ナイジェリア




2005.10.15(土)-16(日)

 アブジャを夜行バスで出発して次のターゲットであるナイジェリア一の大都市であるラゴスへと向かう。

 この都市に向かうには少なからずの困難さがついてまわる。

 そう、その”危険な噂”が旅人をナーバスにさせるのだ。

 世界中に数多くの都市はあれどこれ程の悪評を持つ都市は寡聞にして他を知らない。

 それは有名なガイドブックであるロンプラのナイジェリアでの見所に

 「Survival in Lagos(ラゴスで生き残る事)」

 と、記述されていることでも分かるだろう。


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『こんなん見所じゃねえだろう・・・!』


 とはいいつつもロンプラにそんな事が記載されている都市はラゴスくらいの物だから、その危険さは今までかつて経験した物を遥かに超えるであろうことは容易に推測出来るだろう。


 だが、プロフェッショナルとしては西アフリカ一の巨大都市と言われるこのラゴスは外す事の出来ないターゲットだった。

 『狙撃しなければいけない・・・』

 そこでラゴス侵入も今まで以上に気を使ってナイジェリア一のクオリティーを誇るABCバスを選んでいた。

 このバスはNo.1という噂にたがわず、手荷物検査は厳重で、車内預けの荷物も検査を受け、そしてバス内持ち込みの荷物はナップザックすら許されない。

 これはこの会社のセキュリティーが高レベルであり、さらにこれから向かう都市が危険に満ち溢れている事を示していた。

 それに私が選んだのは最上級のクラス、チケット購入の時色々なランクがあったので興味を持って「一番上のグレードはなにがあるの?」と聞いたら「Everything!(全て)」と答えてくれたのが気に入ったからだ。

アブジャのラゴス行バスターミナル、安全を考えてナイジェリアでも一、二を争う高級私バス会社をチョイス
 


 そして最上級を選んだ筈なのに、出発直前にその”最上級バス”が突然運休となり・・・


 まさかのグレードダウン!



 チケットの差額を払い戻す辺りは「アフリカ・スタンダード」を超える良さだが「Everything(全て)」が「Something(何かちょっと)」に変わる辺りは「ナイジェリア一のスーパーバス会社」と言えどもアフリカ基準を十分に満たしているといっていいだろう・・・


 19:45分出発予定のバスは大幅に遅れて21:00発!見てくれや車内食もちゃんと出るあたりはアフリカ水準を完全にオーバーした贅沢さだがなんだかんだで「この大陸の軛」から逃れるすべはないらしい・・・


バスはエアコン付!そして右が車内食
 


 朝、07:00時頃ラゴス市内へバスは入る。

 アブジャの広さと密度に慣れたこのプロフェッショナルにはその喧騒と混沌が見て取れる。

 『決して安全な都市ではない』

 偽らざる第一印象だ。緊張感も高まる。

ラゴス市内に入って
 






 目的地であるイコイ地区へ近かったのはヤバのバスターミナルだったがそんなことは知る由もない。

 バスに乗り続けて終着地であるマイル2へ到着した時にはここが目的地からかなり離れていると気付いた後だった。

 近くに市バス等のターミナルがあるかどうかすら分からず、結局このバス会社のターミナルいるのは常駐する専用のタクシーだけだ。

 ちなみにアブジャからラゴスまで3500ナイラで来たのに、このバスターミナルからイコイ地区まで2100ナイラ。出足から思いっきりつまずいた格好だがラゴスは危険な都市だ。特に最初の時はこちらもナーバスにいかなけれならないと諦めてタクシー乗る事にした。

 タクシーはどんどんイコイ地区へと向かっていく。それにともなってラゴスの街の景観が明らかになっていく・・・

高層ビルが立ち並ぶラゴスの中心街









 それは久しぶりに見る本格的な大都会であった・・・

 これだけの大都市を見るのはヨハネスブルク(南アフリカ共和国)以来だろうか?

