コンゴ民主共和国(旧ザイール)
2005.08.15(月)
コンゴへ入国と同時にパスポートをポストに預ける、普通の国なら”ただの手続き”と思うがここではどうしても”人質に取られた”と解釈してしまうのはこのプロフェッショナルの猜疑心から為せる技なのだろうか?
当座の金をと思って50ドル分両替して待っていると一人2000コンゴ・フラン(約400円)の徴収が、早速の賄賂攻勢だ、4WDに同乗していたアンゴラ人に目配せすると「それは払った方がいい」という感じだ。
賄賂請求までしてきたのでここがイミグレか?と思っていると実はそれは100m先の場所にあるということなのでみんなと一緒に歩いて行く。
途中で警官が呼びとめてきたが同乗のアンゴラ人達が「そいつは無視しろ!」と合図してくる。
しかし、どんな国でも警官が呼びとめたら取り敢えずは応答しなければいけない筈だが・・・
ここは明らかにいちゃもんをつけての賄賂請求をしようとしていたのだろう。こちらの無視を咎めもせずにスルー、しょぼい屋台が立ち並ぶイミグレの近辺でパスポートの帰りを待つ。
待っている間にトイレにいってこっそりと撮影したボーダー
同行のアンゴラ人と現地人(コンゴ人)はここでも500コンゴ・フランの徴収(100円ちょっと)、私には不思議と何も請求が来ない。同行のアンゴラ人によると「君は明らかにここらへんの人じゃなく旅行者だから賄賂が安いんだ」とさもお得であるような言い方だったが、そもそも”払う必要の無い金を支払わされている”のだ。多かろうが少なかろうがそれはダメ国家のダメ官憲の証明だろう。
コンゴ民主に入国してからもしばらく国境で待たされる。
その間にボロボロの服を来た青年が話しかけてくる、この辺りでは珍しい英語(アンゴラはポルトガル語、コンゴ民主共和国はフランス語が公用語)だ。
内容を聞くと「家族と一緒に国境を越えようとしているんだけど向こうの要求する賄賂が払えない、だから金をくれ」という事だ。
残念ながらこちらにしても手持ちの金を減らしているのが現実だ。それにそもそも現地の人に先に助けを求めずに外国人をみたら金持ちと思ってお金をせびってくる了見が気に入らない。
丁重にお断りしてパスポートの返却とキンシャサ行の4WDが出発するのを待つことにした。
パスポートが戻り、ようやく出発できそうになったのが16:00時頃、私自身の手続きはそれほど長くかからなかったが現地人がいろいろといちゃもんをつけられてなかなか手続きが進まなかったのが原因だ。
そしてこの頃に新しい問題が。
私の乗ってきた4WDが故障して修理するのに時間がかかるということだ。
いつ治るかはわからない、そこで同乗していたアンゴラ人の一人が同じムバンザ・コンゴから出発してきたミニバスに荷物を積み替え始める。こちらに乗り換えて行く事が出来るらしい。不安なのはお金だがそれも4WDのドライバーからミニバスの運転手に渡すから問題ないそうだ。
私も4WDを諦め、こちらにトランスファーすることにした。
バスは17:00時に出発、朝06:00時頃から国境にいたことを考えればたかだかボーダー一個通過するのに半日かかった計算だ。中央アフリカ地域の他はどうかはしらないがもしこれと同じだったら毎回うんざりとさせられるに違いないだろう・・・
ルフ・ボーダーを出発してから
バス本体に問題は無さそうだ、ただしそこらかしこの検問で賄賂請求をされているので思い通りには進んでないようだ。
そしてちょっと厄介になったのはボーダーで居たボロを纏った英語の喋れる青年だ。
最初はフレンドリーに話しかけてきていたが、そのうち「5ドルくれ」とかを露骨に言い出してきた。
鬱陶しくなって相手にしないようにしていると、バスが止まりまた検問から賄賂を請求される。
乗客から最初に集めていた乗車代だけではもう足りなくなったのだろう、バスのドライバーが車内で乗客に協力を求めている。
そしてその時に彼が立ち上がって乗客にこう提案を始めたのだ。
「俺たちは貧しくて金が無い、ここに座っているジャパニーズはお金を持っている、みんなどうだ?これからは彼にお願いして賄賂を払って貰おうじゃないか!」
と・・・
『・・・』
『・・・・・・・』
『へっ?何それ???』
考えても見てほしい、4WDからミニバスに乗り換えた時、4WDのドライバーはミニバスのドライバーに私の乗車賃を渡しているはずだ、そして4WDとミニバスの比較で言えばミニバスのドライバーは”他の乗客よりも多くの乗車賃を私の乗車代として手にしている”筈だろう。要するにただでさえ高い金を払って同じバスに乗り、さらに全員分の賄賂を払うなんて提案は・・・このプロフェッショナルでなくても受け入れる訳が無いだろう。
私は彼の腕の掴み自分に引き寄せてこう言い放つ。
『お前こっちが日本人だからと思って好き勝手な事を言いやがってもういい加減にしておけよ、これ以上そんなくだらない事を言い出したら今度はタダじゃ済まさないからな・・・」
と・・・
そして”どうタダじゃ済まさない”か?全く自分でも分からないままドライバーに『お前はどう考えているんだ?』っと、目配せをする。
ドライバーもそんな彼の提案を聞く気はなかったらしく、笑みを私に向けている、どうやら彼らは私側と思ってもいいだろう、ドライバーが味方なら最後まで守られる・・・
キンシャサまでその日のうちにつかず、結局どっかの町で夜を過ごす事に、バスの中で適当に寝た。
2010.08.16(火)
バスはいつ出発していたのだろうか?順調に進み、キンシャサには09:00時に到着する。
アンゴラの首都ルアンダを出発してから3泊4日かかった計算だ。移動時間だけなら2泊3日もかからない筈の行程にかなり余分な待ち時間がくっついた勘定だ。
国境からキンサシャまでこのプロフェッショナルを運んでくれたミニバス。
到着すると同時に「コートジボアール人」を名乗る若い男が私に寄ってきて色々と案内しようとする、普通ならこういった手合いは相手にしたくないのだが、私がいるのはキンシャサで今どこにいるのか皆目見当がつかない、さらに今後訪れる予定のコートジボアールの情報を聞きたかったのと、何よりも”疲れていた”ことから彼に案内役を頼むことにした。
英語が喋れるとは言え”そもそも現地人でもなんでもないガイド”、さらに情報ノートでのっていた宿が潰れていたこともあり、なかなか落ち着ける場所に行き当らなかったがそれでも何とか有名なビットワール広場に面したホテルに高いながら(25ドル、トイレ、シャワー、エアコン付)を取ることにした。
その後彼と日本語の読めるネットカフェを探し、彼にチップを1000コンゴ・フラン(約250円)渡してお別れする。
これでようやく中央アフリカ2ヵ国目の首都だ。
今後の行程と・・・それにかかる労力を考えると・・・
このプロフェッショナル、”とても気が重い”と言わざるを得ないだろう・・・