をすれば十分だ。
過去海外で様々な経験を積んできた私にとってこのくらいは朝飯前と言った所だろう。
ヨーロッパ調を意識したヴィーナスフォート(台場にあるショッピングモール)の中
4日の勤務中、正月明け、仕事始めの混乱が予想されたが想像以上にのんびりとした勤務になる。
流石に勤務中となると計画は建てられないが休憩時間や仮眠時間でこれからの旅行をシュミレートする。
今回やるのは短期旅行。
4泊、もしくは3泊で台北、台湾の首都を狙撃する。
チケットは勤務明けの明日、旅行代理店によってツアーおよびチケット単体の値段を調べた上でネット購入するかそのまま代理店で取るかを決めればいい。
19時仮眠、24時起きという変則スケジュールでの勤務はいつも殆ど寝れないのだが今回は珍しく2時間以上睡眠がとれた。
ヴィーナスフォート内
5日、勤務が上がる。
出発の予定は8日、もう目の前だ。
『今日で一気に決めてやる』
私は勤務の疲れも忘れ、実家の近くにある旅行代理店を目指す事にする。
途中寄ったユニクロでヒートテックの特売が終わって買い足したかった物が買えなかったのはちょっとだけ残念だが久しぶりに・・・ほぼ2年ぶりに海外に出る事を考えればそんなことは瑣末な出来事だ。
計画は十分に練られた今、問題となるのは「コスト」のみ。
今回は珍しい休暇と言う事もあり「金に糸目はつけない」つもりだ。
まあそうは言っても限界は当然ある。
航空券単体で「ボーナスの10倍」までなら払ってやっても良い。
長期旅行中はこんなことは考えられなかったが定期収入を持つ強みはここにある。
まあとはいっても他の素人の旅行者なら「旅行に・・・それに航空券だけにボーナスの十倍つぎ込む」などという考えに思いも及ばないだろうが、そこは申し訳ないがこのプロフェッショナル、「グレート・ショートタイム・トリッパー」のデビュー戦、この先の勤務と旅行生活を位置づけを占う大事な初戦にこのぐらいの贅沢は許されるだろう・・・
同じくヴォーナスフォート内
私は旅行代理店に立ち寄り値段を調べてもらう。
「直前なのでちょっと見つかるかどうか・・・」
ネットで既に調べた感触ではチケットはある。値段だけが問題だ。
スタッフはしばらくパソコンの前でキーボードをいじっている。
「旅慣れた」と称する者の中には「航空券はネットが一番安い」等と吹聴する者もいるが私はそうは思わない。
私は「旅行のプロフェッショナル」であって「航空券手配のプロフェッショナル」ではない、こういったケースでは自分で調べるのも勿論プロにも依頼する。個人では見落としがちな部分をプロなら潰してくれる場合も多いからだ。そうやって両方の比較をした結果から最終的な決断を下せばいいだけの事だろう。
10分ぐらいたった頃だろうか?スタッフが私の所に来る。
「8日、成田発、12日夕方台北発でも大丈夫ですか?」
願ったりかなったりの展開だ。
自分の狙っているチケットがまだ存在しているということだ。
『O.K.』
「では値段をお調べします・・・」
さらに待つ事5分、スタッフがまた私の前に戻って来る。
「すべてこみこみで・・・・」
『ふむ、込み込みで・・・』
「31.800円です・・・」
『・・・』
『・・・・・・』
『はうぁっ!』
今まで見てきた台湾ツアーのチラシ、安い物なら市内観光込みで29800から値段が表示されていた。
直前だから高くなるのは分かっていたが・・・
まさか・・・
まさか「ボーナスの10倍以上の贅沢条件」をこうも易々と突破してくるとは・・・!(注:デューク東城のボーナスは2478円です)
『では、ツアーは?』
「少しお待ちください」
こうなったら考えを少し変えよう、ツアーにしてボーナスの20倍以下なら買い、これならおそらく・・・
「お待たせしました、ツアーですが・・・・航空券の手配は今日中になっておりまして・・・」
『なっておりまして?』
「ただホテルの手配が期日が近づきすぎてもう間に合わないということでありますので・・・」
『ってことは・・・』
「はい、残念ながらツアーでの取り扱いは終了しております」
『・・・』
『・・・・・・』
「航空券は如何なさいますか?」
私は少しの間逡巡する。
だが色々と考え・・・時期を選べばもっと安く、それもいつでも行ける国に・・・
航空券だけで「ボーナスの10倍以上つぎ込む(注:また繰り返しますがデューク東城のボーナスは2478円です)」という考えにはどうしてもなれず・・・
『うーん、すいません。今回は見送ります』
と答えたのは無理からぬ事であろう。
それでも最後の悪あがきとばかりに家に帰りネットで値段を調べてみたが全ての値段が「ボーナスの10倍以上(くどいですがデューク東城のボーナスは2478円です)」に・・・・
『・・・』
『・・・・・・』
どうやらこのプロフェッショナル・・・
『グレート・ショートタイム・トリッパー』
への道のりはまだまだ遠いと言わざるを得ないだろう・・・
暇なんで誰か遊んで慰めて下さい・・・