旅行で何を一番準備したら良いか?
私の場合迷わずこう答える。
「お金」
と・・・
人間が現代の社会生活を営む以上「お金と我々の行動」は密接にリンクしている。普段の生活でお金がないと生きられないのと同様に旅行も当然その例外でない。ようするに旅行をするというのは移動しながらする経済活動、それも支出はあれども儲けは無いという消耗戦の戦いなのだ。
旅行者は好奇心大せいだからこそ旅にでる。つまりロマンティストである事が旅行をする資質の大きな一部を担っている事は確かだがそのロマンティシズムに溺れこのリアルな側面を見逃すわけにはいかないだろう。
この旅行界きってのロマンティストの名を欲しいままにし、「愛があればお金など要らない・・・」という清らかな心を持ってるこのプロフェッショナルでさえこのリアリズムからは抜け出せないのがせちがらい現代だ。
そこで今回はこの消耗戦を戦い抜くべくお金とそれにまつわるETCを纏めていこうと思う・・・
1.予算
予算については周る地域の物価、旅行する期間等様々な要因によって左右される。
ただこれまでの経験上、もし旅行をいい状態で続けたいと思うなら自分の見積もった予算のおおむね1.5~2倍程度の予算を準備すると良い。
旅行はすればするほどより多く周りたくなり、ぎりぎりの予算で組み立てていたなら旅行の途中で新しく見たくなった物も見れなくなる。そして大抵の人にとってはそこに訪れるのは一生に一度のチャンスなのだ。
それに予期せぬトラブルも必ずある。その時予算がなければ自動的に当初の予定もカットせざるを得なくなるだろう。
当たり前の事だが現ナマは多ければ多いほど良い。
またこの辺りは年齢にもよるだろう。10代、もしくは20代前半の勢いにまかせて何でも出来ると思えるならそのバイタリティーで何とか出来るのかもしれない。
私の場合は社会人を10年以上経験して世界周遊系の旅行に出たのが30代中盤からであったのでおのずからお金に対する考え方も上記のようになったのだろう。
ただ、コツコツと旅行資金を貯めてきたので行きたい国の全部は行けなかったが行った国でやりたくなった、見たくなった事は大体訪れられたので上記のように考えて準備した事は良かったと思っている。
但し、日本帰国時にそれほどお金をあまさなかったので就職するまではカツカツで就職後は「薄給の美中年」になってしまった事は自らの不明を詫びなければならないだろう・・・
2.準備
私の場合キャッシュ、T/C(トラベラーズ・チェック)、ワールドキャッシュカード2枚、クレジットカード2枚(ビザ・マスター各1枚ずつ)を基本としていた。
キャッシュは基本はドルで訪れる圏内を考えてユーロも。お互い500前後準備する。T/Cはドル建てで1000-2000ドルといった所だろうか?
ワールドキャッシュはメインとして使うものを一つと予備を一つで両方ともネットバンキングに入り海外で引き落とした後すぐに確認できるようにする。
そしてクレジットカードは手持ちのキャッシュカードから引き落とされるものを準備した。
スキミング等でカード情報を読み取られて不正利用されても極力早く気付いて傷口を最小限に抑える為だ。
そしてカードがあればT/Cは必要ないケースがほとんどだがそれでもあえて作っているのはそのセキュリティーと再発行可能な事からだ。利用できない、あるいは悪徳レートでしか換金できない国も数多いが 「いざという時」と帰ってからの現金化は容易という2点から作成している。
カード、T/Cの注意としては必ずコピーなどして情報を控えておく(私の場合はカードは本体を2部コピーし、T/Cは証券そのものではなくパーチャスレシート(購入控え)をコピーして分散して鞄の中に入れていた。そしてT/Cは利用控えをきちんと記帳しておく事だ。
また私の場合はキャッシュカードを基本としたが、クレジットカードのキャッシングで締め日を上手く計算すれば通常キャッシュカードで発生する手数料よりも安くなる場合がほとんどなのでそちらを利用する旅行者も多い事も付け加えておこうか・・・
3.持ち方
装備のページにもアップするが基本的には分散する事。
全ての持ち物(衣服も含めて)を同時に失うケースは稀だ。そうなったらそうなった時でしかないが大抵の場合は分散しておく事で致命傷になる事は避けられる。
私の場合は財布には大抵日常使う程度で後は隠し財布などに分散させていた。もし必要があって取り出す時は必ず人目につかない所でだしていた。またカード類は全く別にしてそれも使う時だけ出して利用していた。
これは高額の現金(航空券の購入など)を使う時も同様で、航空券用の金は日常の財布や隠し金とは別に準備し、代理店で支払う時等はそのお金をピンポイントで出せるようにしていた。
またペルーのように国によってはカードで引き出した後付けられて襲われる国もあるのでそのような場合は宿の近くのATMで下して一度宿に戻り、お金を隠して再度街に出るようにしていた。
そして、治安の危険な所は数度襲われてもいいように現地の人が2,3日暮らせる分(30-100ドル程度)のお金を取られ金として用意していた。襲う人間はリスク覚悟で襲ってくるので「空振り」だと逆上してそのまま殺されかねない場合もあるからだ。
4.両替
基本はキャッシュカードにより現地通貨を引き出していた。
だが問題は陸路による国境越えだ。
特に第三世界では不慣れな旅行者からチート(いかさま)を仕掛けようと様々な手口で待ち構えられている。
私の場合は「国境での両替は必要最低限」となるように心掛けていた。
まず第一に考えるべきはレートを確認し、最初に相手に換金する分を準備して貰い。それを数えてから自分の金を渡すことにしていた。
