信じる心(アディスアベバ:エチオピア)

エチオピア





2005.01.08(土)


今日は0830時に起きてホテルで卵とお肉のサンドイッチを頼んで食べ終わると直ぐに出る。急いでやらなければいけないのは両替だ。すぐ近くの馬鹿でかいエチオピア・コマーシャル・バンクへ行く事にする。日本と比較するととんでもなく厳重に感じるセキュリティーを過ぎ、中に入って両替する。カードは使えないがスーダンでは全く出来なかったトラベラーズ・チェックが難なく両替出来るのは助かる。

この後はアエロフロートのオフィスを探してみる事にする。私が日本で買ったチケットは成田⇔カイロの往復チケット。片道は捨てるつもりだったが、期限が迫ってきていたのでキャンセル等を確認するのも悪くは無いと考えたからだ。
だが、ガイドブックに載っていた場所は民間の旅行代理店に変わっていてそこの人もどうなったか知らず、その後数件旅行代理店たらいまわしにされた挙句に、ようやくアエロフロートのオフィスがアディスから撤退した事を知る。なんたる無駄な努力だったのだろうか!

午前中はまだ時間があった。私はこれまでの旅行で今もっている「旅行人」というガイドブックではこの先アフリカを周る事は不可能だと気付いていたのでここで探してみるのも悪くは無いと思い始めた。(旅行出発前には「旅行人」にアフリカ全国載っていると勝手に思っていたが、実際は7割程度しかも情報は1999年の物となっていたので英語のガイドブック「ロンリープラネット」、それのアフリカ全国版が欲しくなっていた)

そこで本屋を探していると現地の男が声を掛けてきて「ホテル?」と聞いてくる、私は『間に合っているし探しているのは本屋だからいいよ』と答えるてもついてこようとする。私は道路を渡るフリをして彼だけ渡らせたところで方向を変えて振り切ると今度は別の「高校生」と名乗る男が私に話しかけてくる。彼は身分証明証を私に見せて「僕は高校生だけど英語が話したいだけだし、君がガイドブックを探しているなら中古で売っている所を知っているから案内するよ」と言ってくる。私は1人でぶらぶら歩きたかったし、それに英語を話したいのに何故か英語が不得手な東洋人に話しかけてくる事にも胡散臭さを感じたので適当に相手をして退散願うことにした。本屋は見つけたけど今は閉まっていて午後は1330時からオープンとなっている。後回しにするしかないだろう。

それならばと観光案内所へ向かう。私は地図を集めている。本屋で見る地図も悪くは無いが観光案内所で無料でもらえるものから狙うのがセオリーだ。そして1140時に到着すると1130時からクローズしていた。余計な事をやって時間を無駄に使い過ぎていたようだ。

そういえば午前中もすでにずいぶんたってしまっていた。それにここで真っ先にやらなければいけないのはビザの方だ。
私はそこから歩いていける日本大使館へ行くと「今日は開いていないよ」とそこのガードマンに言われる。『えっ?なんで』と聞くと土日は休みだからだそうだ。スーダンはムスリムの国で休みは金曜だがエチオピアでは普通に土日が祝日だったのだ。『ハ~ァ』、こんな単純な事も忘れているとはどうかしている。

仕方が無い、本屋が開くまで時間を潰すかと思うとバックパックを背負った男が声を掛けてくる。
旅行者に見えなくも無いがどうやら現地人らしい。しかしこれでただ歩いているだけで3人目だ。この国がそういう国なのか?それとも私が初心者に見えるからなのか?いずれにしてもうっとおしい。

ただ、彼は少し違って見える。バッグにキーを架けているのもちょっといい感じだ。(日本では先ず無いが、第三世界では盗難防止の為にバッグを前に抱えたり、鍵を架けてりするのは常識に近い)

どうせ暇なので話を聞いてみるとジブチの方から戻って来たといっている。英語も問題なく話す事も気に入って色々と情報を収集する事にする。近くのローカルレストランに行って彼と話すとエチオピアでのロンプラは全土版は手に入らず、あってもエチオピア・エリトリア・ジブチの3カ国版くらいだろうと言う事やジブチへの行き方、アディスでのいいホテル(中級程度)の情報等を教えてくれる。さらに話を聞いているはこちらなのに私の分のジュース代まで出してくれようとする。私は「もう払っているからいいよ」と言い丁重にお断りしたが、エチオピアでまさか現地人がおごろうとしてくれるなんて・・・

