Category: G技術

 お金の次に何が必要か?

 極めて単純明快に「情報」がその回答となるだろう。

 一般的な情報(宿や両替のレートや安いレストラン等)は他のHPに譲るとして今回は危険情報に焦点をあて、その一般的な入手方法をリストアップしていきたいと思う。

1.情報の性質

 良く皆最新の情報が欲しい、リアルタイムで情報が欲しいと思う事だろう。
 だが「情報は手に入れた瞬間には既に過去の物となっている」と言う事は理解するべきだろう。
 安定した社会なら例えば電車の料金が昨日と今日と変わらず、過去の情報がそのままリアルタイムの情報になっている事が多い。
 翻って第三世界においては全てにおいて不安定であり、昨日と今日がダイナミックに移り変わっている時がある。
 例えばインフレ化のジンバブエに居た時、グレートジンバブエに行って帰ってくる僅か2泊の間にタバコの値段が1.5倍になっていた時があった。
 こうも極端な例は中々に少ないがいずれにしても情報はその性質上常に過去の物であり、我々はその過去の情報から推測して未来の行動を決めている。
 そしてその過去が現在に近ければ近いほど「リアルタイム」に近い情報と言えるだろう。
 旅行中は最新の情報に注意して集めるように心掛ける方が安全に過ごせる確率があがるだろう・・・



 2. 必ずガイドブックを読む

 ガイドブックを読まずに旅行する者も現代では多いが私は小説などを持ち歩かない代わりにガイドブックは必ず準備するようにしている。
 観光に必要な情報を得る事だけではなく、例えば歩き方などのガイドブックの巻末情報に安全情報やよく使われる犯罪の手口などが大抵載せてある。
 それだけで十分とは言えないが「知っていれば避けられる」物がほとんどでありインド等で出会った旅行者から被害にあった話を聞くと「それって載ってるじゃん」というのが大半であった。
 またガイドブックでよく「○球の迷い方」だ。等と文句を言っているものを見かけるが、ガイドブックは出版物として出版された時点で既に載っている情報は古い情報である。
と知っていなければならない。
 要するに「参考にはなるけど確実ではないのがガイドブックの常識」と言う事だ。
 情報のアップデートはその地域に行く旅行者が多いかどうかでも変わるし、載っている情報が常に最新では無いというのがその性格だ。
 ただ情報の殆ど皆無の国を多く旅行してきた私から見れば「当時そうなっていた」という情報でさえ十分参考になるものであったし、 ガイドブックが無い中で暗中模索して探り当てるよりもガイドブックの過去の情報を参考に現在の最新情報を当たる方が遥かに容易であった。というのが実感である。

 
3.外務省の海外渡航安全情報を読む

 入国したい国が危険と言われていた場合。私はまず外務省の海外渡航安全情報を読む事にしていた。
 但し、これは旅行者対象の内容というよりは在留者対象の為の情報であるので更新も遅く、また日本政府は基本的には「何も無いのが一番」という事無かれ主義から書かれているので「チョー危険」となっている場合が多い。
 ただ、一般的な傾向や対策を載せてあるので参考には十分になっていた。
 また現地の日本大使館にも立ち寄り、安全情報を聞くだけでなくそこで「彼らがその国をどう見ているのか?」も併せてみるようにしていた。
 現地人から見れば同じ日本人だ。彼らが感じた傾向は私にも向けられるものである可能性が高いからだ。



4.危険情報を聞く(移動、入国など)

 私は旅行の性質上数多くの危険な国に入国している。多少のギャンブルをした時も当然あるが大抵の場合8,9割以上の確証が持てたからこそ入国している。
 私の場合は入国する国の在外大使館でビザ入手の際にまず「入れるのかどうか?安全なルートがあるかどうか?」を確認し、そのほか観光案内所やホテルのスタッフ等にルートの安全情報を聞く事にし、そして移動して近付きながらそこに住んでいる人が同じ交通機関に乗っていたら積極的に会話して安全かどうかの情報を聞くようにしていた。新しい国に入る場合は国境につくまでに判断すればいいし、最悪国境で引き返せばいいだろうと思っていたからだ。
 ただ殆どの場合公共交通機関がレギュラーで動いている場合は最低限現地人なら大丈夫であり、その現地人が「大丈夫だ」という場合は前に進むことにしていた。危険なルートなら現地人はミニバスに旅行者を乗せてくれないのが大半だからだ。