 立ち並ぶ高層ビル群を眺めながら感慨に浸りつつ、ヴィクトリア地区のYMCAに宿を取り少し落ち着いた頃にはすでに14:00時を回っていた・・・


 そこで少し休んで15:00頃から観光を始める。

 ラゴスは巨大都市だ。

 それに危険でもあるこの街に長期滞在というのはよろしくもない。

 「観光時には最大限の速度で必要な物を必要な分だけ見れればいい」

 取り敢えずはラゴス一の高級地区でもあるヴィクトリア島へと向かう。

 島とは言え陸続き、歩くには少し気が引けるがバイクタクシーを捕まえればあっという間の距離だった。


ヴィクトリア島にあるバー・ビーチ
 



 モニュメントに近代的なビル、金色のビルは正面から写真を撮ろうとしたらガードマンに見咎められた
  

そしてショッピング・アーケード。久しぶりにちゃんとした本屋が中に入っていた



 今日は時間がそれほどなかったし、訪れたのも一応安全と言われるヴィクトリア島だけだったが・・・

 どうやら私は「ラゴス」について「危険だ」という情報を鵜呑みにしてたらしい・・・

 バイクタクシーやミニバスは使えるし、それに人も確かに多いがそれが危険と言うことかどうかはまた別だ。

 『前評判にナーバスになり過ぎていたか・・・』

 というのが、今の正直な感想だ。

 それにこのプロフェッショナルは「世界で最も旅行難易度の高い中部アフリカ地域の首都を完全制覇している」漢だ。分かりやすくいえば「並のツーリスト」等では断じてない。

 「プロフェッショナル」である。

 有名なガイドブックに”危険”と記述があった所でこのデューク・東城の方がはるかに経験も実績もその記述した人間を超えているのは明白だ。

 どうやらラゴス・・・

 このプロフェッショナルが恐れるほどの都市ではないようだ・・・


 そしてイコイ地区のYMCAに戻って、宿の近くにあるチェーン店のピザを食べてまた宿に戻る。

そういえばピザを最後に食べたのはいつだったのだろうか?



 部屋はちょっと値は張るがリッチにシングルのトイレ・シャワー付。

 危険な都市で気をつけなければいけないのは何よりもセキュリティーだ。

 YMCAは現地人も泊まる宿、ドミトリーに泊まってバッグに貴重品を入れて置いておくわけにもいかないし、それにラゴスの様な大都市で全ての貴重品を持ち歩いて「人間キャッシュ・ディスペンサー」になるのは論外だ。

 部屋がセーフ・ゾーンなら心配事が一つ減り、思う存分観光もできるしなによりも枕を高くして眠れる。

 この辺りが安宿を泊まり歩くバックパッカーと「ヨーロッパ型のエレガント・ツーリスト」であるこのデューク・東城が一線を画している所以であろう。


 移動の疲れとナーバスになっていた精神の疲れ、この部屋なら安全だ。

 私はシャワーを捻り、バケツに水を溜める。

 身体の汚れと共に汗ばんだシャツとズボンを洗うというのは悪くは無い考えだ。


 バケツに水が貯まる頃、服を脱いでシャワールームに入る。

 ほっと息がつける瞬間。そしてラゴス一日目を思い返す。



 『この様子じゃぁ・・・ここも大したことはないな・・・』



 そしてたまった水にシャツを・・・


 シャツを・・・


 『???』


 『あっ・・・・!』


 『あわわわわわ・・・・・・・』




 バケツを覗くとそこには無数のボウフラだかイトミミズだか得体のしれない寄生虫の様な物が・・・




 『ぎゃっ!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』




 私はプロフェッショナルとしていままで数多くのアフリカの安宿に泊まって来た。


 だがシャワーを浴びれる部屋に泊まって・・・


 水以外の物を浴びれるシャワーがついているというのは・・・


 嬉しくない初体験だ!



 まだ大量のゴキブリの方が馴染みがあるだろう。



 『ひっ!ひぃぃぃぃぃぃぃぃ~!』




 パニックになりそうな心を抑えてしばらく水を出し続ける。


 
 『お願い、何とか居なくなってぇ~!』



 無神論者の私の祈りが神に通じたのか?しばらくたつと中に虫はいなくなった・・・・



 『ふっふぅぅぅぅ~』


 取り敢えずは安堵する。


 だがこの得体の知れない虫が入っていた水を浴びるべきかどうかは悩みどこだ。


 でも・・・シャツも体ももう限界だった・・・


 『配管に貯まっていたのに違いない、もう流れを出したから大丈夫だ!』


 思い込みパワーを利用してシャワーからおもいっきり水を出す。


 バケツを確認、虫はいない。

 そこでシャツをつけて洗濯をする。


 もちろんシャワーは出しっぱなし。
 

 そして洗濯しながらシャワーを浴びる

 最後には何とか体もシャツも綺麗になったが・・・


 これで本当に虫が完全にいなくなったかは・・・


 結局は不明!



 『・・・』


 『・・・・・・』



 『俺の体は大丈夫だろうか・・・・???』



 しかしそれにしても一番の安全圏である筈の宿のマイルームでこの街一番の手酷い目に遭わなければいけないとは・・・



 そしてもしここがラゴスで最もセーフな場所だと言うなら・・・


 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 ラゴスで生き残ることは出来ないみたいである・・・
 

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