ドラキュラの罠…(ブラショフ:ルーマニア)

2006.11.05

「ドラキュラ伝説」

知らぬものがいないくらい有名な話だ。私はそのモデルとなったブラド・ツェペシ公の居城、ブラン城を訪ねることにした。ブラショフと言うルーマニア中部の街からバスで45分ほど、城は月並みな城まあドラキュラ伝説のモデルの居城と言うプレミアムがなければそんなに名の売れた城にはならなかったことだろう。

それほど規模が大きくなかったのでさっさと観光してドラキュラ城を後にしてブランに戻る。

「伝説は所詮伝説だ、”吸血鬼ドラキュラ”等はただの作り話だったのだろう。」

私はそう思いながらブラショフへとまた戻ってきた。

しかしドラキュラは形を変えて生き続けていたのだ!!それもドラキュラ城ではなくこのブラショフで!!


私は当座のお金を作るべく、両替商へと向かった。実は今朝モルドバの主とキシナウから夜行列車でルーマニアの首都ブカレストに到着し、その足でブラショフへ向かいたかったのでATMでお金を降ろそうとしたのだが駅構内のATMが作動しておらず、悪い両替率と知りつつ駅構内の両替商で列車のチケット代とブラン城観光分の最小限度のお金のみユーロから両替して作っていたのでもう一度両替しなければ持ち金が足りなくなっていたのだ。

ブラショフ駅にATMがあったのは確認していたので良いレートで両替できなければカードから降ろすつもりはあったのだが以外に簡単に良い両替商を発見する。両替商の良し悪しを見つけるコツは単純でBuyとSellの差が少なければ良心的な両替商と言うのは旅行界での定説である。それに看板の表示も通常は左からBuy、次にSellときているので左から二つ確認すれば良いだけだ

通常の両替商の表示


私は両替商に入り、早速100?札を出し両替をお願いする。手続きは事務的で100?確認してレシートが発行され事務の女性が私にルーマニアの通貨を見せながら私に確認させる…

「237.50...」

「あれっ??」

「275.00…じゃ…」

金額の開きは私の予想と37.5も違っている!US$なら14US$、日本円で1600円ちょっと損する計算だ!

「金額がおかしいよ!どうなってるの??」

私が確認すると、事務の女性は横の表を指す、表にも同じ表がでかでかと掲示してあるものだ…

これが表にあった看板


私は左から2つ見ただけだった。

説明を求めると左からトラベラーズチェックのBuy、そして現金のSell、Buyの順である。確かに現金のレートは恐ろしく悪い…

幸い彼女が出してきた現金には手をまだつけていなかったしトラベラーズチェックもあったので

「この両替率ではちょっと酷すぎる、キャンセルしてチェックに換えてくれ」

と要求すると彼女は

「事務的な手続きはレシートを出した段階で終わりで私ではその手続きをキャンセルできない!」

と言い出してくる。あまりにも大損なので私は尚も食い下がると

「最初に聞かなかったそちらが悪い」

と言ってくる。まあ当然と言えば当然だろう、しかしそれにしても詐欺同然の両替率だ。両替率の悪い駅ですら2.68ぐらいのレートで出してきている。私が尚も食い下がると

「私は雇われているだけで、キャンセルの手続きはボスでしか出来ない」

彼女はそういってきたのでボスを呼び出すようにいうと渋々電話をする。10分ぐらい待ち、3回かけ直したころにようやく繋がる。私は直截話させるように言ったが彼女はボスに状況を説明し、私に直截話す機会を与えるわけでもなく電話を切りこう説明した。

「状況は説明した。今日は日曜日なので無理だが明日ならボスが来る、この両替商内はビデオ録画されているのでそれを確認してから判断される」

ということだ。しかし彼女は全ての状況を知っていて、しかも彼女が出してきたルーマニアのお金をまだ私は受け取っていない。それに両替の仕事は出来てもキャンセルが出来ないのは摩訶不思議だ!通常買い物でもレシートがあったら払い戻しも出来るはずなのに「キャンセルの手続きはボスが居なければダメ」の一点張りはなんとも納得がいかない。

彼女にその後色々言ってもう一度ボスに直接話をさせるように言ってもダメで彼女は壁に貼ってあるルーマニア語の表示を見せながら「法律的に正当な手続きをしている」と言ってさらに「彼女では両替は出来てもその手続きのキャンセルは出来ない」と繰り返すだけである。

こんなことに30分ぐらい使ってしまい、私もブラショフ観光して今日中に別の都市に移るつもりだったので諦め始めていた。確かに彼女の言うように両替前に彼女にレートを確認しなかったのは私のミス以外の何物でもない。連続移動の疲労や看板にデカデカと表示してあることから何も考えずに手続きをしてしまったのはこちらの手落ちである。

私はここは残念ながら諦めることにした。損した金額は大きいが、こんな街に明日まで残るつもりは初めからなかったからだ。

悔し紛れに最後に彼女にこう伝える。

「両替は出来ても目の前で終わらせた手続きがキャンセルが出来ないのはどう考えてもおかしいし、ルーマニアは進んだ国だと思っていたけどメンタリティーは完全に後進国だな、それに今度から気付かずに現金を両替しようとしている客が来たらここの現金の両替率はルーマニア最低の両替率ですけど本当にそれでいいですか?と聞くことだな。それが良心ってもんじゃないのかい?まあ今回は俺のミスもあるしこんな所にもう居たくも無いから引き下がるけどこんな市内のど真ん中で最低の商売をしている両替商があることはこれから会う全ての旅行者に伝えていくからもうちょっとましな商売をやっていくんだな!」

そんな恨み事をづらづら並べてその両替商を後にする。

シュテファン広場前にあった両替商


そしてその後のルーマニア滞在で見た両替商でもこれ以上現金のレートが酷いところは見ることはなかった…

そしてここでフト気付いたことがある

「吸血鬼ドラキュラ伝説」

現在のドラキュラは人の生血は吸わない、ただ観光客の現金を、それもかなりの率の現金を合法的に吸い上げて、吸い上げた人間の金銭、精神にダメージを与えて、自ら肥え太って生きていくものだと…

そしてその吸血鬼はドラキュラのモデルの城のある町ブランではなく、ここブラショフに移り住み、虎視眈々と旅行者の「生金」を狙い続けているものだと…

そしてこんな馬鹿な現金の両替をやった旅行者はこの「プロフェッショナル」以外に決していないと情けなくも確信しつつ、このブラショフを後にしたのであった…

 






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