 参考までにアフリカでは中央アフリカからチャドの陸路ルートは不定期のトラックの車列に軍のガードがつくと情報で聞いていたので公共機関がイレギュラーと判断し、そのルートはフライトにしているし、コートジボワールのヤムスクロからブルキナファソへのルートは当時「バスでは行くな!」とヤムスクロとアブジャンの観光局の人間から教えて貰っていたが何故か「鉄道なら大丈夫」という情報をアビジャンの政府観光局と鉄道駅のスタッフから聞いきさらに定期的な運行もされていたのでていたので鉄道で抜けるようにしている。
 また結果的には誤情報だったがカメルーン国境から中央アフリカの首都バンギまでの道は定期的なトラックのコンボイが出ているから大丈夫というヤウンデの観光省からの情報で行く決意をしている(実際はコンボイは無く、但し国内の都市間をつなぐミニバスは復活していた)。
 また南米のコロンビアでは安いバスに乗るとゲリラに賄賂を渡していないから襲われ、高いバスはお金を払って襲うのを見逃してもらっていると聞いていたので安バスの移動は避け、またポーランドのクラコフからチェコのプラハに行く寝台鉄道は2等コンパートメントは夜寝ている時ガスで眠らされて盗難にあう事があると聞いていたのでそこは高いコストを出して鍵のかかる一等車両に乗っている。



5.危険情報を聞く(都市)

 私は首都旅行者という性質上都市に泊まることが多い、そして残念なことに大抵の場合大都市が一番治安が悪くて犯罪に会う率も高い。私の場合は観光案内所やホテルのスタッフに必ず街のどこが安全でどこがそうでないのか?時間帯も含めて確認する事にしていた。注意1秒怪我1生ではないが見たいものがあってもそこが夜だと危険なら無理をしてそこにとどまったりせず日の明るいうちに戻るように心掛けていた。

 例えば私は街の夜景をみるのが大好きだが東アフリカでは夜間危険になる都市が多かった為殆ど夜景を見に行ってないし、南アのダウンタウンのカールトンセンターはソエトツアーの帰りに現地の黒人ドライバーに別料金を払ってオプションにして行ってもらっているしその際彼と離れず、また彼の注意事項は全て聞いている。他にもチリの首都サンティアゴでは見晴らしのいい丘は徒歩なら身ぐるみはがされると聞いていたので観光ミニバスを利用している。


6.情報を吟味する

 情報はただ聞いただけではただのInfomarionに過ぎない、それを自分で吟味して初めてIntelligenceとなり行動に役立つものになるだろう。
 危険に限らず色々な情報は自分が気にさえすれば必ず耳に入ってくる。大事なのはその情報をどう整理して自分の次のアクションに役立てるか?といった所だろう。
 その為には自分の手にした情報に指向性をつけず、あくまでも客観的にみるように心掛けて判断すべきだろう。

 そしてその為には自分を良く知り、情報元を良く知り判断した方がいい事は言うまでもないだろう。

 ありとあらゆる情報には偏向性がかかっている。典型的な話で言えば観光地である人間が「いい土産物屋を知っている」と言ってくる場合は「コミッション(手数料)」目当てで知り合いの土産物屋を紹介してくる場合が多い。こういった事を避ける為には多くの人から多くの情報を聞いてそれを自分なりに消化する作業が必要となるだろう。
 そして「知っていても」というケースではある白人が危険と言われるヨハネスブルグで「俺は2m100Kg」あるから大丈夫と言って街に出たら集団に襲われた。とか「5人いれば大丈夫だろう」と集団で街に繰り出したら纏めてホールドアップされて有り金全部奪われた等というケースもある。
 集団でいけば大丈夫という心理は人間として当たり前だがその国と自分の能力、その集団の能力も十分に吟味すべきだろう。5人いても相手が地元の人間50人ならまずチャンスは無いし、武器を持たれたら簡単に制圧されてしまう。

 また自分の好みで情報を分別しない事も大切だ。行きたい所の情報で安全と危険の両方の情報があるとする。この場合人は聞きたい事を聞きたがる傾向にあるので「安全」という情報のみ取り入れて「危険」という情報は無視してしまいがちである。これを防ぐには常に客観性を持ち、与えらた情報の偏向性、自分の嗜好性も含めた上でその情報を照査しなければならない。私がやっていた事はその情報に理論的な裏付けが出来るかどうか?をなるべく考えるように心掛けていた。

 この様に情報が生きるかどうかは十分に吟味したうえで正しい判断を下せるかどうかにかかってくるだろう・・・・


7.情報を入手して行動する。

 情報を入手するのは次の行動の為に必要だからであり、その情報のもとにアクションを起こすことになるだろう。
 常に十全の情報が手に入るとは限らないし必要な情報が取れたとしても詰まる話「最後は必ず運」に左右される。
 「最後は運」なら別に情報なんか?と思うかもしれないが、情報を集めるのは「安全の確率を上げる」為だ。
 6発中5発実弾がつまったリボルバーでロシアンルーレットをやる気は全くしないが1発なら引き金を引いてみようかという気になるだろう。
 
 「たまたまその一発に当たったら?」

 それはその行動を決めた時、覚悟をしておかなければならない事柄だろう・・・
 「リスクの無い旅は無い」
 ただそのリスクを背負っても見たいなら、少しでもお安全の確率を上げておくにこしたことはないだろう・・・
 多くの、そして最新の情報に敏感になり入手するのはその為だ・・・

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