ガボン
2005.08.27(土)
次なる目的地はフランス語で自由都市を意味するガボンの首都リーブルビルだ。
昨日チェックした情報を元に05:30時頃にバス停をチェックしに行く。
バス一台見えやしない。出発は06:00時の筈だ。
一応微妙に人はいる・・・
一度ホテルへ戻り、荷物を持ってバス停へ、06:00時直前に向かう。
朝日の昇り始め、日が柔らかい。
相も変わらずバスはいない。
オフィスが開いてチケットを売り始めたのが06:15時、バスが来たのは07:00時だった。
これがリーブルビル行のミニバス
これでようやく出発か?とほっとしそうになったのも束の間、ミニバスは客集めに市内をぐるぐると周り、出発したのは実に09:00時を過ぎた頃だった。
出発後の道中の景色
途中で通過した町
アフリカの旅行とは「Time is no money」を受け入れる事と同義だ。私が今回待ったのは”たった3時間”、奥地に行ったらそれこそ単位は週単位、時によっては月単位にまで膨れ上がる。そう考えると相当にましな部類だろう。
道中の景色、助手席だったのでたま~に撮っていた。
出発した時からどう見ても過積載だったこのミニバス、見かけの綺麗さ(あくまでも中央アフリカ地域でです)とは裏腹に・・・というかやっぱりというべくパンクする。
予備のタイヤに付け替え、前進を続ける。
そしてしばらく走って・・・
さらにもう一度パンクする。
『・・・』
『そりゃそうだろう・・・タイヤを変えても積載量は減らしてないもん・・・』
それでもミニバスのドライバーは落ち着いたものだった。
予備のタイヤは当然もう無かったが、反対側へ向かうミニバスをしばらく待って捕まえて、そこから予備タイヤを借りて付け替える。
こんなところで待ってました・・・
積載量は変えないまま・・・不思議とタイヤは持ち、15:30時頃、リーブルビルの手前、シュバイツアーの博物館?のある中都市ランバルネへと到着した。
なかなかに雰囲気の良さそうな(注:あくまでも中央アフリカでです)この街に・・・滞在するという案も少し芽生えてきたが・・・
それでも自由都市というリーブルビルの名前に惹かれていたのでこのまま前進を続けることにした。
ランバルネ
そうなるとここで私にはやる事があった。
リーブルビルにつくのは日没後、治安が良いとは間違っても聞いていないこの都市にねぐらも決めずに入るというのはちょっと危険である・・・
そこで電話で宿を予約するという事だ。
ネットを利用したテレフォン・ブースはそれほど高くない・・・
一つ注意しなければならないのはガボンは”フランス語圏”という事だ。
そうなると私の泊まろうとしているランクの宿では英語が通じない可能性が高くなる。要するに電話予約はフランス語で!という公算が大である。
ここで通常の”英語程度しか話せない”程度の旅行者ならこんな考えは思いもつかないだろうが・・・
このプロフェッショナル、フランス語に関しては黒帯の腕前、幸いな事に完璧に仏語を操れるのだ!
そう、今まではひけらかすと自慢になり鼻もちならない奴と思われるのが嫌で隠していたが・・・
その秘めた語学能力を存分に発揮出来る好機、たまにはアマチュアのツーリストに”プロ”がどのレヴェルにいるか?思い知らせてやるのもいいだろう・・・!
『ボンジュール・マドモワゼル(こんにちはお嬢さん)!、テレフォン、シル・ヴゥ・プレ(電話をお願い~』
ブースのお姉さまに声をかけ、ボタンをプッシュする。
トゥルル~トゥルル~。
電話がかかる、このプロフェッショナル、いかにフランス語がネイティブ以上に堪能とはいえ宿の予約をフランス語でやるのは初めてだ。
初体験に伴う軽い緊張感、物事を成し遂げるのに必要な分と考えていいのだろう。
「アロゥ・・・(英語で言うハロー、呼びかけの時に使います)」
相手の声が聞こえる・・・
『・・・』
『あれっ?』
『おかしいなぁ??』
『相手のアロゥの後が・・・全く聞き取れねぇ・・・』
電話機の調子が悪いのか??
