日本
2017.09.11(月)
再会シリーズ第17弾は山梨市にいる友人夫妻を訪ねての事だった。俗に言う首都圏から出るのは帰国して僅か2度目、1度目は高崎でそれも2013年、実に4年以上も前だった。
仕事上がりだったので職場の休憩室で少し休み、そのまま六本木から新宿へと向かう。海外の、ヨーロッパの自動券売機でチケットをなんの抵抗もなく買っていた私だが、日本の鉄道のチケットは複雑怪奇で、特急券、それも自由席をどうやって購入していいか中々要領を得ず、何とか合点して買ってホームに到着するころにはもう出発5分前となっていた。
山梨方面というとあずさ2号が有名だが、私の乗ったのはおそらく甲斐路をそのまま平仮名にした”かいじ”というあずさより区間の短い特急だった。
新宿から甲府まで
首都圏から出るのは時間がかかるからと億劫がっていたが、甲府までは1時間半強、特急を利用してる事もあるとは言え、かなりあっけなく到着、拍子抜けするぐらいだった。
所で、話は戻って冒頭で唐突に出た「再会シリーズ」を説明しよう。
帰国してから9年目、今の会社に入社してから8年目を迎えている。入社して最初の1年は業務を覚えることから始まり、2年目に大型現場へ異動、そこで1年経たずに現場副責任者になり、そこから5年間は現場にいる人員や立場上の関係から中々休みが無く、また対応する事案も多く消耗戦になる毎日で、また元々が休みが不定期なので友人たちに会う時間を取れなかった。
それが去年新規現場に異動し、最初の1年は立ち上げで忙しかったが、無理矢理休みを長期とって旅行を再開。これで残りの国を周る目途が立ち、2年目に入りようやくペースが落ち着いてそこそこ休みも取れるようになったので、これを機会に縁は切れてないものの、顔を見てない友人たちに会いに行こうと考えたからだ。
わざわざ再会シリーズと銘打っているのは、一定期間会ってない友人達に、急に会いに行くのには何か切っ掛けが必要だと思ったからで、それなら自分イベント化してやろうと考えたからだった。
到着した甲府駅、信玄公の本拠だけあって信玄像が駅前にある。
友人宅はここ甲府ではなく山梨市駅。今日は平日で、会うとしても夕方以降だったので当初は山梨市駅近辺で観光をと考えていたが「温泉ぐらいで見所は何もないですよ」のアドバイスがあったので、せっかっくだから近くの甲府を観光してから山梨市へ行こうと考えたのだ。
到着は1時過ぎ、駅前の観光案内所によりパンフレットや地図などを入手。そして信玄像への挨拶もそこそこに、まずは腹ごしらえをすることにした。何せ昨日の夜、20時以降は何も食べていない、もちろん水分は少しとったが朝飯は抜いていたのだ。
勿論、わざわざそんな事をしたのには当然訳がある。”甲州名産”、観光を嗜むものなら当然の拘りだ。 帰国して8年、これが僅か2度目の遠出。マックのようなありふれた物ではない、ここならではの名物を味あわずに、何をもって甲府観光なのだろうか?
そう、この空腹こそが最良のスパイスだ!
幸いにしてお目当ての店は速攻でみつかった。
駅に併設されるロッテリア・・・。下は駅に貼ってあったポスター
『・・・・・・』
いや、だって、元々野菜が食べれないから名産なんてリスキーな真似は出来ないし、それにそもそもマックで大好きな期間限定の月見バーガーが食べたかったけど甲府駅近辺にマックは全く無かったし・・・、それに今日びロッテリアなんて店舗もあまり見かけなくなっているから十分珍しいし・・・
まあいい、とにかく”空腹が最良のスパイス”だった。ロッテリアも当社比3倍増し程度に美味しく感じたからそれでOKだろう・・・。
腹ごしらえを終わらせ素早く観光に移る。まずはここで一番遠くにある髑髏ヶ崎館へと向かうことにした。
観光の基本は近くからor遠くからだ。中途半端が一番いけない。どちらから先に攻めるかは当然持ち時間によるが、今回はまず見たい物の一番遠い場所から始め、駅近くに戻りつつその経路上の観光名所を攻略するつもりだった。
髑髏ヶ崎館への道中、右下は武将の館の跡地を示す案内板
最初の目的地は武田家の本拠地だ。駅から徒歩38分ともらったマップに書いてある。散歩には丁度良い距離だ。
髑髏ヶ館
髑髏ヶ館といっても過去の姿を留めてはおらず、現在はただの跡地で武田神社がそこにある。
だが、特別公開されているのは風林火山の軍旗、如何にも信玄という見世物だ。
当然テンションも上がる。早速宝物殿に入って眺めることにした。
宝物殿の入るところに仕事を選ばないことで有名なキティー女史が!