しばらくレストランで時間を潰して、そろそろ一度観光案内所でも見に行こうかと立ち上がると彼も「今日は暇だから付き合ってあげるよ」といいついてくる。観光案内所はクローズ、やはり土曜日の午後はもうやっていないらしい。
彼にこれ以上付き合わせるのも悪いと思い始めていたので『もういいよ』と言っても彼は「俺も付き合う」と言ってくる。この先何をするかで考えていたのはさっき彼が勧めていたホテルを見てから市内観光でもということだが、市内観光中付き合われるのも不自由に感じる。私はじゃあホテルぐらいまでならと思い彼と一緒に歩き始める。

『まあコイツは信用出来るだろう』

ホテルまではそれ程距離はないらしい、が、彼は突然「喉が渇いたからちょっとビールでも飲みに休憩しないか?」と提案してくる。私は『まだいいし、それに俺はビールを飲まないぜ』と答えても何故か彼は執拗に迫ってくる。
彼は今までの所は私に付き合う形で案内しているので、意に沿わないながらも『じゃあいいよ』といって彼に『どこにするの?』と聞くとそれまで歩いていた大通りからいきなり少し路地に入っていく。

『んっ?』

ちょっと不思議に思ったが彼は地元の人間だ。いい当てでもあるのだろうとついて行き、路地に入ってすぐの看板を出していない家屋に一緒に入っていく。

中に入ると彼にとってはかつて知ったる場所という感じで手をパンパンと叩き、従業員を呼んでくる。最初に出たウエイトレスが注文を聞き彼はオレンジジュース、私はコーラを頼む。中は耳をつんざくような大音響が流れている。くつろいで話すにはいい場所ではない。そしてドリンクが出てくると何故か若い女性が次々に出てきて私に握手を求めてくる・・・

『しまった・・・やられた・・・ここは売春宿だ!』

私は即座に今回の絵が見て取れる。

彼はバッグからモバイルを出してキーを叩きなにやら会話を始める。よからぬ予感。私は目の前のコークを一気に飲み干してウエイトレスを呼び会計を頼む。

「25ブル(約350円)・・・」

ローカルでビンのコーラが1.5-2ブル(20-30円)で飲める国でこの値段は破格だ。彼のジュース代も含まれているのは間違いないから実際の価格の5-7倍くらいというのが見積もりだろうか?

ボラれているのははっきりしているしそれは悔しいがこのからくりが分かった今、一分一秒たりとも長くこんな場所に居たくは無い。時間が経てば経つほど何か仕掛けてくるだろうし、こちらは不利になっていく。私は言われるがままに金を払って直ぐにその家屋を後にする。

彼は私の様子に慌てて、注文したジュースを一気に飲んで追いかけてくる。

「どうしたんだ?急に??」

『どうしたもこうしたもないだろう。お前、俺を騙そうとしただろう、値段を聞いたか?お前のと合わせたといってもあの値段は普通ではありえないぜ、それにあそこは売春宿だろう?なんであんな所に案内したんだ。俺は一言も“女を買いたい”なんて言ってないぜ』

彼は私の剣幕に若干ひるんだ様子を見せたがそれでも何かを言おうとしてくる。私は機先を制し

『もういい、折角信じていたのにもうお前を信用する事は出来ない。ジュース代は俺の奢りだ、お前を信じた自分の馬鹿さ加減へのレッスン料とでも思うことにするぜ。じゃあな!』

と、吐き捨てる様に言って後ろを振り返ることなく彼と別れる。

初日からまったくもって碌な出会いがありやしない。

『エチオピア人を信用する』のはこれから少し考えることにしよう。


時間はまだ十分にあった。

私は本屋を見て、そこにたいした蔵書がないことを確認すると次はスーダンでアデルに売った双眼鏡の代わりを探しに行くことにした。

先ずは可能性の高そうな所と考えてヒルトンやシェラトンのホテルの店を見ても無く、そしてピアッサ広場付近の眼鏡や等を訪れても双眼鏡は全く無い。そこで東アフリカ最大というメルカート(青空市場)に行って店を片っ端から当る事にした。何軒か周っているとまず600ブル(約8500円)くらいの中古が見つかるがこれは馬鹿みたいに高い値段だ。私が日本で買った物は新品で2000円くらい、倍率こそ6倍とここにある10倍のものより低かったが遥かに出来は良かった。これでは買えないとどこまで下がるか交渉するなんとか400ブル(約5600円)まで下がるがこの値段でも買うのは馬鹿馬鹿しい。ここで買うのを諦めてさらに探して合計40軒くらいは回った頃にもうこれ以上探しても駄目だという判断を下す。どうするか?これだけ探すと手に入れないのも悔しくなり、さっきの所にいって結局300ブル(約4200円)まで交渉して下げて中古の双眼鏡を購入する。

