カメルーン





2005.09.13(火)

 マラボへの出発は翌日

 と、なると残っている時間を有効に使って観光しなければならないのがツーリストの宿命だ。


 見所の無いと言われるアフリカの都市だが、それでも見所を作ろうとしたら作れない訳ではない、私は鉄道駅へと向かう事にした。


途中の景色
 


廃材で出来たモニュメント
 

アートというよりアウトと言った方が良さげ・・・
 



 お目当ての鉄道駅に近づいていく、一見した感じだが中々良く見える。


近付いてきた鉄道駅
 


 旅行と言えば移動は切っても切り離せない関係だ。

 ヤウンデ⇔ドゥアラ間で言ったら便数の多いバスの方が利便性は高いが”移動手段に選択の余地がある”というのは中部アフリカでは稀なケースだ。それだけでもカメルーンの凄さがはかり知れるというものだろう。

 私は中に入って駅の係に色々と質問をしていく、スタッフはフレンドリーだ。

 質問を終え、ちょっとデザインのいい鉄道駅の構内を撮影する。

 

天井の色彩パターンがカラフル!
 



 写真にナーバスにならざるを得ない中部アフリカの水準から言ったらカメルーンは結構簡単に写真が撮れる。


 私は満足してスタッフにお礼をいって後にすることにした。


 そして駅を出て、最後にもう一度鉄道駅の全景を撮ろうとカメラを構えると・・・


 「〇■〒①☓・・・・」


 『???』


 遠くから人の怒声が聞こえてくる。


 私ではないだろう、と歩いて去ろうとすると駆け足で近付いてくる音!


 『んっ?』


 良からぬ予感、心のスイッチを瞬時に切り替えて戦闘モードへと突入する。


 カメルーンとはいえ安全が保障された国ではない、この辺りの見極めをシビアに考えないと痛い目に遭う事になる。


 近付く者をみると・・・


 『警官だっ!』


 しかし、それにしても何故???


 私よりは明らかに年配に見える彼は近付いてきて大声でまくし立てる、フランス語に堪能な私だが、カメルーン独特のアクセントのせいか?うまく聞き取ることはできない。

 だが、どうやらカメラの事を言っているようだ。


 『ちっ!この国もこれか!』


 私の中でアンゴラの首都ルアンダで写真撮影して不法に賄賂を請求された時の記憶が甦る。


 相手の目的ははっきりしている、そう、この俺の財布だ!

 
 だが、こちらももう「中部アフリカ・ヴァージン」ではない、こういった時の対処は慣れているのだ。


 『わかったわかった』とジェスチャーで示し、背を向けて後にしようとする。

 相手の出方はこれで分かるはずだ。



 すると彼は不当にも私をつかまえようとしてきた!


 『くっ!』


 私は彼の手を振りほどき、肩をすくめる。

  
 『・・・』


 『・・・・・・』


 『やるつもりか??』


 相手の目をにらみしばし牽制する、その間にアドレナリンを分泌させ、何があっても瞬時に対応できるように精神状態を作り上げていく。


 闘いの予感。


 もう一度、立ち去ろうとする私を彼は再度強引に捕まえに来る。


 『やるしかない・・・』


 とはいいつつ、殴るのはご法度だ、私は軽く彼を突き飛ばし、その場からエスケープ(英語で言ってますがたんなる逃亡です)する事にした。


 捕まえに来た彼の手で一度こちらの手をつかませ、自分に近付けてから胸の付近で回転させるようにして押し出す。


 決まった!


 相手は数歩よろけながら後ろに下がる。


 タイミングはここだっ!


 不当な賄賂請求には屈しない。


 相手を目線で威嚇する。


 そして・・・


 警官は拳銃を出してきた・・・!!


 『えっ?』


 まっ待て・・・


 賄賂請求を断られたら警官は拳銃を出すって???


 どこの無法地帯だ?ここは??


 だがビビったという表情を見せてはいけない。


 そう、正義はいつでも私と共に歩んでいるのだ!


 『そこまでやってくるなら仕方ない』、私は表情にはそう作り、警官に一度従う事にした、一度出された拳銃、このまま彼の制止を抑制して立ち向かうのは愚か者のする事だ、今は彼にイニシアチブを握らせて、状況をみつつ反撃すればいい。


 そう、こちらはただのツーリストではない、プロフェッショナル・ツーリストなのだ。


 頭の中のコンピューターが猛烈な勢いで回転を始める。




 彼が俺を連れていきたいのは何処だ?

