コンゴ民主共和国





2010.08.22(月)

 
ザイールの川下り。

 人によってはアフリカ最大のイベントと捉えるだろう。

 船上生活での劣悪な環境、マラリア等の感染症も恐れなければならない。

 かつてはアフリカ奥地でのロマンティックな物語として行う者もいたがここ最近(5-10年のスパンで)では政情の不安定さが拍車をかけ、このプロフェッショナルがこれまでアフリカを旅してきて、このイベントを実行したものにはまだ出会っていない。

 そうなると・・・


 『まず隗から始めよ!』

 の古のことわざ通り、誰かが先鞭をつけなければならないだろう。

 それが出来る漢にはずば抜けた知性と抜群の体力、そしてどんな困難にも屈しないという強靭な精神力が要求される。


 そう、”このプロフェッショナル”をおいて他の誰も真似出来ない事と言っても過言ではないだろう。


 D-dayは8月22日。

 ビザを全部とり終わったのでやる事もなくなったから

 8月も終わりに近づいた今日がその決行の時だ。


 賑やいでいたビットワール広場を出てミニバスに乗り港へ向かう。


 荷物を置いた分として2人分支払わされるというプチ・アクシデントはあったものの(これは多分そうじゃないかなぁと思っていたので特に口論にはならなかった)、ミニバスは無事に鉄道駅付近に到着。

 ちょっとしたカフェ(どう考えてもローカルだが・・・)でコーラを頼み、駅を眺めながらこれから始まる過酷な旅に思いをはせていた・・・

おおっぴらに撮るとつかまるのでこそぉぉぉぉっと撮影した駅とその付近のモニュメント。
 


 リサーチは十分にしている、これまでにキンシャサに滞在した6日、ビザを取得する傍ら毎日のように港にいって情報をあたっていたからだ。

 よく旅人で「行けばなんとかなる」、「やればなんとか出来る」などという人間にあってきたがそれは”単なるアマチュアの考え方”だ。

 仮にも私はプロフェッショナルを名乗っているツーリストだ。

 やるからには成功の公算の高いやり方を取るために必要な情報を取り入念な準備をおこなっているのだ。

 そしてどんな物事にもイレギュラーはある、このあらゆる状況を想定してすべてに渡って対処できるようなマインド・セット(精神状態)を立ち上げる事が出来るからこそこのデューク・東城が旅行界唯一のプロフェッショナル足り得るのだ!

 全ての用意が整った今、必要なのは”何が何でもやりとげる”という強い意志と覚悟だけになった・・・


 10数分程くつろいで、煙草をもみ消して港へと向かう。

 もう後に引く事は出来なかった・・・


 港でチケットを買ってイミグレに向かうと売りとストリート・チェンジャー(路上両替商)が私に群がってくる。

 これから始まる大冒険、私はレートをろくすっぽ確認しないまま半ば路上両替商のいいなりになって両替をしていた。(後で確認したら数10円損していた、もともと1000円分も残っていなかったが・・・)


 そして船を待つイミグレ、閉鎖されたこの空間は別世界だ、ただ待つのみで誰も私に話しかけようと・・・

 『んっ??』

 イミグレが持ち物検査と所持金検査??


 珍しく英語が喋れるこの係官は私の荷物や所持金の申告書を見て現金検査まで要求してくる。

 ここで揉めても仕方ない。と私は彼の言うとおりに見せていく、この時のコツは”彼に絶対現金を触らせない事”だ。そうすればすられる事もない。

 だが、彼が眼につけたのはトラベラーズ・チェック(旅行小切手)だった。兌換紙幣にもなるのでその申告が必要だといういちゃもんをつけてきた。

 この国ではトラベラーズ・チェックの両替なんて絶対出来ようもない、死金、いわば紙屑にも等しい存在なのにうっとおしい。

 内容を説明してお引き取りをお願いする。それでも彼はしつこく「お前のミスだからなんか奢ってくれ」と理解しがたい要求をしてきたのでこちらもそれならとこれからの行程上の情報を彼から入手してジュース代(60円程度)を手渡す。

 このぐらいなら許容範囲内だろう。


 1時間ほど港で待っているとボーディング・・・そんな格好良いものじゃない単なる乗船が始まる。


 私は船に乗り込み、出発を待つばかりとなった・・・


 船は順調に離岸する、これから始まる長い旅の始まりだ・・・



船上から見たキンシャサ、60円ぐらい渡したイミグレの係官が船の上からなら撮影OK、でも見つからないようにしてねと教えてくれていた。






 去りゆく巨大都市キンシャサ・・・

 そして都会との別れ・・・


 この先しばらくは文明ともお別れだ。


 いざ行かん未開の地へと・・・


 船は順調に歩みを進めていく、快調なスタートだ。

 この先波乱が無い事を祈ろう、そしてもしもの時は・・・


 様々な思いが胸に去来する。


 未開の地への冒険譚、私の心を占めているのは期待と不安。


 持っているものはこの体一つと覚悟、そしてプロフェッショナルという名前だけだ。



 そして10分後、キンシャサが遠く離れたころ新しい景色が目に飛び込んでくる。次なるステージへの突入だ・・・




 コンゴ共和国








 眼に飛び込んで来たのは新しい都市、そうコンゴ共和国の首都ブラザヴィル・・・

 このプロフェッショナルの次なる目的地だ・・・


さらに接近して・・・




 そして船は出発してから約20分後に・・・


 無事にブラザビルに到着!

 港に接舷して船から降りる。

 早速よくわからない金銭請求(約200円)をされ、現地の人が払うがまま私も払ってしまい、そして1200CFA(中央アフリカ・セーファー・フラン、中央アフリカ諸国で共通の通貨、大雑把ながら500CFA=100円ぐらい)のポートタックス(港使用税)を払うのに1500CFA払ったらお釣りが来ず、さらに1時間ぐらい意味不明にイミグレで待たされたが何とかスタンプを貰って無事に入国を果たす。


 この瞬間に・・・


 そう、偉大なるザイールの川下り、それが完璧な成功を迎えたのだ。


 大型の貨物船もあるのに面倒くさいからと手を抜いて高額(といっても1500円ぐらい)な高速船を使い、時間も僅か20分ぐらいしかかからなかったが・・・


 今、私は確かに全ての旅行者の憧れとも言うべき”ザイール川の川下り”に成功を果たしたのだ!


 目に流れ落ちる涙はもう止めようもない、過酷な冒険を成し遂げた漢の涙だ。




 そしてこの冒険を振り返ってこう思う。


 今回のこの大冒険・・・



 どう考えても船に乗っているよりも”両国のイミグレでかかった無駄な時間の方が多かった”、と・・・




乗った高速艇からの景色。すいてて快適だった。対岸に見えるのはブラザヴィル

 


 

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