しかし東アフリカ最大といわれるマーケットを探しまくって双眼鏡は一個しか見つからないとは・・・


エチオピアの首都アディス、出足はどうやら最悪らしい・・・




初日に何となく撮影したアディス市内







エチオピア



2005.01.09(日)


今日は日曜日だ。やれる事にも限りがある。

私はそろそろ心もとなくなっていたタバコの買い足しをするべく、銀行付近の路上でカートン売りしている男の所に行く。昨日値段を30ブルと聞いていた私の目星をつけていたタバコが無く、どうしようかと思案していると「まってろ、今持って来てやる」と言ってくる。しばらく待つと彼の手には私の期待するタバコが・・・30ブル手渡して『サンキュー』と言うと「違うぜ、35だ!」と、私が『何で?』と聞くと「俺はこのカートンを今30で買ってきたから手数料が5ブルで合計35だ」というのがその回答。『ハァ~』、さっき30ブルと聞いた値段は何だったんだ?俺が見つけるから手数料をくれと最初から言ってくれればこっちも時間と労力を天秤にかけてどうするか決めたものを・・・
とはいいつつそれでも10箱で500円、探すのも馬鹿らしくなり彼から購入する。

早速今日の出足もエチオピア人を信用してはいけないというレッスンから始まる。

その後はジブチ行鉄道の時刻表を確認しに行く。ジブチ・シティーへの直行は無く、ディレ・ダワという東部の都市まで日・木・金の週3便、チケットは当日のみ販売らしい。

鉄道駅とその周辺





今日確認できる事はこれくらいだ。私はアディスの全景を見るべくエントト山に登る事にした。

私のホテルの近くに一杯いるタクシーのドライバーに聞くと往復130ブル(約1800円)。少し高いと思ってスタジアムまで歩いてそこで聞くと100ブル(1400円)というドライバーが現れる。

よく聞く話は乗った後で「それは片道分の値段だ」という手口だ。それだけは避けなければならない。
彼は英語を殆ど喋れなかったので私は何度も『ゴー&バック』とジェスチャーを交えて徹底する。彼は笑顔で「いいよ、それで」と答えている。

交渉が纏れば出発だ。

エントト山にいく途中のアディス市内の景色。


そして山頂の小屋。


エントト山山頂からのパノラマ3連発







山頂からの景色は素晴らしく、それにドライバーも親切でよくこちらのリクエストに答えてくれる。私は十分にアディスの全景を満足して街に降りていく。

タクシーは順調に出発したスタジアムに到着。こういういい気分がした時は『チップ』を出すべきだろう。私は10ブル余分につけ、笑顔で彼に110ブル渡す。

彼も笑顔でお互いに「サンキュー」となりいい時間を過ごした。というのがこの物語の結末だ。

だが、事態は私の予想とは別の方向に進展する。そう、彼が急に激高して「おい、100じゃない、往復だからその倍だろう!!」と言ってきたのだ!

『ハァ~・・・』

そうなるのが怖かったから行く前にあれだけ散々言って確認していたのに・・・
そして彼も納得した筈だったのに事が終わると豹変してくるなんて・・・

既に手渡したチップの10ブルがとてつもなく馬鹿らしくなってくる。私は彼に

『おい、行く前に散々いったろう!往復で100だ。それに気持ちとしてチップまでつけたのに何が言いたいんだ!』

と強く抗弁してドアを乱暴に開けてタクシーを後にする。後ろから彼の「50ブル」の声が・・・倍はボリ過ぎと思ったのかディスカウントしたらしい。だが、そんなお金を払ってやるいわれも覚えも無い。

しかしそれにしても・・・最後の最後にそんな事を言われて折角のいい気分が台無しだ!



エチオピア、この国では『人を信じること』はやめにしよう・・・


(注:エントト山に行くには、当時私は旅行経験が浅かったのでタクシーをハイヤーしたが、ミニバスを乗り継いで山頂付近から歩いて観光する事も出来る)






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