「最初に金を出せ」と来る輩は大抵いかさまをしようとしていたし、こちらの100ドル札を条件が合わないから返せという場合はそれを偽札にすり替えてくる恐れが強かったからだ。
なお、数える際は相手がいくらこちらに見せるように何枚と数えてこようが受け取ったら相手に見えるように必ず自分で数えるようにしていた。
上手い連中は目の前で数えて渡す瞬間にマジックを使ってくる。
私も見破れなかった時は当然あるが、それでも自分で数えてから自分のお金を渡すことは徹底したので幸いにしてこの系統での被害は無かった。(あまりに小額の両替の場合はかなり適当にやった事も多々あるが・・・)
街中での話をすると某クズベキスタ・・・ウズベキス○ンと言う国では政府の銀行や5ツ星のホテルの中にある両替店で100枚毎に帯留されているはずの紙幣が2~3枚抜かれているという例もあるのでいずれにしても用心に越したは無いだろう・・・
また「現地の小額紙幣を中心」にして貰っていた。高額紙幣を現地で使う際にはお釣りが無い事もざらだし、それにいかさまをされた場合の被害を最小限に食い止められるからだ。(割のあわない小額紙幣の偽造はほとんどない)。
失敗例をあげるとエクアドルからペルーに抜ける時、国境でバスの時間を気にするあまり、
①あらかじめ調べていたレートよりも高いレートを提示された。
②高額紙幣で受け取ってしまった(小額紙幣をリクエストはしたのだが向こうは無いと言い張った)。
そして
③エクアドル側で両替してしまった為、ペルーに入ってそれが偽札だと分かった時、既に戻るきっかけを失っていた。
と既に100カ国以上旅行して最もいかさまの多いアフリカでは全くひっかからなかったのに、見事にやられてしまった。
そしてこれは国境、街中問わずに
①現金両替の際の注意事項はドル(ユーロ)の印刷年度によってレートが変わる、もしくは全く両替できないケースがある。
②ドル・ユーロの両替率がその紙幣の額面によって変わる事がある(例えば50ドルと10ドル札の両替レートが違う等)
と、言う事も覚えておいた方がいいだろう。
①のケースでは確かルワンダ、そしてパラグアイ等で100ドル札の印刷年度の違いで悪いレートを提示されたり、両替できなかったりした場合があった。
ルワンダと言う旅の初期段階で気付いたのでその後は注意して逆の場合も例えばATMで現地通貨を引き出して両替商でドルやユーロに換える際は年度を最新年度に、そしてピン札もしくは綺麗な札でやってもらい、また偽札の判定器がある場合はそれを必ず通して貰ってから受領するようにリクエストしていた。
また②のケースは日本人的な感覚から言ったらかなりおかしく感じるのだが残念ながら第三世界では結構当たり前のように見かける事だ。そこでドルを作る時は50ドル札を基調に20、10ドルを織り交ぜるようにしていた。レートが悪くても小額紙幣は小額紙幣でそちらを使った方が都合がいい場合も多かったからだ。
また話が戻って①のケースで面白かったのは10ドルの新札が出た時に私は南米にいたのだが、真新しい10ドルのピン札をそろえていざ両替と街中の両替商にいったら「その10ドルは知らない」また「新札の判定器がないから両替できない」等と断られた事があった。
5.買い物
第三世界では物事は基本的には変動相場制である事が多い。それもこの変動相場制というのは「現地の人と旅行者で値段を変えて同じ品を売る」というケースに必ず遭遇するだろう。
そこで「値段を聞いてから買う」と言う事を基本にしていた。数件聞いてみて同じ値段を行ってくるならその物は現地人でもその値段で買う事が多いからだ。
こうしてどんな国でもなるべく早くその国の相場をつかむようにしていた。
私の場合は殆ど相場より高い値段を言ってくる店は「良心的でない」と思えたのでその店では買わないようにしていたが、場合によっては相場を知っている事でその値段まで交渉できる事があるからだ。
そして油断をしてはいけないのは「相場を知っているからと言って値段を聞かずに買わない」ということだ。イエメンではコーラを値段を聞かずに買ったので倍額近くボラレタ事がある。それも観光客用では無いただのローカルなショップの老人からだったのでこれは私が油断し過ぎていたと言わざるを得ないだろう。
また公共交通機関(主にシェアタク等)では店の人だけでなく同じ乗客にも値段を聞いて確認した方が良いだろう。ガボンで乗ったミニバスは現地人より多い値段を請求していたのだが現地人に値段を確認して「なんで俺だけ高いんだ!」とクレームをつけたらえキャッシュバックがあったこともある。ただ払った後では聞きづらいし交渉も面倒になるのでこれは出来れば早い方がいいだろう。
そして少し高いものを買う、ホテルに泊まる等の時は必ず交渉する事が大事だ。
日本は基本的には定額の国なので慣れるまでは面倒だが「ダメでもともと」とすっきり割り切ってやれば意外と楽しめる。特にホテルの宿泊等は長期連泊の場合は値引いてくれる事が殆どだったのでこれはやるべきだろう。
お金の最後に・・・
正直に言うと値引きや節約と言う事に関しては私は全く上手いツーリストでは無い。
天性の控えめさからいって「そこまでガチで交渉しないでも・・・」とか「このぐらいボラれてもまあいいや」となる事が多かったからだ。
だが、これだけの長期を見たい所を見れたのはまず
「お金を失わなかった(強盗・盗難・詐欺等で)」
でそしてもう一つは
「下手くそなりにも最低限セーブ出来る限りセーブしよう」
と上記の様に心掛けてきたからだと思っている。
いずれにしても「お金」はあなたが旅行中に最もよく付き合う「友人」になるだろう。
どんどん削られていき、一番セツナイ思いをするものこの「友人」のせいだが、上手にやりくりをして出来るだけ長生きさせてあげたいものである・・・