しかし、これで後ろを見せるこのプロフェッショナルではない。
こういったとき・・・一番大事なのは”勢い”だ。
取り敢えず私の持つ超S級のフランス語で勝負してやろう!
『デューク、ジャポネス(日本人のデューク東城と申します)』
よしっ!出足は順調だぞ!!
『ランバルネ(今ランバルネというところにいます)』
後・・・
えっと・・・えっと・・・
なんだっけ??
だが、ここで止める訳にはいかない
電話代は既に払われているのだ(注:後払いです、いままでかけた分が無駄になることをおそれているだけです)
『レゼルヴァシオン(予約)、オージュルディ(今日)・・・・』
良しっ!
いい感じだ!!
この調子で・・・
『スリープ(英語?寝る?)、ドゥーシェ(シャワー?)アベック・トワレット(トイレ付)』
『・・・』
『・・・・・・』
いい感じなのか??
まあいい、さらに追い込みだ!
『ポシブレ??(仏語??可能??)』
相手から返答がある。
もちろん全く分からない。
もとい、聞き取れない・・・
”絶対に電話機の調子がおかしいせいだ!”
だが・・・
答えが返ってきているという事は・・・
少なくともこっちの用件は通じていると判断していいだろう。
そうなると・・・
今日はなんだかいけそうな気がする・・・
さっきの言葉を数度繰り返し、そしてとどめを刺しに行く。
『ウィ?ノン?(はい?いいえ?なのっ?とさっきの内容の確認をしています)』
そして相手の返答は・・・
やはりまったく分からない・・・
もとい、聞き取れない・・・
『・・・』
『・・・・・・』
『メルシィ・・・(英語のサンキュー、ありがとうです)』
電話の終わりを短く簡単な言葉で区切り、 私はプロフェッショナルとしてここで受話器を置くことにした・・・
取り敢えずこちらからの用件は通じたし・・・相手からも応答があった。
私のフランス語の能力からいって間違いなく予約出来た筈だ。
納得してブースのお姉さんに電話代を支払う。
しかし彼女が大爆笑していたのは何故だろう??
このプロフェッショナルとしては珍しくジョークは交えなかった筈だが・・・
まあいい、後はリーブルビルについてのお楽しみだ。
電話ブースの近くで。
宿の予約を完璧に済ませ、ミニバスはまた出発。リーブルビルまで後そんなにかからないだろう・・・
ランバルネからリーブルビルへの道中
ミニバスはその後パンクすることなく順調に進み・・・
20:30時、リーブルビル郊外にあるペカウィット地区へ到着。
到着したペカウィット、もう夜、治安の悪いという国でこの暗闇はちょっといただけない。
夜に到着すると場所が全く分からないから性質が悪い。
信頼できそうなタクシーを探し、「完璧に予約をした宿」へ向かう。
タクシードライバーに「メゾン・リーバマン(これも教会系の宿泊施設)」と伝えたが理解してもらえない、リーバマンは英語でフランス語は「リーベルマン」だということに気付いたのはタクシーが走りだしてしばらく経ってからだった・・・
そして到着!
ホテルのレセプションに行き・・
『レゼルヴァシオン(予約)、ジャポネス!』
と伝えると・・・
受付の若い男性が笑顔で私を迎えてくれる・・・
「君かぁ、完璧なフランス語だったよ、こっちの言葉は電話の調子が悪くて聞き取れなかったみたいだけど・・・君の部屋を取っておいたよ!(注:レセの男性のフランス語を完璧に翻訳しています・・・)」
ということだ。
・・・
・・・・・・
そうに違いない!
空き部屋は数部屋あったので2,3見せてもらい、一番気に入った部屋に泊まる事にする。
レセのお兄さんは・・・
終始笑顔、というかおおウケしていたは何故か?謎だったが・・・
予約は完璧に行われていたのだ!
そしてこのプロフェッショナル・・・
これで
『電話で宿の予約が出来るほどフランス語に堪能』
ということが証明されたと言っていいだろう・・・