衝撃の首都(ヤムスクロ:コートジボワール)

 コートジボワール


 


2005.11.06(日)-11.07(月)

 私がコートジボワールに来たのはそもそもコートジ一の大都市アビジャンを訪ねることでも鉄道で縦断する事でも無かった・・・

 そう、最大の目的は首都ヤムスクロに行く事だ。

 ここには一つの大使館もそして自国の省庁すらない。
 同国の独立の指導者であった故フェリックス・ウフェ=ボワニ大統領(Felix Houphouet-Boigny)の生まれ故郷であることから首都なったという実に独裁者的な理由で首都と制定された都市である。

 分かりやすく言えばただの片田舎の街だが「そこを首都に制定されてしまった」なら仕方が無い。

 登山家が「そこに山があるから登る」ように首都狙撃手は「そこに首都があるなら観光する」というのが必然のアクションだ。

 それにロンプラ(ガイドブック)を読んだだけでは分からないがここにはなんでも世界一の教会があるらしい。

 アビジャンの観光案内所によるとヤムスクロは政府支配地域になるので特に問題は無いという事だ、私はバスでアビジャンから向かう事にした・・・

 たった200kmの道のりで検問が5回、毎回下車してパスポートを見せるのが面倒だったが賄賂の請求等も無く比較的のんびりと到着した。


到着直前、ここはもうヤムスクロ・・・


降りて少し歩いた所、Mobilの看板が眩しく輝いて見えているのはここがアフリカだからだろう・・・






 予定は一泊、まずはホテルでも・・・


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『へっ?何あれ??』


なんだ?あの遙か遠くに見える建物は・・・


あっ!教会のドームだ!



目を転じるとまた何やら立派な建物が・・・




 『そしてあれはなに???』


 私が今いるのは首都とは言えどうみてもただの片田舎、人口も20万人足らずとロンプラにはあるがそれにしても”なんなんだ、あの建物は??”


 私は宿を取ると即座に街へ出て歩き始める。

 
 まわりののどかな雰囲気の中にその均衡を明らかに崩している不自然な建築物・・・


 興味は尽きない。


 まず最初に訪れたのは14階建ての高級ホテル、ホテル・プレジデントだ・・・

これがそのホテル、考えてみればこのホテルもこの街には異様だ。
 



 プレジデント・・・大統領・・・名前もど直球のこの場所を最初に訪れたのにはもちろん訳がある。

 ここがヤムスクロの建築物で一番高層の建物、展望台でもあれば街の全景を最初に掴む事が出来るからだ。

 レセプションで聞くと上にレストランがあるという、早速訪れてみる事にした。



 そこで目にしたこの街の全景は・・・


 想像以上の衝撃だった!



きょっ、教会が・・・なんだ?あのでかさは・・・!まわりになにも無いだけに余計に目立つ。



そしてさっきの何やら立派な建物が・・・ふむふむ、ガイドブックによるとフォンダシオンと書いてあるぞ・・・



そう、これがこの街の本来あるべき姿では・・・??


メインストリート、これだけ見ていると普通だ・・・


ちなみにアイスコーヒーを特注して飲みました!私ってやっぱりエレガントです。




 上から眺めれば眺めるほど・・・


 私の不思議な気持ちは加速度的に増していった・・・


 これは・・・


 見ずにはいられない街だ!


 私は最大の見どころである教会の前に先ほどのフォンダシオンを訪れてみる事にした。


 何事も”まずは前菜から”が観光の基本、メインディッシュは最後でいい。


 なにも無い田舎道をテクテク歩いて行く、そして近づくフォンダシオン


周りになにも無さ過ぎだろっ!



正面玄関



 ガイドブックによるとFondation は寄付で設立された国際会議場のような建物だ。

 週末のみ見学可能とあったので中に入ってセキュリティーに聞いてみると彼がそのままガイドとなって案内してくれる事に。
 料金は1500CFA(セーファーフラン、約300円)、チケットは無いので値引き可能・・・

 というよりもこれはただの裏口見学のためのチップだろっ!

 としか思えないがとにかく見たいもんは見たいから仕方が無い、彼の案内で内部を見学する。


 そして中に入ると・・・


幾らだ?幾らかけたんだ??
 


小さなミーティングルーム



うーむ、ご立派で・・・
 


会議場、同時通訳が出来るような設備が備えられているらしい・・・、いらねえだろう、こんな街にこんなもん・・・
 

テラスから眺めた正面玄関前
 

うーん・・・正面玄関過ぎたら本当に何も無いぞ・・・!


そしてテラスからまた教会を・・・やはり無駄にデカイ!


こちらが本来あるべきはずの街の景色


住宅街もいたってふつー、やはりあの教会が異常!



