エジプト
過去の遺産だけで食いつないでいる国ということで有名なエジプト。
ギザのピラミッド、ハトシェプスト葬祭殿、アブシンベル神殿など超S級の世界遺産も数多くあれども本当に後世に伝えるべき遺産はルクソール、アスワンの2都市になるだろう。
定価の無い国と言われるアラビア圏、この2都市も御他聞に漏れず老若男女問わず小さなキオスクまで観光客を見るとコーラや煙草といった日用品ですら4-5倍のハイ・プライスを請求してくるのだが、他の都市と一線を画すのはこちらが見向きもしない、軽く受け流すと即座に値段を下げ、仕舞には定価まで簡単に落としてしまうその粘りの無さ。
『お前らボッたくるならもうちょっと頑張れよ!』
とついつい応援までしたくなってしまうその腰の弱さが最大の魅力。
値段を下げきった後(ようするに定価になった時)に
「エジプシャン・プライス(エジプト人価格、ようするに単なる定価)」
と胸を張って堂々となんの恥じらいもなく語る彼らの姿は、ボッタクリに失敗した負け犬ではなく、全ての戦いに勝った王者の貫禄に満ち溢れている。
この
「ライト感覚な変動相場制」
はこの先少なくとも4000年は続いて欲しいと思わせる、人類が残すべき遺産である。