最初の標的を仕留めて次に向かうのは円光寺、信玄公の奥方の墓だ。ここからは徒歩19分。大した距離ではない。
道中。および円光寺
はっきり言ってただの寺だった。市内を眺める景色は悪くないものの、さりとて良いから是非来てという程ではない。
ここも軽く見学して次は信玄公その人の墓へと向かう。
上段は道中。ついつい蓮舫女史のポスターがあったので・・・。下段は信玄公の墓
取り敢えず観光案内所で貰った、歩いて行ける信玄公ゆかりの3点セットはこれで終了だ。後はのんびりと駅へ向かい、甲府城でも訪れれば甲府観光も一通り終わることになる。
駅まで。途中線路脇にある甲州夢広路で何かお菓子でもと思ったけどツボにヒットせず。
そして甲府城。別名舞鶴城
上からの市内の景色
空は生憎の曇模様。だが駅近くの甲府城からの景色はそれなりに見応えのあるものだった。
甲府城から市の飲食街へと
友人からメッセが入っている。18:08時の甲府発に乗ってということだ。まだ2時間以上時間が余っている。せっかくだからそれほど離れていない繁華街へ向かうことにした。
ここは水信玄餅で有名なところだ。出来れば味わってみたかったが残念ながら期間限定、それも土日のみなのでそれは望むべくもない。ただ、そのクオリティーの菓子がある街なら何かしら甘味があるはずだ。スイーツ男子なる言葉が流行っているが、私はそこまでのレヴェルには無い、ただのスイーツ好きツーリストだ。適当に探してそれなりのものがあれば満足だ。
飲食街のアーケード
人気をあまり感じないのは昼間だからなのだろうか?それだけではない、明らかに閉店している店舗もちらほらと見かける。甲府市は人口20万人、山梨県で一番大きな都市だ。それがこうも閑散としてしまっていると寂しく思ってしまう。そう、活力というか活気を感じられないのだ。
活況を示す東京にいるとあまり感じないが、そういえば私の住んでいる千葉県のM市も若者が極端に少なくなり、高齢者への比率が高くなっていて閉まっている商店も多くなっている。少子化、もちろん理由はこれだけではないが、甲府のあまりにも静かな平日の午後の飲食街を歩いていると、日本が斜陽に向かっているのではないか?そんなことを考えてしまった。
一通りアーケード街を眺めてから甘味どころ、澤田屋を訪れる。
澤田屋の甘味
お茶と和菓子と洒落込むつもりが、何とか銘菓の”くろ玉”こそ味わったのもの結局いつものコーヒーにプリン、そしてマカロンと甲州らしさのあまりないスイーツにしてしまった。
そのあともしばらくのんびりと時間をつぶして、予定通り18:08時発の列車で山梨市駅へと向かう。
18:30頃、久しぶりに、おそらく5年ぶりくらいになる友人夫妻と接触、秘湯へ連れて行ってもらい、そこで食事をして彼らの家にお世話になる。
変わらないようにみえる彼らの顔、ただ、元気にはしゃぎまわるお子さんたちを見ていると、確かに月日の流れを感じる。
東京行き
翌朝、彼らに挨拶して駅まで送ってもらって別れを告げる。
平日の夕方、出会えた時間は短いがそんなことは大した問題ではなかった。
友に会う旅。17弾を終えた再会シリーズ、これまで再会してきた友人たち、音信こそ取れていた物の、ネットでは何か無機質になってしまいがちなものが、顔を見て直接話していると、確かなつながりが感じられた。
そう、大事なのは人と人との結びつきで、それこそが人を人たらしめている所以だろう。
今回図らずも信玄公ゆかりの地を訪ねることになったが、彼は遠く戦国の世に、その真理を知っていたのだ・・・
私如きが今更伝えるまでもないが、タイトルにもある彼の有名なこの言葉で今回の物語を締めくくるとしよう・・・
そう
人は石垣、人はエロ
と・・・
そして蛇足ながら髑髏ヶ館とずっと文中に書いてはいたものの、実は躑躅ヶ館であるということも併せて伝えておこうか・・・