アップ!おぉぉぉぉ~!これだけデカイと遠近法無視、近くに感じる


そしてさっきのホテル・プレジデント・・・、これもやっぱりおかしいだろう!



また建物内部など・・・


中のギャラリーに飾ってあった絵、左は多分故大統領ではないかと・・・
 



 私はフォンダシオンを後にする。


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『でっ?これって利用されているの??』



 素朴な疑問だ。


 そして次はいよいよメインディッシュの教会へ・・・


 


歩いて行く途中に見たモスク、白くて綺麗だった。アップなのででかく見えるがそうでもない。




 そして近づく教会。

 うむぅ・・・・



デッ、デカイッ!





 この教会の正式名称はLA BASILIQUE NOTRE DAME DE LA PAIX(日本語では”平和の聖母聖堂”)というらしい、内戦中の国、ここの100Km北のボアウケは反政府勢力が支配しているというのはこの教会の名前を考えると何とも皮肉に感じてしまう。


メインエントランス、アフリカにしては近代的。教会の立派な窓
 

入口
 

テラスに上がってみた正面・・・やはり何もない・・・


ドームと回廊
  

中のギャラリー、比較されているのはパリのノートルダム大聖堂、こんなに違うのか・・・


そして左側はバチカンのサンピエトロ大聖堂



 他にも『こっちの方がデカイんだぜ・・・』とデカサに特化したアピールの絵が数点・・・


 『むぅぅぅぅ・・・』



ちなみにテラスから撮影した景色、さっきの白いモスクはほどほどにデカイ


良く分からないギャラリー


教会内部、確か椅子はイタリアの職人が作ったというのを強調していたような・・・
 


そしてまた入口


正面の通路にあるモニュメント


キンキラキーン!




 『・・・』



 『・・・・・・』



 『なんだったんだ?今のは??』



 私は教会を出てまた中心街に戻る。



いたってふつーな田舎の景色・・・と、言いつつも街灯の数は多い。




 街を歩きそののどかな風景を眺めれば眺めるほど・・・

 あのホテル、フォンダシオン、そして教会の不自然さが際立つ。


 『いままで見てきた物は夢なのか??』



 ヤムスクロにある池のほとり

 
 歩きながらふとそう考えてしまう。


池のほとりものどかです。モスクがいい感じ、でもその右側に不自然なホテルが・・・





 『でも・・・』



 『これは夢じゃない!』



どかーんと教会なぞ・・・



アップ、まるでタンカーみたい。




 
 私は街を歩きながら様々な考えに思いをとらわれていた・・・



 そう、この街はなんと言ったらいいのだろうか?


 街の生活水準を全く無視した建築物に自分の見栄のためにお金の使うという独裁者チックなセンス。

 そしてその結果が街の全体の景観のバランスを明らかにみだしている、それがこの街の特徴だ。


 敢えて言うならば『不調和の中の調和』とでもいうのだろうか?


 世界に類をみないこの馬鹿馬鹿しさは・・・


 ここでしか味わえない感覚に違いないだろう・・・


 さっきの白モスク、夕暮れ時もいい感じ。


マーケット、こじんまりしている。


メインストリート、まあ普通か・・・




 私はもう一度思い切ってホテルのレストランに行き、夜景を眺める事にした。

 この建築物群の夜のライトアップがみたくなったからだ。


 またしても注文はアイスコーヒー、私以外に客のいなかったホテルのカフェで眺めた街は・・・


ホテルから撮影したヤムスクロの夜景




 教会もフォンダシオンもライトアップされていなかった・・・(涙)



 『そりゃそうだ、電気代の無駄使いだもんな~・・・』




ホテルの帰りの路上で。 


街灯がけっこうついているのは流石首都!





 ヤムスクロには1泊。

 
 そしてここから北に抜けれるかどうかの情報を観光案内所(実はあってびっくり!)で確認するとバスはアウト!



 そこで私はアビジャンにまた戻る事にした・・・




手前にほどほどにデカイモスク、奥に教会、それにしてもやっぱりデカイ!


バス停付近で、やっぱりドームが!





 バス停で待つ間、現地人に写真を撮ってと絡まれる。



めったに人の写真を撮らないからいい機会かも
 


左:私が乗ったバス。                                 右:自分の物ではない車の前でポーズをとるバス停のスタッフ
 



 アビジャンに戻る途上、バスの中で私はこのあまりにも不自然なこの街について考えていた・・・

 もし日本にいてどっかの片田舎に不自然にサンシャイン60と日本武道館と江戸城がたっていたらどんな気持ちになるだろうか?

 ヤムスクロはそういう街だった。


 そして私はこう確信した。


 今まで訪れたアフリカの首都で・・・


 『ここが最大の衝撃だった!』


 と・・・






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