 駅の前のロータリーから離れて人気のない、彼のテリトリーである何処かでこちらに手を出してくるだろう。


 その前に・・・


 人気の多い所で巻くか?それともこの際だから殺ってしまうというのも一つの手段だろう。


 無法者を相手に良心は要らない、相手が”拳銃を抜いてきたということはこちらを殺す準備がある”ということだ、そしてそれは“自分が殺されてもいいという覚悟”を伴う行動だ。

 遠慮してカメルーンの土に還るのはこのプロフェッショナルの流儀ではない、目には目を!だ。


 この”鶏の牙”はかつてないほど研ぎ澄まされていたのだ・・・



 そして彼の言う方向に・・・



 『んっ???』


 『なんでまた駅に戻るの???』



 『賄賂請求は???まさか駅の中で???』




 駅に連行される私を見てさっきフレンドリーに話していたスタッフたちはちょっと怪訝な顔付だ。


 そして警官はスタッフに声をかけ、私にしばらくここで待つように指示を出す。




 『???』


 『これなら別に今逃げれるじゃん・・・でもなんで???』


 疑問に思った私は取り敢えず駅の英語をしゃべれるスタッフに質問してみる事にした。


 『聞いてくれよ、駅の写真を撮ろうとしたらいきなり怒鳴られて・・・それでまたここに連れてこられたんだぜ、どうなっているんだ???』


 「あら~・・・あなた駅は写真撮影はダメよ~、それはあなたが悪いわねぇ~」

 
 『はっ!はえっ???』


 どっ、どういう事なんだ???


 撮影禁止だったなんて・・・????


 「駅の中に警察署もあるから・・・そこに行く事になるわねぇ・・・」


 『あっ!あぅっ!!』


 と、なると・・・・



 正当な根拠を元に写真撮影をする外国人を制止しようとしていた彼を・・・不当に突き飛ばしかつ逃亡を企てていたこのプロフェッショナルの立場は・・・


 ひょっとして・・・


 ひょうっとして・・・・


 『クリミナル(犯罪者)?』では・・・???


 それも日本で言う「公務執行妨害」のおまけつきで・・・???



 『あっ、あっ、あぁぁぁぁぁ~・・・・!』


 しかし・・・


 しかし・・・


 堂々と写真を撮影している私を駅のスタッフは思いっきり見ていたはずなのに・・・・


 『なんで・・・なんで最初に教えてくれないの~!』


 頭の中はかつてないほど高速な勢いで混乱ている。

 
 警官が戻ってくる。顔には・・・「阿修羅面怒り」が・・・


 それはそうだろう、自分は自分の仕事を・・・責任感を持って全うしようとしていただけなのに突き飛ばされまでしたのだから・・・


 『ひっ!ひぃぃぃぃぃぃ~・・・・!』


 ”もう逆らっている場合”ではない、私は彼の導くままに地下にある詰所に・・・


 そして部屋に入ると・・・


 彼のボスが・・・!


 ここは・・・


 ここは・・・・


 プロフェッショナルならではの平謝りしかないだろう・・・


 ボスが私に話しかけてくる、英語だ!


 私は猛烈な勢いで彼に話しかけていく。


 『ごめんなさい・・・ぼきゅ・・・ぼきゅ・・・、本当に知らなかったんでしゅ、鉄道や駅がしゅきなんで写真を撮っていただけなんでちゅ。まさか・・・禁止だなんて・・・、そうじゃなかったらそちらのお巡りさんを突き飛ばしたりなんか・・・』


 ボスは笑顔だ、そして想像以上にフレンドリーだ!


 「君の言っている事はわかる、だが・・・」


 『しゅみましぇん・・・写真も消しまちゅ、だきゃら・・・だきゃら・・・許してくだしゃい・・・・!』


 私はカメラを持ってボスに近づく、そしてプレビュー画面を見せながら・・・微妙にインチキしながら一枚、一枚彼の目の前で消していく・・・


 『あひゅぅ・・・これで最後でしゅ、もう2度としましぇんからお許しを・・・お許しを・・・』


 「うーん・・・しょうがないなぁ・・・、君がそこまで言うなら・・・」


 『よしっ!OKだっ!』


 『ありがとうございます、感謝の念にたえません、そしてお巡りさんの彼には私が十分に謝って反省していると・・・』


 横に座っているお巡りさんは・・・・まだ不機嫌そうな顔をしていたが・・・ボスは納得した、これで見逃してもらえるだろう。


 「知らなかった事だから多めに見てあげよう、でももう撮っちゃ駄目だよ、では良い旅を!」


 『ふっ、ふぅぅぅぅぅぅぅ~』


 私は深々と頭を下げて詰め所を出る、最大の危地はこれで脱出だ。


 そして駅構内を出てまた街に向かう。

 
私が拘束されてしまったドゥアラ駅、そして駅のすぐ郊外で頼まれて撮影した現地人
 


 
 
 こうしてカメルーンでの死闘を制したいま、プロフェッショナルとしてこう思う。



 どうやら今回のこの死闘・・・


 正当に制止しようとした警官を突き飛ばし、挙句の果てに消すと言っていんちきをして数枚写真として残してこうしてブログにも堂々とアップまでしていることからも・・・


 『百歩譲った所で無法者で悪者だったのは完全にこのプロフェッショナル・デューク・東城であった』

 と・・・



駅から離れたところから撮影した街の景色と鉄道駅
 

 



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