2008.09.20(土)
サントドミンゴのフライトは順調にマドリッドを目指す。
サードミッション最初のヨーロッパの地はここだが・・・
別にここが目的地と言うわけではない。
ファーストミッション以前に既に訪れているこの国を私は今回の狙撃対象から外している。
何故マドリッドか?
それは単純にサントドミンゴからヨーロッパに行くのに一番安かったのがここだったからで、他に意味は無い。
では、目的地は?
ドイツのデュッセルドルフがヨーロッパ最初の目的地だ。
ここに知人がいて、泊めてくれるという。
そうなれば、ここに荷物をある程度置かせてもらって身軽になって残るヨーロッパの首都を狙撃しようというのが私のヨーロッパ計画の基本である。
だが、問題が無いわけではない。
私はこのマドリッドからフランクフルトへ行く航空券を抑えているが・・・
それは格安航空会社で有名なライアンエアー、サントドミンゴからマドリッドまではエアヨーロッパ。
ちなみにマドリッド到着予定は10時50分、そして出発は13時10分。
同じ航空会社や系列の航空会社でのトランジットならなんの問題も無いが別会社で乗換えとなるとこのたった2時間20分という乗り継ぎ時間はネックになる。
なぜならこの時間の間に一度自分の荷物をピックアップして入国、さらにチェックインカウンターに並び出国の手続きをしなければならないからだ。
大体航空機に乗るときの常識は2時間前にチェックインだから私のような乗り継ぎで2時間20分しかないというのは時間があるとはいえない。
それにマドリッドは大きな空港だ。ターミナルはT1-T4の4つ、T1-T3は同じ敷地内だがT4になると少し離れているので空港バスでの移動になる。到着はT2だがライアンエアーの搭乗がどのターミナルからなのかはネット発券されたチケットには書いてなかったから一度空港で探さなければならない。
落ち着いて翌日飛びなおそうと最初は考えていたが・・・
この微妙な時間に私は敢えて勝負を賭ける事にした。
理由は?ときかれても理屈のある答えはない。
敢えて言うなら「私がプロフェッショナル」だから・・・
としか説明の仕様が無いだろう。
エアーヨーロッパは予定時刻より少し早く10時20分にマドリッドの空港に到着。
幸先はいい・・・
到着直前のマドリッド上空、そしてマドリッドの空港
そしてサントドミンゴからフライトしてきたエアーヨーロッパ、ちなみに約500ユーロ
足早にイミグレへ向かい入国手続きを済ます。
現在時1030時。余裕のある時間だ・・・
だが・・・
荷物が中々こない・・・
ようやくピックアップして空港の中に進んだ時に時刻は1100時をもう過ぎていた・・・
だが、これでもまだ2時間10分はある。
懸案されていたターミナルも同じ敷地内だったので一つ不安が解消される。
ライアンエアーのオフィスに着いたのは1130時、これならば大丈夫だが列には結構人が並んでいる。
待つ事30分程・・・
チェックインは1200時、ボーディングパスを手にする。
後は出国手続きだが、ここまで来て一時間あれば大丈夫だろう。
私は一度空港の外に出て大きく息を吸い込む。
たまたまチェックインカウンターで話しかけたフランクフルトに行くトルコ人も一緒だ。
私は彼に事情を説明して『何とか間に合って良かったよ~!』と満面の笑みでしゃべりかける。
彼も私に笑顔で「そうだね~・それは良かったね~」と・・・
そして彼は箱からおもむろにタバコを取り出し私に手渡す。
「これでも吸って落ち着きなよ~!!」
彼に火をつけてもらい一服、思い起せばサントドミンゴの空港で最後にタバコを吸ってからもう10時間以上は口にしていない。
こんな時のタバコの味は格別だ。
私は煙を大きく吸い込み、そしてふーっと吐き出す。
久しぶりのタバコなので頭も若干くらくらしてくる・・・
まんぞく~・・・!!
至福の一服を終え、私は彼に『有り難う』とお礼を言う。
この瞬間の為に生きている。そんな気がする一瞬だ。
そしてふと思い出した事もある。
ドイツからの居候先のメッセージ、「タバコを吸ったら殺す・・・」
そしてそれを踏まえて禁煙した筈だと言う事だが・・・
私はプロフェッショナルとしてこう言おう
『やべっ、いけねっ!吸っちゃったっ!!』
と・・・
ヨーロッパ・・・
不安だらけの禁煙生活の幕開け・・・
出足からつまずいた、そんなスタートであった・・・